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ねこさんへ、おねがいをしました

河川敷のねこさんは何匹もいて、まだ見分けがあまりつかなかった頃、
猫ど素人の私でも一目でわかる猫さんがいた。
白い靴下をはいた猫。一度触る事ができた次の日から陽気で
にゃあにゃあとおしゃべりが上手で、足に寄ってくるようになった。
他のねこさんを触っていても、ぐいっとねじ込むように入ってくる。
遠目からみても、ごはんくれそうな人になついておやつもらってたり、
グループの中でもかなり要領がよくて、人間でいえば末っ子キャラだったので何となく某六つ子キャラから名前を頂き、
「トッティー」と名前をつけた。
呼ぶとにゃあにゃあおしゃべりも上手😆背中トントンすると
白靴下の前足を必ずフミフミ。帰るときはいつもお見送りしてくれて、
ねこさんグループの中でも毎日ほぼ遊べて特に人懐っこい感じだった。
それがトッティーとの出会い😊

世はコロナ過に入ると河川敷は色々様変わりした。
私が初めてトレーニングに来たころ、猫さんゾーンの草むらエリアは
草が生い茂り木々があり、そこは猫さんたちの恰好の隠れ場所。
ただ草ぼうぼうのところもあり、人気のないところもあったエリアで
ちょっと怖そうな場所もあった。
やがてコロナが突然やってきた。あたりまえの日常が無くなっていった。
テレワーク、時短要請、緊急事態宣言。でも
人間は欲望をおさえることは不可能。
ルールもさほどない河川敷に、どんどん人が押し寄せた。
そのころから徐々に河川敷の開発は始まった。草は刈られ、木は切られ
ぼうぼうだった草はスカスカになり、
猫さんたちがいるのが目立つようになった。
そしてもともとあったBBQ広場は拡大して大盛況。
恰好の隠れ場所だった猫さんの草むらエリアは、
道をはさんでその隣にある。私は道から猫さんの草むらエリアに
入ったことは一度もない。
そこは猫さんにとっては安全な逃げ場所。人間で入っていいのは
お世話している優しい人たちだけだと思っている。
猫さんが道に出てきて、気が向いたら寄ってきてくれて、
初めてナデナデさせてもらっている。
写真も嫌がらない雰囲気や空気感を考えながら撮らせてもらう。

今年の出来事。遠目からわかった。BBQにきた人間が、
猫さんがいるのがわかると
写真や動画を撮るため、あるいはむりやり触ろうとする人が
ねこさんエリアの草むらにズカズカ入っているのを何度もみた。
心配になり、人がいなくなったのを確認して道から
「大丈夫かあ?」と声かけると「にゃああ」「にゃああ」
ときおり姿をみせてくれる。
「ごめんね😢」となでながら、共存の難しさと人がどんどん増える原因と
なっているコロナを忌々しく思った。
今年、トッティーがよくいた草むらエリアに
人が入り込んだ形跡があった。それ以降、ほかのねこさんたちはきてくれるけど、トッティーが姿をみせてくれなくなった。
「もしかして・・・何かあったのでは」
と気になって気になって1か月以上が過ぎた。

今日は午後早いうちから雨の予報。
14時には降ってくるからいつもの時間より早い12時前からトレーニングへ。時間がいつもと違うのでもちろんねこさんとは今日は会えないなあ、
と思っていてもいつものコースで1週。
雨予報のせいかいつもより極端に人も少ない。
草むらの道から少し離れたガードレールで一息、なんの音楽聞きながら
トレーニングしようかとだいぶスマホに全集中していたときだった。

「にゃああん」

「????」

トッティぬきあし

目の前にはお久しぶりのトッティー!!!!気が付かなかったから
こんなとこまででてきてくれたのか😆😆😆ありがとおおお。

「よかった~生きてた~😂」
「勝手にあの世に送らないでよ!」


そんなアイコンタクトで久々の再会を果たした。
結構早めに引き上げるつもりだったが、みればトッティー1匹。
めいっぱい遊んであげることにした。

トッティくんくん

まずはクンクン、
以前はあんなに天真爛漫になついてくれたのに。ちょっと警戒❓
前よりも念入りに何回も確認するように・・・で安心するようにようやく
いつもの体を摺り寄せてきた。前よりもかなりあたりを警戒している感じ。人が通り過ぎると以前よりも神経質で見えなくなるまで体が硬い。

「きっと、よっぽどいやな目にあったんだね、ごめんね」


そんな感傷に浸っていると

トッティカプ

「カプ~ッ やったった~🤣イエ~イ」

とあまがみの体制へ、「相変わらず悪い顔するなあ」
と以前のようにやんちゃな姿を見せてくれた。ちょっとほっとした。

「少しは信用してくれていたのかな、
だからこんなに草むらから離れてたのに声かけてくれたの❓」
「いえ、ほんの気まぐれです」
「いいよいいよ、気まぐれでも。怖ければ出てこなくていいから、
心配だから姿だけでも、みせてね」


と私は真剣におねがいをした。
トッティーはじっと私をみつめて、やがて私の横へ静かに座り、
毛づくろいをはじめた。


心配したのには訳がある。
昨年、グループの一匹が姿を見せなくなった。1か月たっても2か月たってもいない。ねこのことは初心者でこんなこと初めてでわからない私は、
心優しいお世話している方に勇気振り絞ってきいてみた。
「ずっと姿見えない子がいるんですが、入院とかさせてますか?」と。
「・・・こういうところの猫は飼い猫と違って、ちょっとしたことが命取りになるから、そういうこともあるんですよ。姿みませんね、あの子。」
いつも元気に楽しそうに寄ってきてくれる、そんな姿ばかり見てた私。
未だにその子の姿はない。心の底がチクッとなって立ち直るのに結構時間
かかった。そんな矢先のトッティーの出来事は正直「またもしかして」と
よぎってしまった。でも今回はでてきてくれた。本当によかった。
明日また出てきてくれると・・・嬉しいな。

人も動物もこの時代は一寸先は闇。人間はよりギスギスした世の中で
日々闘い、傷つけあい、悩みぬく日々。
ねこさんたちもいろんな怖いものと日々闘っている。一番怖いのは
車でも病気でもなくきっと・・・にんげん。

実はわたしも人間怖い(笑)

「にんげんって怖くて優しくて、わからないよ・・・でも嫌いじゃない
でも・・・やっぱり怖いのもある・・かな」


わたしも人間ってそう思うよ。
ちょっとでも信頼してもらえるように、怖くないって思ってもらえるように
まっすぐ目をみてお話して、この子たちにも接していけたらと思う。

トッティーラスト


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