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アイドルが演劇の舞台に立つということ・exたこやきレインボーの現在

12月、たこ虹の4人が演劇の舞台に立ちます。くーちゃんとさくちゃんは大阪松竹座「大阪環状線 大正編~愛のエイサープロポーズ大作戦」、まいまいとれんれんは草月ホール「僕らの深夜高速」。どちらも12月中旬の公演で、まるかぶりする日程。さきてぃはインスタグラムで公開された写真から何らかの仕事をしているような雰囲気が感じられます。

アイドルが演劇の舞台に立つので、私が思い出すのは、1999年に上演されたつかこうへい演出の蒲田行進曲。このとき主役となるヤスを演じたのが草彅剛で、実際に舞台をみて、とんでもなくヤバイものを見ちゃったな・・という強烈な記憶が残っています。感動したというよりも強烈な衝撃。そのときは自覚はなかったのですが、語り草になり伝説の舞台とまで言われるようになったものです。
つかこうへい演出は脚本はあるのですが、稽古は一日に10時間だったり、その場で台詞が変わったり追加されたり、初日を迎えたあとも日々変わっていくというもので、演者は本当に大変だと思うのですが、でも、草彅剛は、この舞台がターニングポイントとなって、こののち舞台やドラマ、映画で活躍して、現在も第一線で走り続けています。

演劇は、稽古に費やされる時間も多く、公演も複数回におよぶもの。どのような舞台にもよるかと思いますが、得られる経験は計り知れないもので、その経験は芸能活動のあらゆる場所で活かされるものになるのではないかと思うのです。また、固定客がいるアイドルを招いての舞台は、動員も見込めるわけで劇団や興行側にもメリットがありウィンウィンな関係にもなる。
最近の演劇事情は知らなかったのですが、小劇場の舞台にもジャニーズが客演というかたちで迎えられていて、すごい時代なんだな・・、と改めて感じました。

四人の舞台は、くーさくが商業演劇。まいれんが小劇場の演劇というところをとても面白く感じています。それぞれに違った良さと面白さがあって、特に私は、80年代に夢の遊民社や第三舞台といった小劇場の舞台をよく観に行っていたので、なおさら嬉しく感じます。
小劇場の舞台は、とにかく自由で奔放な表現や演出ができる。特に今回、「僕らの深夜高速」は、実在するバンドをベースにした物語ということで、共演者の方々が若いことから、まいまいとれんれんが大きな刺激を受けることになるんじゃないかと思います。そして、草月ホールという歴史ある劇場というのも嬉しい。私が80年代、演劇情報を「ぴあ」でチェックしていたときに、よく目にした場所でもあります。

そして、くーちゃん、さくちゃんの舞台「大阪環状線」。なにが嬉しいって、歴史ある大阪松竹座で上演されるということ。松竹にとって、歌舞伎もおこなわれる基幹となる劇場。くーちゃんとさくちゃんは、なんばグランド花月の舞台にも立っているわけで、吉本と松竹の大きな舞台に立つという経験、キャリアという意味でもすごいことだと思うのです。
松竹の舞台というと、私は往年の藤山寛美の松竹新喜劇を思い浮かべるのですが、基本はハートウォーミングな人情ばなしというのもいいなぁって思っているんですよね。
さらに、この舞台、脇を固める方々もすごい。上杉祥三は、かつて、劇団夢の遊眠社に在籍していた方で、私自身、野獣降臨(のけものきたりて)で主演されていたのを本多劇場で観たことがあります。調べてみたら1982年で、今から39年前でびっくりなのですが。また、陰山泰も遊◎機械/全自動シアターで活躍されていた方。
そのようなことを考えるとメインが若手で、キャリアのある方が脇を固めるという、新鮮さと安定感を両方兼ね備えた舞台ということになるのかなぁと思っています。

さくちゃんは、2月にも「僕らの七日間戦争」の舞台を控えていますが、知らない人はいないような有名な作品。共演者にはすごい方々が名を連ね、さらには、大阪環状線の舞台が千秋楽を迎えたら、すぐに稽古に入るようなタイトなスケジュール。
ほかのメンバーも、さまざまな仕事が入るでしょうし、次のステージに向けての大きな経験が得られるものと思っています。



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