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unity1week「かわる」制作振り返り

1週間でUnityでゲームを作るイベント、unity1weekに参加し、「あなたはロボットではありません」というゲームを公開しました。

今回はこのゲームの制作について振り返っていきます。
今回は反省点多めの振り返りになっています・・・!

※この記事はゲームのネタバレを含みます。未プレイの方はぜひ先にプレイしていただけると嬉しいです!


ゲームのアイデアを考えるのに苦労する

今回のテーマは「かわる」。
なんとなく最初に思い浮かんだテーマとして「プレイしていく中で認識がかわる」という題材がありました。(ちょっとメタい)

ただ、当初はゲームのアイデアが漠然としすぎていて、しっくりしたビジョンを描くことができないでいました。
なんとなくのやりたいことはあるけど、それを実際のゲームに落とし込む作業が自分の中でしっくりこなく、「これでいこう」というものにたどり着くまでに1週間くらいかかってしまいました。

「ゲーム性」という課題

一番課題に感じたのが、ゲーム性をどう出すか。
自分がゲーム制作をする上で得意と感じている部分は世界観作りとか雰囲気作りの部分と思っていて、苦手なのはゲームのシステム部分とか、ゲームの根本的な「楽しさ」を作る部分だと思っています。

今回のゲームはなんとなく「ノベルゲーム」的な雰囲気になるだろうなと考えていましたが、何かもう1スパイスを加えたいなと思っていました。
いろいろ考えたのですが、どれもしっくりこず・・・

ゲームのシステムとシナリオを合致させるのってすごく難しいです。
シナリオを入れたいという気持ちがあっても、
シナリオに引っ張られすぎるとゲーム性とちぐはぐになってしまいます。

固まらないアイデア

締切前日になってもまだアイデアが固まりきっていなかったので、流石にもう手を動かさねばと思い、無理矢理シナリオを固めました。
ゲーム性の部分は、「パズル」という形でミニゲーム形式で切り出してシナリオに挟み込むことに決めました。

  • アルゴはプレイヤーに自分をDELETEさせようとしている

  • その実行権限のためにパズルを解かせてくる

  • 最後はプレイヤー自身が「DELETE」と入力してアルゴを削除する

この3点だけ決まっている状態でイラストの作成をお願いしました。
イラストは前回のトゥトゥルパ神のキャラデザを担当してくれた、エス氏に依頼させていただきました。今回もありがとう!

パズルが面白くない問題

ここで、また1つ問題が発生します。
自分がパズルを考えるのが苦手という問題です。

最初に考えていたのは数学的なアルゴリズムの知識が必要なパズルでした。
ちょうど自分が基本情報試験を勉強していたのもあったので、2進数・二分木・ソートなどの知識を応用した問題を考えていました。
ところが、このパズルが全然面白くできませんでした。
途中まではこの面白くなさに対して目を瞑ろうかと思っていたんですが、次第に妥協したくないという思いが増し、結局パズルを一から作り直すことに決めました。

↑深夜の開き直りポスト

ターニングポイント

エス氏とどういったパズルが面白いかという議論をし、
認証のパズル面白いよねとか(王様の上に王冠を載せましょう的なやつ)
バスの画像選択してくださいみたいなやつでめっちゃ難しいやつあるよね、という話題があがりました。
いわゆる「私はロボットではありません」の認証(CAPTCHA認証)です。
そこで、「認証の操作をそのままゲームとしてパズルにしてしまったら面白いのでは? 」というアイデアがあがりました。
ここがこのゲームのひとつのターニングポイントだったかなと思います。

ロボットであるアルゴは自身で認証は解けない。
→DELETEするにはご主人様に認証を行ってもらうしかない。
→ご主人の脳波にアクセスして記憶を消すことができる

と連想させて、シナリオもするすると構築することができました。
パズルの中身も全部再構築し、結果的に当初考えていたパズルよりだいぶ面白いパズルができあがりました。

こうして、やっと実装フェーズに移っていきます。

ミニゲーム集、作るのしんどい

今回ミニゲームとしては全6ステージ用意しました。
実装面である程度使い回せるシステムはあったものの、操作方法の異なる各ステージを毎回0から作っていくのは、イラストもコーディングも時間がかかりました。

ミニゲーム集というものは、考えるのは簡単で実装はめんどくさいということを実感しました。

特に苦戦したのがステージ5の言葉パズル。
「ウ」と「ト」のワードが2個あり、どちらのワードオブジェクトが並んでいても許容するシステムの構築が時間かかりました…

言葉のパズル。難易度調整にも悩みました。

unity1weekのような制作スピードが求められている状況でミニゲーム集をつくるのは控えたほうがいいかもしれません・・・
そんなこんなで、2週間目の日曜日にゲームが公開できました。完全にunity2weeksになってしまいました🙇

こうして無事公開することができたのですが、最後まで反省として、ミニゲームの域を脱せず、シナリオとゲーム性が分離している感が拭えませんでした。

改めて、今後シナリオとゲーム性をうまく組み込むためにどうすればいいか、少し考えてみました。

シナリオとゲーム性について考える

そもそもゲームにシナリオは必要なのでしょうか。
自分なりの答えとしては「なくてもよいが、うまく使えば強力な武器になる(のでうまく使いたい)」です。
シナリオはプレイヤーの感情をコントロールする要素であり、「ゲーム性」とうまくシナジーを起こすことができれば、プレイヤーの感情を揺さぶる、極上のゲーム体験へとつながります。
うまくゲーム性とシナリオが組み合わさったゲームは、楽しくて感情を揺さぶられる、満足度の高い面白いゲームへと仕上がるのです。

今回のゲームジャムで遊んだゲームのうち、シナリオとゲーム性が見事に合致してめちゃくちゃ面白いゲームを4作あげさせていただきます。(勝手にすみません・・!)

3人の勇者

自分の操作で絵本の結末を変えていくパズル。バッドエンドのストーリーを自分の手で救っていく工程は、まるでプレイヤー自身が勇者であるような感覚があります。最終的にハッピーエンドに導いていくため、プレイ中の感情も終わりに向けてプラスな方向へ寄っていくのが、このゲーム体験の良さに直結しています。

『Dear past diary,』

過去の日記の結末をアイテムを駆使して変えていくゲーム。画面構成がシンプルですが、その分想像力を掻き立てられます。日記を読み進める行為には小説の世界に自分が入り込んでいる感覚があり、ノスタルジーな世界に浸るようなゲーム体験があります。終盤のとある演出により、ゲームの世界と現実世界のプレイヤーがダイレクトにリンクする瞬間があり面白いです。

サクラヤグラ

ターン性のパズルの仕組みを上手く使ってセリフが展開されるゲームです。ステージの状況・世界観・キャラクターたちの個性がゲームをプレイしていく過程でスッと入ってくるのが、ゲーム設計として素晴らしいです。厄介な性格のキャラクターたちの言動が面白く、ついプレイ中に笑ってしまう場面も。
そうして世界観に愛着が芽生えた末のラストの展開が本当にエモいので、全人類にプレイしてほしいです。

かわらないハルカ

可愛い絵柄なのにパンデミック。ハードな世界観を裏切らないシビアなリソース管理を繰り返しながら、終焉に向かっていく儚さと美しさが心地よいです。
終盤はプレイヤーがカツカツになっている状況と、ゾンビ化が進んでいくハルカの酷な現状がリンクし、感情を揺さぶられます。

どのゲームも、シナリオがゲームプレイ中の感情をうまくコントロールしていて、ゲーム体験のクオリティをグッと上げています。
設定とゲームシステムに必然性があり、その上でシナリオが効果的に働いているという構図がうまく構築されていて、めちゃくちゃ勉強になります。
また、シナリオをうまく駆使したゲームは、プレイ後に一種の読後感を味わうことができ、終わった後もゲームを思い出しながら余韻を楽しむことができます。

そしてなにより、これらのゲームは本当に面白くて大好きなので、ぜひより多くの人に遊んでいただきたいです!

まとめると、ゲームシステムとうまく合致する設定(世界観)を見つけ出し、シナリオでプレイ中の感情をコントロールする、という工程を踏めば、ゲーム体験の質を上げることができます。

シナリオを通してどんな気持ちになって欲しいかは、感情曲線を意識するといいかもしれません。
王道的なパターンもいくつかあるので、うまく活用していきたいですね

上手くいった部分についても書きたい

ここまで反省点ばかり書いてしまいましたが、今回のゲーム制作を通して満足いった部分もありますので、ちゃんと書いていきます。
ここは、自分の「好き」をつめこんだ部分です。

クラシカルなBGMでエモーショナルな雰囲気作り

今作では白葉くじ(しろくじ)さんのフリー音源をたくさん使わせていただきました。

クラシカルな音楽が好きで、しろくじさんの楽曲を使うのは夢でした。
自分がゲームのアイデアを考える時自分がよく行うのが、音楽を聴きながら連想する手法です。
今回も最初に音楽を決め、シナリオを考えていきました。
以下はゲーム内の各ステージの題名です。

ステージ1:導入(BGM:入道雲)
ステージ2:日常(BGM:水滴)
ステージ3:疑惑(BGM:アラベスク)
ステージ4:思い出(BGM:ボールすくい)
ステージ5:予感(BGM:午後2時の微睡)
ステージ6:最後のパズル(BGM:深海120mの海月)
ステージ7:エピローグ(BGM:柳原夜雨)

これらの各ステージに合う楽曲を探し、それを聴きながらシナリオを構築していきました。
音楽を聴きながらゲームのアイデアを膨らましていく作業が自分は一番楽しいです。

短編らしさ

映画・漫画・小説・ゲーム、媒体を問わず、自分が短編集が好きな傾向があります。
短編集は、短い世界観の中でハッとなる瞬間と、すぐ終わるので突然突き放される感じの読後感がたまらなく好きなのです。
その意味では、今回のシナリオは結構満足いくものになりました。
気持ち的にはパズルをもう少しクリエイティブで難しくしたものにしたほうが、苦労した分だけ最後に気持ちがのってきやすかったかなと思います。
これは今後の課題としたいと思います。

結果

結果は、ありがたいことに総合40位をいただくことができました!

雰囲気作りは11位と高順位!やはり力を入れていたのでうれしいです!
絵作りもありがたいことにランキング入りしていて、エス氏にほんとに感謝です!
個人的には操作性もうちょっと欲しかったなーというところでしたが、各ステージで毎回操作が変わってしまうのが難しかったかもしれません。
あと、楽しさについては永遠の課題です・・・
ちゃんと多くの人が「楽しい!」と思えるゲームを作りたい・・・!

総括

以上、「あなたはロボットではありません」の振り返りでした。

改めて前作のトゥトゥルパ神は奇跡的にいろいろ上手く噛み合ってたな・・・と思った回となりました。
しかし、unity1weekは毎回学びがあるし、楽しいゲームをたくさん遊べるので最高ですね!
自分の過去の作品も客観的に分析できる良い機会にもなりました。

また遊べていないゲームも多くあるので、少し落ち着いたらたくさん遊んでいきたいと思います!

ではまた次回!



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