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お店で声をかけられるのが苦手なわたしが感動した店員さんのひとこと

買い物をしていて店員さんに声をかけられるのが苦手だ。

「これ、かわいいですよね!」
「〇〇をお探しなんですか?」

ただボーっと店内を見ているとき、不意に声をかけられると返事に困ってしまう。

同じように感じる人も少なくないと思うが、これらは、あらゆるお店でよく聞くフレーズ。

店員さんの中で脈々と語り継がれてきた、鉄板の声かけなのだろうか。

それとも売上アップのため「お客さんに声をかけましょう」と教育され、このフレーズにたどり着くのだろうか。

(必要なら自分から声をかけるから、どうか、声をかけないでください…!)

身構えてお店に入り、店員さんの視線を感じると、なんだか気まずくなってお店を出てしまう。

その点、ユニクロは声をかけられないどころか、今ではレジまでセルフサービスだ。気楽なので、ついついクローゼットにはユニクロの服が並ぶ。

そんなわたしが、店員さんのひとことで、買うつもりがなかったのに買ってしまったものがある。

それは、スニーカー消しゴムだ。

今でも鮮明に思い出せるぐらい、気持ちのよい買い物だった。この店員さんの、スマートな売り方の話をしたい。

その日、わたしは新しいスニーカーが欲しくてお店に入った。

靴を買うときは、サイズを出してもらうために自分から話しかけることが多い。店員さんに声をかけられることがほとんどないので、安心感がある。

その日も、例にもれず、目に留まったスエード生地の白いスニーカーを選び、店員さんにサイズを出してもらった。いつも通りの流れだ。

店員さんは、出してきたスニーカーに紐を通しながら、雨の日に履くなら防水スプレーをした方がいいことや、汚れたときはスニーカー消しゴムでこすれば消えることを軽く説明してくれた。

わたしも、それを「うんうん」と聞きながら出来上がるのを待つ。

サイズの確認中も「どうですか?」「ピッタリです!」みたいな、最低限の会話。購入の意思を伝えると、レジに案内された。

「他は大丈夫ですか?…あ、ちなみにコレがスニーカー消しゴムです

と、店員さんはレジ横に積み上がっているものを指さして言った。

わたしは思わず、

「じゃあそれもお願いします」

と答えていた。

…伏線を回収するまでの流れが美しすぎる!

よくよく考えてみると、スニーカーの汚れを落とすなら、ふつうの消しゴムでも十分なのだ。しかし、スニーカー用の消しゴムを、わざわざ購入してしまった。

最低限の声かけで、無理におすすめするわけでもない。あまりにも自然な流れで、お客さんに最後のひと押しをする。

「上手だなー!」と、妙に清々しい気分になった。

スニーカーの汚れを落とす時にはいつも、その店員さんのことを思い出しながら、スニーカー消しゴムを使っている。

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