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灰田の日記①

前書き
目を覚ますと目の前には変わり果てた街の姿が広がっていた。
深い静寂に包まれた道路を歩く。
けたたましい騒音が響いていた駅前も、かつて賑わっていた繁華街も、全ての時が止まっていた。
あまりの光景に、最初は夢だと思った。
そして、どこかには助けてくれる人がいると信じて疑わなかった。
なぜ自分は眠っていたのか。
なぜ自分だけここにいるのか。
少しずつ記憶が鮮明になっていく。
ブラック大統領が発令した異例の勧告。
何度も聞こえてくる"量子アーカイブ計画"という言葉。

新聞が道に落ちていた。
日付は2060年12月31日。
大きく書かれた"終末宣言"の文字。

私は、人類が滅んだのだと知りました。

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