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上海のブレイク①

 10月15日からの2ヶ月のポップアップ。かなりきわどい感じではあったが、今回は、何とか無事、予定通りのスタートが切れた。と言うのも、実は5月のポップアップは物流会社の手配ミスもありスタートが3日遅れていたのであった。日本の百貨店だったら、この時点で出入り禁止になっていたであろう(笑)ところが、そこは流石は中国、物流の遅れは日常茶飯事らしくちょっと注意されたくらいで済んでしまった。そして、結果的に結構、売れたので色んな意味で結果オーライとなっていた。
しかしながら、今回のポップアップは、開催期間が倍になったにもかかわらず、準備期間が短かったため、商品の準備がかなり大変だった。スタートのタイミングから逆算して8月中旬には出荷しなくてはならず、準備期間が2ヶ月チョイと言う、かなり無理のある状況ではあった。まあ、間に合ったので、これまた結果オーライではあったが、危うく2回連続でスタートを遅らせてしまうところであった。

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開催期間だけでなく、売場に関してもリクエストが通っており、前回よりも通路に面した、より人通りの多いスペースが与えられていた。やはり、前回結構売れていたため何かと条件が良くなっていた(笑)。このあからさまさからも改めて、海外ビジネスは結果が全てだなあ、と感じてもいた。それもそのはずで、先方の担当者も売れなければ評価に直結し、給与にも影響するため必死であった。そこら辺は明らかに日本よりもシビアである。その甲斐あってか、前回よりも明らかに顧客接点が増えていた。更には、今回は前回の売れ筋を踏まえて商品ラインナップにも手を加えていたため、スタート当初から、中々の手応えであった。そうは言っても、毎回のことながら、すぐに売れる訳ではないのだが(笑)

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 今回は2ヶ月の開催期間という事あり、セットアップ後、数日だけ滞在し、K君に後を託し僕は帰国した。その後、早々に朗報が来ることを期待していたが、いつまで経っても朗報は来ず、あっという間に1ヶ月が過ぎていた。香港においても、毎年よく売れる12月に向けてプロモーションを実施する事になっていたため、K君は上海を後にした。全く売れていないわけではないのだが、大物が全くと言っていいほど動かず、僕の心のメーターは徐々に自信から不安に傾き始めていた。その状態のまま、11月も終わり、12月になってしまった。  
12月に入り、残り2週間のタイミングで僕が上海入りした。その時点では相変わらず大物の動きはなく、お寒い売上状況であった。しかしながら、いくつかネタもあったので、そこに一縷の望みをかけて祈るような気持ちで日々売場に立っていた。中国語のできない僕が売場に立つ事は、すなわち、通訳も雇う為ダブルコストになるのであった。
しかしながら、この通訳もまた中々の存在感なのであった。名前はCさんと言い、当時30代中盤の小柄な女性で、日本人の旦那と2人の子持ちであった。そして、中国人にありがちな自分でもビジネスをやりつつ、得意の日本語を活かして小遣い稼ぎをしているというやり手なのであった。やり手なだけではなく、ビジュアルも良く、更には、その生き様からも透けて見える、営業力が半端ないのであった。何がスゴいって、とにかくグイグイ行くのである(笑)。香港のMさんのように懐に入り込むと言うよりは、無理やりねじ込むと言った感じで、見ているこっちが結構心配になるくらいであった。そして、本来は、僕の通訳をしているはずなのに、いつの間にかお客さんとCさんの間で丁々発止のやり取りが始まっており、僕は値引きの決済をするだけになっているのであった(笑)

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 Cさんのおかげなのか、タイミングの問題なのか、残り10日くらいから風向きが変わり始めた。元々あったネタが本格的に動き出しただけでなく、新たな大物が出現したのであった。明らかにお金持ちのオーラを放ったエルメスを持ったキレイなお姉さま(以後:エルメス)が現れたのであった。しかしながら、過去の購買顧客と比べて年齢的にも若い部類に入るため、僕はエルメスの出現に対して、当初そこまで期待をしていなかった。ところがである、切り込み隊長Cさんの肉も骨も切り落とすような豪快な切り込みによって、見事にエルメスが陥落したのである(笑)。香港のMさんにしてもそうだが、合間合間には、見ている方が心配になるようなやり取りが間々発生するのだが、どういう訳か最終的にはうまい事まとまったいるのである。これが日本人同士であれば、おそらく途中で物別れになっているのは間違いない、推測ではあるが、中華系の人々にとってはこのようなやり取りが、ある程度は当たり前のことなのであろう。日本でも東京のセレブと大阪の金持ちのおばちゃんとでは商習慣が違うのと同様に、民族が違うのでそれ以上の違いがあってもおかしくはない。それにしても、言葉が解らずに見ている方としては、途中のやり取りが理解できていないので不思議でしょうがない。

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 ちなみに、エルメスは、エルメス同様に素晴らしい色気を放った一枚板のテーブルセットと箪笥2棹そして、どういう訳、屋久杉の壺を2つ購入してくれた。なぜ屋久杉の壺を2つ購入してくれたかは不明であるが、そこはおそらくCさんの凄腕のおかげと僕は理解している。
エルメスを皮切りに一気に山が動き始めた。そして、エルメスには後日談がある。そのどちらも、次回以降で書かせていただきます。

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