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奏でる手

クリスマスが近づくと、ハンドベルの音色を思い出します。・・書き終えるのが間に合わず、クリスマスが通り過ぎてしまいました(笑)

ハンドベルは、その名の通り、手に持って鳴らすベルのこと。複数人で、大小さまざまな大きさのベルを持ち替えて、メロディーとして音を繋げていって演奏するのが一般的かも知れません。

教会の聖歌隊による演奏や、子どもたちの発表会、コンサートホールでのプロの演奏だってあります。

ベル、は打楽器なので簡単に音を出すことができるものです。誰にでも演奏しやすいから、世代を問わず挑戦できるものなのかも知れません。

以前、職場でこっそり楽器を吹いたり、施設でピアノを弾いたことがあったけれど、ハンドベルの演奏もしたことがありました。

いい言葉が見つかりませんが、音楽って汎用性高いですよね。

ハンドベルの演奏は、定年退職者への送別会での一幕でした。

お店の一角を貸し切らないと入れないほどの人数だったその会で、何か出し物をしないかと企画したのが、会の幹事であった山田(仮名)でした。

何かをすると言っても、何も特技など持ち合わせていません。例えば、楽器の演奏、となったときに、職場の人が“ハンドベルあるよ”と声をかけてくださったのでした。

ハンドベルは、ドレミファソラシドの8音。それぞれの音で色が違う、子ども用のものでした。管楽器やピアノと違って、音量も大きすぎず、誰にでも扱えました。

演奏する曲の楽譜を見ながら、音を振り分けました。4名のハンドベル隊は、それぞれが2音ずつ担当しました。

楽器を演奏したことがある方はわかるかも知れませんが、音を鳴らそうとした瞬間と音が出る瞬間とは微妙なズレがあります。ベルの場合は、手の振りが弱いと音が出なかったりして、メロディがズレていってしまうことがありました。

何度か練習して、それなりに流れるようになって、いよいよ本番の日がやってきました。

「こんなの簡単ですよ」なんて言っていた後輩が、準備のときにとても緊張しているのがわかったり、お調子者の山田が演奏後にボケようぜと言ってきたり(僕が、真剣に叱ってやめさせました笑)、これもあるあるだなぁと感じたりしていました。

僕は中学校で吹奏楽部に入って以来、ステージに立つことは何度も経験していたこともあり、そこまで緊張しなかったのですが、ほとんどの人は人前で演奏する機会なんてあまりありません。

しかもお客さんは、いつも一緒に仕事をしている同僚たち。恥ずかしさと緊張が混じるハンドベル隊のメンバーは、真摯に演奏して、無事拍手をもらうことができました。

途中、音が出ずにメロディが止まりかけたり、伸ばすところで手の振りが足りずに伸びなかったりと、完璧ではありませんでしたが、温かい演奏ができました。

緊張していた後輩は少しミスして、悔しげ。ボケようとしていた山田は、緊張から放たれてホッとした様子。

見ていた同僚たちも、ハンドベルながら楽器演奏している僕たちに新しい印象を見つけた様子でした。


本格的にやるとなると、かなり身体の動きも激しくなるハンドベル、あんなに簡単に演奏できるなら、またどこかでやりたいと思うのですが、その機会はなかなか訪れません。


#ハンドベル #音楽 #出し物

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