プール、プール、プール日和
毎週月曜日には、旅の記録を書いています。
暑い日が続くと、プールが恋しくなります。
僕は、唯一できたスポーツが泳ぐことだったので、なおさらプールが好きでした。
子どもの頃は、自宅近くの市民プールに通い詰めるほど。ときどき、家族で海のそばにある広いプールに行っていた思い出もありました。知る人ぞ知る、大磯ロングビーチです。
そんなふうに、プールは泳ぐ場所であって、泳ぐための施設だと信じて疑わなかった僕は、プールなのに「泳いではいけない」ものがあるのは、衝撃でした。
泳いではいけないプール、それは北陸にあります。
石川県の金沢市「金沢21世紀美術館」をご存知でしょうか。建物の側面はほとんどガラス張りで、大きな円盤のような形をしており、誰でも入れるスペースと有料スペースが融合している、真っ白な美術館です。
現代アートと呼ばれるような、絵画だけではない、インスタレーション(構造物、造形物、展示物)への理解が深く、意欲的な企画展をする印象があります。つまり、いまとても元気のいい美術館です。
美術館のシンボルとも言える作品が、レアンドロのスイミング・プール(通称、レアンドロのプール)なのです。美術館中央の中庭に展示されている、それは、シンプルでいて、とても奇抜でした。
はじめて見た時の、「なんだこれは!!」と感動した記憶は忘れられません。単なるプール、なのかと思ったけれど、体験してこそ魅力がわかる、そんな作品でした。上の写真が、そのプールですが・・覗き込むと、中に人影が見えるのです。え?水の中に人がいる・・しかも、立っている・・プールの底に?
美術館の建物の中に、地下につづく階段があり、そこからプールの底に行くことができるようになっています。(有料エリアでした)
プールの底・・というか、水がある部分はとても薄くて、底から見上げると天井部分に水が張ってあり、あえて水流を作って揺らぎを作り出していることがわかりました。つまり、部屋になっていたのです。(僕が観た当時は、撮影可能だったので、写真を載せています。今は、どんな状況になっているか・・現地で確認ください。)
観覧していた親子連れが、ぽつりと言ったことが印象的でした。
「こんな部屋に住んでみたいよね」
天井から差し込む太陽光に、揺らぐ水面が壁に映り、確かに涼しげで、水中にいるような錯覚を覚えます。それでいて、息苦しくない明るさのある、そんな部屋でした。夏はとても気持ちが良さそうです。
ちなみに、プールの中から見ると、地上はこんな感じに見えます。
これは、なんというか動物園の動物になった気分というか・・ぐるりと囲まれて見下ろされていると、それは監視のような好奇の視線のような、居心地の悪さを感じてしまいました。しかし、外の音はほとんど聞こえることがなく、すぐそばにいるはずなのに、とても遠い、まるで映像をみているかのような感覚でした。
きっとこの作品の作り手は、プールが好きだったのでしょう。プールの中からみる風景は、僕には現実逃避のように見えました。外に出れば、現実が取り囲んでいるけれど、水の中なら邪魔されない。音も聞こえない、光だけが通ることのできる水の中に、作者は夢を見ていたのかなぁと思うのです。
暑い夏に、プールを見ると思い出す、金沢の旅・・金沢は父の故郷なので、何度となく訪れていますが、この美術館や新幹線などで、とても近い観光地となりました。
美味しい和菓子、海産物、そして五郎島金時(さつまいも)・・やっぱり美術館より食べ物も思い出しちゃいますね(笑)
スマホの背景を、プール内の写真にしたら、途端に夏っぽくなって、とても明るい!嬉しいなぁ。
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