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上海での衝撃

2019年5月1日、完全に勢いに乗っている上海で、旧日系の久光百貨に続いて、初となる完全なる日系である上海高島屋でのポップアップが始まった。しかも、1階のエントランスから入ってすぐの最高のロケーションに加えて、スペースも久光百貨の2~3倍はあろうかと言うくらいのかなりの広さで、形も悪くなかった。更には、壁面装飾もこちらに任されていたため、結構いい感じに仕上げていたので、期間は2週間と短いが、僕の中では最早、売れる予感しかしなかった。そのため、初日からの大商いを期待して、前日のセットアップで眠い目をこすりながら売場に立っていたが、流石にそうは問屋が卸してくれず、初日は想像以上に客足も少なくスロースタートであった。その時は、労働節の連休初日だったため、どっか出かけちゃったので買物系の動き出しが鈍いのかなぁ程度に考えていた。実際、筋の良さげなお客さんも数組いたので尚更その考えを肯定していた。

期待に胸を膨らませての深夜作業

とりあえず、すぐに売れるだろうと思っていたので初日と念のための2日目のみの滞在予定としていたが、残念ながら、2日目も売れず、後ろ髪引かれる思いで帰国した。だが、実はこの時少しだけ嫌な予感はしていた。と言うのも、2日間現場に立った、僕とK君の共通の感想が「て言うか、お客さん少なくね?!」だったからである。もちろん、連休で旅行に行っている可能性や高級住宅地に程近い立地のため、観光名所の近くで上海のど真ん中の久光百貨に比べたら少ないのは当たり前と言う事情を差し引いても、である。ただ、確かに場所柄、お客様の層はそれなりに良かった。だからこそ、嫌な予感がする一方で、それが思い過ごしであって欲しいとも思っていた。帰国後、何の連絡もないまま数日が過ぎていき、気が付けば折り返しも過ぎており、既にカウントダウン体制となっていた。痺れを切らした僕が、確認の連絡を入れたところ、いくつか、筋の良い商談は残っているようであったが、決め手に欠け期間内での成約は厳しい状況であった。僕も最終日には撤収及び同日の久光百貨への搬入もあるため、道中に吉報が届く事を期待して再度上海へ向かったが、吉報は届かなかった。
という事は、つまりは、前代未聞の売上0円だったのである。しかも、海外でである。一体いくらかけたんだと言う話で、当時社内で海外のコストが問題になっていたので、僕の立場的にも非常にまずかった。一方で、上海高島屋にしても、このような事態は初めてのことだったらしく、お互いにとんでもなく気まずく、こればっかりは、苦笑いするしかなかった。とは言え、どうにもしようがないので、気まずいまま、ほぼ徹夜で撤収と久光百貨への搬入を行い、仮眠を取って、翌朝は、K君と一緒に別のお客様のクレーム対応へと向かった。まさかの事態と徹夜の作業で、お互いに疲れ果てていたのであまり話はしなかったが、二人とも、久光での挽回しかないと心を新たにしていたはずである。

筋の良い商談もあったんですがね~

今回の反省としては、見立てが甘かったことに尽きる。久光百貨でコンスタントに結果が出ていたため、何となくうまく気がしており、人の流れや売場との相性等を甘く見ていた。久光百貨の7階のリビングと上海高島屋の1階を近しい条件で見てしまっていたのである。久光百貨は7階のしかもリビング売場なので、マットレスや、マッサージチェア等のリビング関連商材を買う気の人が来ている売場であるが、一方の上海高島屋は1階のエントランス付近のためほぼ全てのお客さんが何の気なしに通り過ぎる場所なのである。つまりは、上海高島屋において、うちの商品を売ろうと思うのであれば、いくら客層が良いとはいえ、久光百貨の倍どころか数倍の人の流れが必要なのである。ところが、現実的には倍どころかむしろ少ないくらいであった。冷静になれば、当たり前に気付く事を完全に見落としていた。と言うか、ちょっと調子に乗っていた。まさに好事魔多しである。

売場の完成度はピカイチなんですがね~

今回のこの結果とは直接関係はないが、めぐりあわせと言う意味で、この上海出張の時だったかは定かではないが、地味に1つの事件が起きていた。それは、予約していたホテルが実は民泊で、そうとは知らずにホテルがあるはずの住所に深夜に着いたがホテルがなく、焦りまくって電話を連絡したら、連絡が来ないからと勝手にキャンセルされていたという地味ながらも中々しびれる事件である。これはヤバイと思い、最早、丁寧に話している場合ではない察し、勢いで日本語でキレまくったら、隣の駅にある民泊を紹介された。これで一安心と思ったが、今度は何と、終電が終わっており、その上、タクシーもいなかった。スーツケースを引いて歩くには遠すぎるので、途方に暮れていると、怪しいスクーターのおじさんに声をかけられた。どう考えても、スーツケースも載らないし、二人乗りできるサイズでもなかった。ところが、そのおじさん、スクーターの足置きスペースにうまい事スーツケースを載せて、自分の足は宙ぶらりんで僕に後ろに乗れと言うのである。明らかに危ないが、それ以外に手段がない事を踏まえると乗るしかなかった。途中何度かヒヤッとしたが、5分後に無事到着。おじさんとの深夜のランデブー終了、そして、無事にチェックイン完了?
その後の久光百貨での結果に関しては次回以降で書かせていただきます。

こんな感じのスクーターでした



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