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ネトフリの「世界の"現実"旅行」がなかなか衝撃的だった。

ネトフリでドキュメンタリー番組を探していた時、とある番組を見つけて興味を持った。

「世界の"現実"旅行 DARK TOURIST」という1エピソード40分 全8回のドキュメンタリー番組だ。

人によっては不快になる内容が多く含まれるので、閲覧注意な番組だ。

この番組は、人が死んだり、災害が起きたり、危ないところ、事件が起きたところなどを旅していくという、言ってしまえば不謹慎きわまりない旅行番組だ。

ネトフリ版クレイジージャニーといえばなんとなく伝わるかもしれない。

扱うテーマの重さとそこに旅行しにくる人びとのノリの軽さ故、いろんな人からぶっ叩かれても全くおかしくない番組となっているので、見ているこちらも「おいおい、こんなことやってて大丈夫か・・・?」とヒヤヒヤしてしまう。

この番組の魅力は、ニュージーランド生まれのメインレポーター、デヴィッドの切り込み力だろう。
デヴィッドは現地の人々に切り込みにくい質問をズバッと聞いていく。(そしてたまに敵視される)
その場にいる人たちが何を考えているのかを明らかにしていくことで、理解できない人の心理的な部分まで踏み込んでいく。

そして彼が頻繁に見せるドン引き顔も、この番組の魅力の一つだ。

1エピソードで1カ国だいたい3箇所まわるのだが、個人的に印象だったTOP5を紹介する。

5位:ラテンアメリカ パブロ・エスコバル側近の元殺し屋との出会い

コロンビアの麻薬王、パブロ・エスコバルの遺産を取材していく中で、デヴィッドはなんとパブロの下で働いていた元殺し屋のポパイへの取材に成功する。

パブロの命令により何百人も殺してきたポパイは、驚くべきことに、現在SNSでパブロについての有識者として一躍人気者となっているのだ。

画面に映る彼は、かつて人をたくさん殺してきたとはまったく思えない、いまや、ノリのいいおじさんである。

彼は釈放されてから更生したといっているが、本当に更生しているのだろうか?
最後の殺しのデモンストレーションがリアルすぎて怖い。

彼の内面が読みきれないもどかしさが印象的なエピソードだ。

4位:アメリカ 現代に生きる吸血鬼たちとお食事会

アメリカ ニューオーリンズ州にはマジモンの吸血鬼がいる。

彼らは、人血を飲むことが好きなのだ。

デヴィッドはそんな吸血鬼たちへの取材に成功し、彼らのお食事会に参加する。

そこで行われるのは、もちろん吸血だ。
なかなか強烈な映像である。

ここで登場する人物がみんな圧倒的にファッションがオシャレであるのも印象的だった。
ロックやパンク系の人がヴァンパイアには多いのだろうか。

自分の知らない世界があるということを実感させられる。

3位:アメリカ 世界最恐の体験型お化け屋敷「MCKAMEY MANOR」への潜入

アメリカにはシャレにならないほど怖い恐怖体験ができるスポットがある。

「MCKAMEY MANOR」は元軍人のラスによって運営される、「究極のホラー体験」を味わうことができるお化け屋敷だ。

そこではラスや他の演者たちによる数々の拷問が繰り広げられ、参加者たちはトラウマ確定レベルで追い詰められ、恐怖を植えつけられる。
(MCKAMEY MANORで検索すればいっぱい動画が出てくるが、サムネだけでちびりそうになるくらい怖い・・・)

インタビュー中のラスは気のいいおじさんであるが、行なっていることは誰がどう考えてもサイコパスである(本人はインタビュー中に私はサイコパスではないと言っている)

彼は、自分が行なっていることはフェチなどではなく、エンターテイナーとして自分の得意分野を活かす道を見つけた結果なのだ、と語る。

いや、どう考えてもサイコパスでしょ。。。怖いわ。。

2位:インドネシア ミイラを清める儀式

この番組ではしばしば死生観について考えさせられる。

インドネシアのトラジャという地では、デヴィッドは多くの動物たちの死に触れる。
牛や豚たちが儀式の一貫として殺されていく映像はなかなか強烈であるが、普段自分たちの食べている牛や豚たちもまったく同じことをされているということを忘れてはいけない。

そして、この地ではミイラの儀式を行う。

トラジャでは、死は恐れるものではなく、当たり前のこととして祝福している。
ミイラを清めることも、この地では自然なことなのだ。

内容は衝撃的ではあるが、
不思議な余韻のあるエピソードに仕上がっている。

1位:福島 被災地ツアー

この番組では日本の被災地も訪れている。

自分の国ということで覚悟をしながら見たが、なかなか衝撃的な内容である。

人によっては非常にセンシティブな内容なので見ることを積極的に進めることはできないが、こういった姿で日本という国が捕らえられているということも事実なのだと実感する。

内容は、ヨウという謎の日本人ガイドが外国人をつれて福島の被災地をツアーするのだが、いろいろと揉めた結果、ツアー参加者の満場一致でツアーは中止となってしまう。

決して楽しい内容ではないが、もっとも印象的なエピソードであった。

また、日本では樹海と軍艦島も取り上げられているが、途中で挟まれる「ハウステンボス」がデストピア後の遊園地と紹介されていて笑ってしまった。(ハウステンボス名物のVRメリーゴーランドはやっぱり面白い)

以上、個人的に印象だったエピソードTOP5である。
他にもケネディ暗殺ツアーに参加したり、独裁国家トルクメニスタンに潜入したり、ヨーロッパで第二次世界大戦再現体験をしたり、アフリカでブードゥー教の祭りに参加したりなど、印象的なエピソードは山ほどある。

なかなか賛否両論な内容となっているが、負の側面を見ないようにするよりも、受け止めた上でどう向き合っていくかを考えるのは大切だと思う。

番組の内容をどう捉えるかは視聴者にも委ねられるため、倫理観も試される番組だと思う。

ところどころヤラセ感もあるので全てがありのままの真実ということはないと思うが、文化・歴史・心理学の勉強として見るといいのではないでしょうか。

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