読書記録 2024.1
先月読んだ本をまとめておこうと思う。
1月は10冊。このペースで読んでいけたらうれしいゾ。
深く、しっかり息をして 川上未映子エッセイ集 川上未映子
川上未映子が、雑誌Hanakoに掲載していたエッセイを抜粋したもの。
2011年から2022年までの12年間の変化が綴られている。
メイクやファッションの悩みから、社会の変化について、少し上のお姉さんはこんなことを考えたり思ったりしてきましたよーという、先輩と飲み屋で話しているような、そんな感覚になる本でした。
日々の心と身体の変化を楽しみながら受け入れていく愉快さみたいなものを学ばせていただきました。
氷柱の声 くどうれいん
東日本大震災が起きたとき、盛岡で高校生をしていた女の子の10年の時間をたどる小説。
くどうれいんさんは、食エッセイのイメージが強いのだけれど、小説もとてもおもしろかった。
東日本大震災に限らず、地震などで被災された人というのは、一括りに「被災者」としてのレッテルを貼られるけれど、「被災者」もグラデーションなのであって、その括りに苦しめられたり、馴染めない方もいるのだなという、考えてみれば当たり前のことを思った。
卍 谷崎潤一郎
友人に勧められて読んだ本。はじめての谷崎。
内容に関しては、時代もあるのだと思うのだけれど、正直なところ、園子にも光子にも、人としての感情移入が難しかった。
20代前半って、もう少し大人じゃなかろうか。こんなものなのか。なんだかなめられているように感じなくもなかった。
しかし、光子の使うハズさんという呼称はとてもよかった。
普段、ご主人だとか、嫁だとか奥さんだとかの呼称にうーんと思っているわたしには、戦後間もない頃のほうがよほど洗練されているように思えた。
東京奇譚集 村上春樹
『偶然の旅人』
『ハナレイ・ベイ』
『どこであれそれが見つかりそうな場所で』
『日々移動する腎臓のかたちをした石』
『品川猿』
先週末、レイモンド・チャンドラーの『大聖堂』の読書会があった。
その日の夕方、友達に連れて行ってもらったモスクで、視覚障害者と一緒に山歩きを楽しむ会の御一行と出会った。
そのまた次の次の日、皇居を走っていたら、視覚障害者と伴走する方をお見掛けした。
こういう些細な偶然が、人生を変えるのかもしれないと思う。わたしのデスクには、モスクで知り合った方の名刺がある。
おいしいもので できている 稲田俊輔
ずっと気になっていた本を会社の福利厚生で手に入れた。
食エッセイは大好物。この本を読んで、いてもたってもいられなくなり、お蕎麦屋さんに駆け込んだのはわたしです。
ああ、いつか蕎麦屋飲みというものをしてみたいなあ。
三千円の使いかた 原田ひ香
TVドラマ化もされた話題の本ということで借りてみた本。
お金の悩みについて、世代間や世帯状況などで浮き彫りにした感じの本。
さくっと読めたけれど、特に心に残るようなものはなく。
わたしは小説に登場する者たちの心の声という名の決めつけがあまり好きではないぞ、と再認識したのであった。
壁 安部公房
とんでもない話であった。
読書会の課題図書として読んだのだけれど、そうでなければ読み切れなかった可能性が高い。
読書会の中で、主体性を奪われることの暗喩では?という意見があり、なるほどな~と思ったものの、本当に意味が分からなかった。
頭が良すぎる人の世界、本当にカオスである。
ただ、ここで安部への理解をあきらめるのは少しもったいないぞ、という感覚はあった。
『砂の女』の方が読みやすいらしいので、いったん『砂の女』に逃避行してみようかと思っている。
羊をめぐる冒険(上) 村上春樹
再読。好きな作品。
前回読んだのは何年前だろう?
思っていた場面に上巻ではたどり着けず、あれ、上巻ってこんな場面で終わりだったっけか、と思った。
ハードボイルドな感じがよい。
羊をめぐる冒険(下) 村上春樹
再読。好きな作品。
下巻でようやく好きな場面に移り変わる。
ここからは、大好きな映画を観ているように、わたしの中で映像が動き出していく感じ。
やっぱりこれを読んだら『ダンス ダンス ダンス』を読みたくなってしまうよね。
推し、燃ゆ 宇佐見りん
こちらは芥川賞受賞作、ということで読んだ本。
タイトルからして、推しが炎上したファンの心の機微みたいな話だろうと思っていたのだけど、それ以上だった。
巷でよく耳にするようになった、発達障害やADHD、学習障害などを匂わせてくる主人公。
診断されているわけではないので、わたしの推測にすぎないけれど、おそらく境界知能なのだろうなと。
いわゆる社会的弱者に位置づけられる人の生きづらさ、みたいなものをうまく表現されているなと思った。
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