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Q.なぜ唯識思想は大乗仏教の救いの思想に繋がるのか A.一人一宇宙だから

唯識が大乗仏教の慈悲に繋がるのは一人一宇宙だから、という答えを横山紘一さんの「やさしい唯識」(NHKライブラリー)に見つけた。

唯識思想ではただ識のみが存在し、識以外に自分も外界も存在しない。
すべての存在と認識するものは、意識の最も底にある阿頼耶識の投影である。
人はみな、ひとりひとり、阿頼耶識から生じたものを世界、宇宙と認識し、そこから抜け出ることはできない。これを「一人一宇宙」という。一人ひとりは別々の宇宙を持っているということだ。お互いの眼前に「あり」、同じように見えているだろう富士山ですらも絶対的に存在しているものではなく、お互いが富士山と名付け、お互い言葉を交わすことで、お互いの目の前にあるが如くに、お互い認め合っているだけだという。

別の宇宙に存在する人の認識は自分の認識とは違って当然。このことに気がつけば、「なんでわかってくれないんだろう」と感じる代わりに、相手への思いやりが生まれる。「一人一宇宙だから感じ方、考え、好き嫌い、決断は違っていて当然だ」と思えば、なぜお前は俺に従わないのだ!という自己中による憤りがなくなり、認め、赦し、支える心の余裕が生まれる。「ああ、みんな重たい荷物を背負って生きているんだ」と思いやる心。犬も猫も、鳥も、蟻も、同様に一生物一宇宙に住んでいる。みんな大変な生活でしょう。こう思えるようになればなるほど、他者への謙虚さ、思いやり、慈悲の心が生まれる。Respect others.


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