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NHK-FM(番組・放送日不明)スージー・アンド・ザ・バンシーズ コンサート(1981年3月9日、イギリス・ウォーリック大学にて収録)

NHK-FM(番組・放送日不明)スージー・アンド・ザ・バンシーズ コンサート(1981年3月9日、イギリス・ウォーリック大学にて収録)
Siouxsie and The Banshees Concert
BBC TV "Rock Goes To College", Recorded live at the University of Warwick, Coventry, UK, March 9th, 1981

放送曲目:
1. Paradise Place
2. Spellbound
3. Arabian Knights
4. Halloween
5. Christine
6. Red Light
7. Son Of A Bitch [Eve White/Eve Black]
8. Monitor


 イギリスBBCが制作したライヴ録音は、NHK-FMを始めとして、日本のラジオでもよく放送されています。1997年4月4日~1999年3月26日には、NHK-FMでレギュラー番組「BBCロックライブ」が、ピーター・バラカンさんのナビゲーションにより放送されていましたが、それ以前にも、さまざまなかたちで特別番組が組まれていました。ラジオを熱心に聞き始めた1970年代後半は、年末の長時間特番を楽しみにしていたものでした。のちにレコードやCDとしてリリースされることもあり、「あのときのあの演奏」を綺麗な音で聞きたくて、手に入れがちです。

 スージー・アンド・ザ・バンシーズ Siouxsie and The Banshees の1981年3月9日のライヴは、NHK-FMの番組名、放送日をメモしていないのですが、エアチェックカセットを録音順に付けていた曲目ノートの並びから、1981年11月~12月あたりに放送されたものと推測しています。元は、"ROCK GOES TO COLLEGE" というBBCのテレビ番組で放映されたもので、番組名のとおり、大学施設で公開収録されたものでした。ウィキペディアによると、多くの場合、チケットは学生組合に委託されて、無料配布されたとのこと。後述のように、スージー・アンド・ザ・バンシーズの回では、このことが問題を引き起こすことになります。

 テレビ番組として収録されたものですが、ラジオでも放送されていたようで、NHK-FMでは、ラジオ番組版の番組配布用レコード(Transcription disc)か録音テープを元に放送したのでしょう。レコード情報サイト「Discogs」には、放送と同一内容の配布用レコード、BBC Transcription Services "IN CONCERT - 252" が掲載されています。謎なのは、ウェブ上で知ることができるテレビ放映版とラジオ番組版で、放送曲目が異なっていることです。"Israel"、"Night Shift"、"But Not Them"、"Voodoo Dolly" はテレビ放映版のみ、"Paradise Place"、"Monitor" はラジオ放送版のみです。ラジオで放送された "Son Of A Bitch" とテレビで放映された "Eve White/Eve Black" は同じ曲です。この日も演奏されている "Christine" のシングル(1980年5月発売)B面に "Eve White/Eve Black" として収録されているアルバム未収録曲ですが、ラジオ放送版で、"Son Of A Bitch" になっている理由は謎です。侮蔑の言葉なのに。NHK-FMでも "Son Of A Bitch" と紹介され、当時はシングル盤まで手が回らず、「ライヴでのみ演奏されている未リリース曲」だと思っていました。

 収録は、アルバム第4作 "JUJU"(1981年6月発売)の少し前ですが、既にそこから4曲が演奏されています。その他は、前述のシングルB面曲を除くと、1980年8月発売の "KALEIDOSCOPE" からです。テレビ放映版のみの4曲の内訳は、"JUJU" 収録曲2曲の他は、アルバム未収録シングル "Israel"、のちにスージー・スー Siouxsie Sioux とバッジー Budgie のデュオ、ザ・クリーチャーズ The Creatures として発表される "But Not Them"(EP "WILD THINGS BY THE CREATURES"、1981年9月発売)。

 この放送を聞いた約半年後の1982年4月1日、大阪・万博記念公園内にあった「万博ホール」でのコンサートを聞きに行きました。演奏曲の記憶は朧気ですが、"Into The Light" や "Night Shift" が強く記憶に残っています。演奏が始まると、どどっと前に詰めかけた一群があり、席に居たわたしは、すっかり取り残されたかたちになったのですが、後日、雑誌に掲載された来日時のインタビューで、「わたしたちのファンは2種類いる。聞きながら踊りまくるひとと頭を抱えるひと」というようなことを話されていて、笑ってしまいました。「頭を抱えるひと」のくだりに「わたしだ、わたしだ」と思ったものでした。

 University of Warwick の Warwick は、カタカナではさまざまに表記されます。ラジオを聞いたときのメモは「ウォーウィック大学」とありますが、Dionne Warwick はディオンヌ「ワーウィック」です。ここでは、発音を聞いて、近いように思う「ウォーリック」としました。
 ウォーリック大学「Modern Records Centre」が運営するサイト、「Warwick Digital Collections」では、1965年10月20日~1994年10月18日の学生新聞(週刊)の記録保管庫(アーカイヴ)「The Warwick Boar」が公開されています。音楽や演劇などの記事もあります。あるひとの活動について検索をかけていて、偶然知って以来、「当時の」イギリスの学生の反応がわかるものとして参照しています。このバンシーズのコンサートがウォーリック大学での開催ということで、当時の新聞を見てみて、驚きました。学生組合によるチケットの配布をめぐって、紛糾していたからです。
 "The Warwick Boar No. 164"(1981年3月11日号)の記事によると、学生組合は、重要議題の議決に必要な総会参加人数を確保するため、コンサートのチケット配布を利用したのだという。チケットの配布時刻を早め、配布場所周辺の食堂や売店を閉め、総会が行われている会議場を通らなければ、入手できないようにしたというのである。詳しく書かれてはいないが、総会が終わった頃に配布となれば、それまで会議場に居るだろう、という訳です。ひどい…。記事のタイトルは、番組名を皮肉って、"ROCK GOES THE CONSTITUTION"(ロック、総会になる)と付けられています。以後の号でも、コンサート評は皆無。禍根を残してしまいました。

The Warwick Boar No. 164 (Wednesday, March 11th 1981)

 スージー・アンド・ザ・バンシーズには、BBC用に収録したものを集めたCD3枚、DVD1枚のボックスセット "SIOUXSIE AND THE BANSHEES AT THE BBC"(2009年6月発売)がありますが、映像編(DVD)にのみ、8曲が収録されています。


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