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中国の持つ潜在能力

2019年5月15日、上海久光での1か月間の展示販売会がスタートした。前回書かせて頂きましたように、前日までの2週間の上海高島屋での展示販売会においては前代未聞の売上ゼロをたたき出しており、諸々のコストを踏まえると昨年の10~12月の2ヶ月間で作った売上を1ヶ月で作らないといけない上に、社内の不穏分子も納得しないようなシビれる状況であった。
そのような状況の中、幕を開けた上海久光での展示販売会であるが、僕のこの差し迫った状況を神様が察してくれたのか、何と初日から小箪笥や小物が売れた。そして、翌日にも小箪笥が売れた。しかも、どちらも初来店のお客様の即決であった。商品特性や価格の関係もあり、今まであまり即決するお客様はいなかったのであるが、今回は、小箪笥とは言え、どういう訳か2日続けての即決であった。この即決を機に、勢いづくかと思いきや、流石にそうはいかず、その後1週間以上静かな日々が続いた。しかしながら、スタート直後に売れたという安心感と来店総数の多さも手伝ってか、1ヶ月のみの限られた期間しかなく、しかもその時点での売上も大したことない割には、不思議と僕自身に焦燥感は無かった。やはり、来店総数の多さが僕を癒してくれていたのだと思う。

上海久光百貨での第3回展示販売会

そして、開始から10日目に過去数回お求め頂いたことのある常連の韓さんがやってきた。実は、この韓さん、中々の曲者で、いつもとんでもない値引きを要求してきては、あの手この手で、1円でも安く買おうとするのである。最終的には買ってくれるので、ありがたいと言えばありがたいのであるが、駆け引きが長く、そして、激しすぎてやや面倒臭くもあった。今回も案の定、お目当てのソファとチェアをロックオンし、初めから飛ばし気味の値引きを言ってきた(笑) あたかもこちらの窮状を解っているかのようで、韓さんの動物的勘の鋭さに驚きを隠せなかった。そして、商談は当たり前のように韓さんペースで進み、残念ながら、価格的にも韓さんの希望小売価格に近い中々な金額となってしまった。状況的に余裕があれば確実にお断りしている価格ではあったが、この時ばかりはそうも言ってられなかったので、涙を飲んだ。ある程度の高額商品が売れたこと自体はホッとしたのであるが、相変わらず韓さんにしてやられた感は否めなく、ちょっと悔しい気もした(笑) その後は、日々順調に見込み客も増え、現場にも何とも表現しがたい、何とかなる時の気配が漂い始めた。

縁起の良い名前の通り

そんな時である、またとんでもない爆買いモンスターが突如として現れたのである。「コレとコレとコレと・・・」と言いながら、次から次へと指をさしていき、最後に「全部買ったらいくらにしてくれる」と言い放ったのである。家族連れの旅行者っぽい感じでもあったので、冷やかしかと思い適当にあしらっていたところ、「じゃあ、コレも追加したらどうなる」と思った以上にしつこく、しかも目が本気であった。実際、山西省からの家族連れの旅行者ではあったが、家族全員値引きスイッチがオンになっており、こちらもスタッフ総出で対応していたため、最早、何かの大会かのような熱気さえ帯びていた。その後、1時間近いやり取りがあり、最終的には、かなり高額な物も含めて一枚板4枚にソファ+オットマンと言う、意味の解らない組み合わせで落ち着いた。商談しながらも、この人たちはこれを使うのか、保管するのか、はたまた転売ヤー?とか色々な想いが頭を巡ったが、あまり深くは考えないことにした。遠方という事もあり、物流への不安があったが、その分を値引きしたと言う理屈で事前に理解を求めておいた。色々な見込みのお客様もいたが、最早それら全てを差し引いても余るくらいの売上となり、目標金額もほぼ達成、心が羽毛のように軽くなった(笑)

2500mmの大板

その後、残り数日となった際に、残り物を買い叩こうかと言う勢いで韓さんがやってきた。こちらとしては、必要十分な売り上げは確保できていたので、強気の交渉姿勢で臨んだため、へそを曲げて何も買わずに帰るかと思いきや、意外や意外、ソファを追加購入してくれたのである。おかげで目標ハイ達成。しかも、韓さんに一矢報いた感もあり、個人的にはご満悦(笑)。更には、彼らはお金は持っているので、底値を探ってはいるが、最終的に、欲しいものは買うのだと言う、確信めいた気付きまで頂いた。この時点で、僕の中の会期は終了していたが、最終日に更に嬉しいお知らせが、元々見込みとしてあった、以前出張ついでに一枚板を買って行ってくれた北京のお客様がなんと、電話注文で箪笥とソファを2つづつ更には、小さめの一枚板まで購入してくれたのである。結果、会期が短かったにもかかわらず過去最高の売上となった。
上海高島屋から始まり、今回の一連の上海での展示販売会は本当に学びが多かった。特に、海外(中国本土がかもしれないが)は、当たればデカいがギリギリのところで空振りに終わることも、まだまだ、十分にあり得るエリアであるという事と、それを踏まえた上での価格設定や交渉の機微を感じ取る事が肝であるという2点は、その後の事を踏まえてもとても貴重な学びであった。
そして、会期終了後に、今回のスーパーハイ達成を含めた過去3回の実績を踏まえてか、上海久光百貨サイドより念願の常設の話が浮上してきたのであった。
常設化の話に関しては次回で書かせていただきます。

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