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小さな事件とHAPPY VALLEY旗艦店のその後

前回書かせて頂きましたように、成田到着後まさかの小さな事件が起こった。そして、その小さな事件は、空港職員の口から申し訳なさそうに、香港発成田行きの便に乗っていた20数名の乗客に次のように伝えられた。

「ここにいる皆様に、お知らせがあります。(数秒の間があり、ためらいながら)大変申し訳ないのですが、皆様には、(更に数秒の間があり、そして、意を決したように)福岡に行ってもらいます!!」

「????????」

お知らせを受けた僕を含めた20数名は皆、一瞬、何のことかわからず、大量の「?」マークが一斉に頭の上に浮かんだ。が、次の瞬間にまるで息を合わせたかのようなタイミングで20数名が一斉に一呼吸おいて

「えっ!!!」

と言った
たまたま同じ飛行機に乗り合わせた赤の他人20数名とは思えない程のピッタリな息の合い方であった(笑)
それにしても、つい数時間前に上空を通過してきた福岡に逆戻りするとは、誰一人予想していなかったので、当然のことながら、その後しばらくは騒然とした。

当時はこのサイズの飛行機にたった20数名の乗客でした

この事態の背景としては、日本政府の突然の帰国後のホテル隔離の決定により、ホテルの確保が追いついておらず、協力を表明した限られたホテルチェーンのみの受け入れだったため、空港付近や関東周辺はコロナ患者の受け入れとも相まって、満室となっており、苦肉の策として空港からホテルまでの距離が近い福岡のホテルが選ばれたと言う事であった。最早、まな板の上の鯉であることを皆が認識し始め、その場が徐々に静けさを取り戻していくと、先ほどの空港職員から淡々と今後の流れが説明された。そして、数時間後、香港帰りの20数名は静かに福岡へと旅立ったのであった。
福岡での隔離はわずか3日と期間が短いだけでなく、流石の日本クオリティで、部屋は狭いが、清潔でその上、食事の弁当もおいしく、とても快適であった。更には、成田での待ち時間の間に空港内のコンビニで3日分のお酒も確保していたので、あっという間に過ぎていった。福岡でのホテル隔離終了後は、再度成田まで戻され、そこから各自家路についた。そして、仙台到着後は、自宅での2週間の自主隔離を経て日常へと戻った。

当時は早くこんな日が来ることを待ち望んでました

僕が、あっちやこっちで隔離されている間にも、香港のお店はそれなりの集客があり、しかも、百貨店内でやっていた時とは明らかに違う客層が来ていると言うワクワクするような報告も受けていた。実際に、今までは提案したことがないような高額な製品への問い合わせもあり、中には商談として進行しているものすらあった。同じ香港で、しかも数百メートルしか離れていないにもかかわらず、場所が変わることで客層がこうも変わるものかと、驚くと共に香港の相変わらずの底知れぬパワーに胸が躍った。

Happy Valley 旗艦店

年が明け、2022年1月、昨年末より進行中だった大型商談が決まった。正直なところ、流石にこれは無理だろうと思っていた商談だったため決まった時は本当に驚いた、がそれと同時に、価格設定を少し緩めにしていた事を少し後悔した(笑) しかしながら、この商談を通して今までの価値観が大幅に変わったことは言うまでもない。今までも、ある程度は香港マーケットの潜在力は理解しているつもりであったが、最早ただの勘違い野郎でしかなかった。そういった意味でも、新店舗オープン後の早いタイミングでこの商談に出会えたことは、ある意味、運命と言えよう。
運命と言う意味では、その後まさかのシビアな運命に直面する。

続きは次回以降で書かせて頂きます。

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