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③モンキー125で巡る四国路 三日目、四国中央市から高知、そして八幡浜へ

朝日が差し込む窓辺で目を覚ました。外を見ると、雲ひとつない青空が広がっていた。今日は絶好の天気だ。

昨夜は四国中央市のビジネスホテルに泊まった。シンプルながら清潔で、質素ながらも快適に眠ることができた。一人旅ならこれくらいの宿で十分だろう。

スーパーホテル四国中央、とても快適でした✨

ゆっくりと身支度を整え、まずは朝食をとることにした。小さなロビーに併設された簡素な食堂で、卵とパンをいただいた。旅の朝食は、こうしたシンプルなものが良い。

さて、本日の予定は、まずは高知県高知市を目指すことだ。そこでカツオのタタキを味わい、その後は愛媛県八幡浜市へ向かう。四国で三日目を迎え、いよいよ本格的なツーリングがスタートする。

小さなモンキー125に荷物をまとめ、エンジンをかけた。125ccの単気筒エンジンの音が、朝の静寂を打ち破る。頭をよぎったのは、今日の旅が遠いわけではないが、やはり山岳地帯を越えねばならぬことだ。四国の中央を横切る山脈を越えて、太平洋側の高知へ向かうのだ。厳しい峠道が待ち受けているかもしれない。しかし、そんなことを考える前に、モンキー125の扉はすでに開かれていた。

細い路地から町道へ出ると、見慣れた景色が視界に広がった。ゆったりとしたカーブに誘われるように、モンキー125のアクセルを静かに捻る。馬力は中型車に比べればあまりないが、峠道を登る際の軽快な足捌きは格別だ。まるで山道を駆ける野生の子リスのようだ。

ツーリングの道には、度々出くわす峠が実に数多くある。けれども、その現実に決して飽きることはない。むしろ、そんな道こそが、バイクを楽しむ真髄なのだと私は思う。平坦な地を無心に走るのも悪くはないが、やはり次々と広がる心を奪う景色が待つ山道に、ツーリングの真の魅力を感じる。モンキー125にまたがることは、そんな道との対話を喜びとして堪能することなのだ。そう感じると、この旅への情熱が改めて湧き上がってくる。

四国中央市を抜け、次第に山間部へと足を踏み入れていく。両手両足でハンドルとフットブレーキを操り、クランクケースが時折軋む音を立てながらエンジンをフル回転させる。モンキーは時速50kmを下らず、垂直に迫りくる崖から目を背けない。幾多の峠を越えてきた私にとって、この迫力すら何気ない光景なのだが、初心者のライダーならひるむかもしれない。だがこの危なげな道もまた、モンキー125の本領が発揮される場所なのだ。小柄な車体を活かし、どんな急カーブにも怖れることなく突入できる。つまり、他の大型バイクではむしろ行き難い道が、モンキー125の出番なのだ。

確かに、四国の山々は厳しい。手ごわい峠が数多く待ち受けていることだろう。しかし、そうした道に立ち向かうことこそが、モンキー125の真骨頂である。軽装備でありながら、車体はコンパクト。その意外にも鋭い走りは、まさに峠道の達人だ。そう感じると、先の道のりも決して恐れるには値しない。かえって、未知の絶景に出会えることを心待ちにしている自分がいた。

ガソリンを補給しながら、ひと休みを取る。周囲を見回せば、自然が作り出す大パノラマが目に飛び込んでくる。雄大な山並み、木々の青さ、風に揺れる葉の音。ふと感じたのは、旅に出るということの意味だった。人里離れた土地を往くと、都会では決して味わえない瑞々しい自然の息吹に出会える。そうしたものに触れ、心を新たにすることが旅の醍醐味なのだ。

道の駅「大歩危」からの景色。絶景です!

休憩を終え、再び愛車にまたがる。いよいよ本格的な峠越えが始まる。自然がこれでもかと迫ってくる峡谷は、ライダーに絶え間ない緊張を要求する。ひとつ油断すれば崖下への一直線だ。しかし、そうした危険さえも、モンキー125の軽やかな走りが冷静に難所を潜り抜けていく。コーナリングは見事であり、スロットルの微調整ひとつで自在にコントロールできる。峠の王と呼ぶべき、その足取りの軽やかさだ。

大歩危の道の駅を発ち、約2時間が経過した。そろそろ高知市内に到着する頃だろう。数多の峠を越えてきたが、ようやく一筋の道が開けた。その先には、壮大な太平洋が遠くに広がり、手前には高知平野が目前に広がっていた。ついに目指す場所のひとつに到着したのだ。高みから下界を見下ろすと、心に解放感が満ちてくるようだった。

峠を抜けると、いよいよ高知市内へと足を踏み入れる。幹線道路は緩やかな下り坂となり、モンキー125を滑らせるのが心地よかった。すると、途中で土佐の国の守護神である「カツオ」を偲ばせる何やら懐かしい光景が目に飛び込んできた。

大通りを挟んで建ち並ぶアーケードの一角に、「帯屋町」という看板が掲げられていた。予め調べていたとおり、ここが高知を代表するカツオの名店街であることを知っていた。思わず路肩に寄り、モンキー125を停める。

高知市の中心にある「帯屋町」

地元の人から教えてもらったお店を探しながら、アーケードの奥をゆっくりと歩いていく。すると、小料理屋の店先で元気な声が私を迎えた。「いらっしゃいませ!カツオのタタキ御膳でございますか?」。そこは昔ながらの佇まいと、繁盛ぶりを感じさせる店だった。

「はい、お願いします」と答え、椅子に座り、ウーロン茶も注文する。しばらくして、タタキの盛り付けられた御膳が運ばれてきた。箸をつけると、最高の旨味と香りが広がった。

老舗の店で供された皿には、柔らかく脂がにじむ身欠きなくカツオのタタキが盛られ、白い御飯が隣り合わせに盛られていた。初めて口に運ぶと、そこには想像を絶する上品な味が広がった。香り高く、そしてなめらかな食感。脂と旨味がたまらなく口中に広がっていく。こんなに美味しいとは思わなかった。高知の誇る食材の素晴らしさに改めて驚いた。

土佐の海で獲れた新鮮なカツオは、脂のりも適度で、老舗ならではの味付けが施されていた。普段口にする薄味のカツオとは比べものにならないほどの美味しさだった。まさに生カツオならではの風味を堪能できたと言っても過言ではないだろう。

本場のカツオのタタキです。想像を絶する美味さ!

このカツオのタタキを堪能できただけでも、今回の四国ツーリングで高知に立ち寄った価値は十分にあった。しかし同時に、高知にはこの食材以外にも魅力的なスポットが数多くあることを思い出す。坂本龍馬が活躍した土地であり、年がら年中温暖な気候に恵まれているなど、観光地としての要素にも事欠かない。残念ながら今回は、時間の都合で高知城や室戸岬などを巡ることはできなかったが、次の機会は作らねばならない。

幾ばくかの時間を割いて、高知の町を散策した後にバイクへと戻った。次なる目的地は愛媛の八幡浜だ。ここから西に向かい、うまくいけば3時間ほどで着くはずだ。

はりまや橋の近くにモンキー125を留めていました

高知を出発し、途中から前方に山々の連なりが見え始めた。それは四国の真ん中を東西に横切る山脈だ。再び峠越えが待ち受けるこの区間、注意深く走らねばならない。

ウインカーを出して車線を変更すると、先頭に赤いスポーツバイクが現れた。あれはツーリングパーティーの先導車だろう。そのグループについていくため、ペースを上げていく。次々と現れるカーブを駆け抜けるスポーツバイクたちの勇壮な走り。一方で、私は慎重なスピードを保つ。まだ道に慣れていないし、無理は禁物だ。


<筆者 自己紹介>
私は現在40代後半に差し掛かり、子供たちも徐々に自立し、自分の時間を満喫できるようになりました。免許を取得したのは30代後半でしたが、仕事と家庭のバランスで中々バイクに乗る機会がありませんでした。しかし、最近になってようやく自分の時間を楽しむ余裕ができました。大型バイクは維持にお金がかかりますが、手軽に乗れて維持費も抑えられるバイクを模索していました。そこで私が出会ったのがモンキー125です。このブログでは、私のモンキー125にまつわるエピソード、ツーリングの思い出、カスタムの詳細など、私自身が体験したことを共有していきます。

それに加え、私のYouTubeチャンネルでもいくつかの動画を公開していますので、ぜひ一度ご覧いただければと思います。🏍️✨

モンキー125の走行シーンと独特のサウンド、そしてツーリング体験を、まるで現地にいるかのようにお楽しみいただけます!ぜひご覧ください👇

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