見出し画像

ペンダントライトこうかい日記

今回はペンダントライト(ダイニングテーブルの上に吊るすやつなどです)を購入した人々から最も負の感情を集めた、すなわち後悔したであろう問題をご紹介しましょう。なんというネガティブな始まり方!
でも、なるべく明るく元気にいきますよ!照明だけにね!

わたしは設計開発が担当なのですが、ご相談からクレーム対応なんかもしていた手前(会社によってはなんでもしますよね)、一般のお客さまからの声もよく聞いておりました。
その中でペンダントライトについて、特に多かった意見というか、問い合わせというか、不満というか、後悔というか何というか、、、そんな事を今日はここに記す次第です!

題して!ペンダントライト航海、いえ!後悔、いえいえ!こう買い日記!
どうぞよろしくお願いします。

ペンダントライトにも種類がある

はてさて、みなさんはペンダントライトと聞いて、何となくかたちを思い描くことができますか?よかったら今、ささっと絵でも描いてみて下さいな。

帽子みたいなものや、三角形のもの。UFOみたいのや、お鍋のようなもの。
かたちは無数にあれど、じつはこのペンダントライトという照明器具は“光の出る方向”によって分類することが出来るのです。

というわけで、まずは光の出る方向によるタイプをご紹介しましょう!

本当は5種類あるのですが、よく見かける3種類に絞りました

簡単に説明すると
①全体がひかる“全般拡散型”
②上下にひかる“半直接型”
③下だけひかる“直接型”

さて、皆さんがペンダントライトと聞いて描いたイラスト。その照明がひかりを放つ方向“下”ではないですか?

そう!それすなわち「直接型」のペンダントライトです!
ペンダントライト占いによると、直接型を描いたあなたは単純一途!半直接型は気まぐれでウソつき!そして、全般拡散型は、、
すいません、ふざけました。

また、照明と言ったにも関わらず電球を描いた方。好きです(唐突)

さあ気を取り直してですね、じつは冒頭でお話した、買って後悔した問題の大半が、この「直接型」を購入したお客さまなのです。

「直接型」とはどういうものか

これ、一瞬で理解していただける言い方があります。
ずばり「直接型」というのは「吊り下げタイプのスポットライト」なのです。
これに尽きます。これさえ理解していただければ、約半数くらいの人々の後悔が救われるでしょう。つまりペンダントライトの種類ではなく、スポットライトの一種だと思ってください。

カフェでみたり、雑誌やSNSなんかでこの「直接型」が使われていたりすると、見ために”かわいい“とか“おしゃれ”とか思いますよね。それで、そんな空間に憧れて購入に至る、という運びになる方は多いと思います。
その時点では気に入った「ペンダントライト」を見つけて選んだと思ってるわけで、それがまさか「スポットライト」だったなんて思ってないわけです。


ここで照明の使われ方である一室一灯/多灯問題を思い出しましょう。日本は基本的に一室一灯の傾向(文化といってもいいと思っていますが)が強いという事は以前にも紹介しました。つまり、例えばダイニングにはペンダントライトを“一つ”吊るして、それでダイニング全体の照明環境をまかないたい訳です。効率的にも経済的にも。

しかも、天井の電源は大抵の場合、一つだけ。そこにこのスポットライトを付けると、、、考えてみて下さい。イメージ出来るでしょうか。

照明界代表のスワンさんとエジソンさん

すでに経験済みの方なら、そうそう。って感じだと思うのですが、本当にナニコレーというほど不気味というか悲壮な部屋になります。

街のカフェやネットで見る写真では、空間全体で明るさがコントロールがされているので気付きにくいのですが、家に取り付けて実際に体感するとえぇ…?となる。
特に狭い日本の住宅では、壁が近いので明暗の境界線が綺麗に現れてしまい、見事なバイカラーの部屋になります。コーディネーターやプランナーなら間違いなく避けるこの状況も、一般の方が自ら器具を買うとなるとなかなか気付けません。
つまり、買って取り付けたこの時点で後悔することになるのです。

この器具より上の影になっているゾーンは日常生活における推奨照度をはるかに下回ってしまう(寝る前くらいなら良いでしょう)のですが、それより何よりこのような顕著な明暗差が、立ったり座ったりする行動範囲にまたがるような位置出来ます。
昨今ではスマホやタブレットの使用が増えて「明暗差」の影響がより注目されていますが、こういう環境で日常を過ごしていると、知らないうちに余計なストレスが蓄積されてしまう恐れがあります。

ちなみにこの暗さを解消するためにやりがちなのが、明るい電球に取り替えるという選択。
そうすれば、確かにひかりは強くなりますが、それと同時に影も濃くなりより明暗差が出てしまいさらに不気味な部屋に。ついでに言うと、テーブル面やそこに置いた食器からの反射が眩しくなってしまうなど、なかなか思うようにはいかない訳です。
結果、これも日本特有の使い方「器具を天井付近まで目一杯上げる作戦」を決行し、一旦落ち着くことになる。

でもこうすると、謎の勢力におしゃれじゃないとか分かってないと言われる

それでも直接型を使いたい方へ

シンプルに言えば、住宅がいくら西洋化したと言っても、わたしたちの生活スタイルにはあまり適当ではないタイプの照明なのです。というか、別にヨーロッパや北欧でも定番かというと、特にそうでもない。

が、それでもどうしても気に入った照明が直接型だった場合はどうすれば良いか。これも答えは非常に簡単です。それは「単体で使わない」こと。
何せスポットライトなんですから、照らす場所は狙った局所。
つまり、その局所以外にもふわふわとひかりが届くように、フロアライトやテーブルライト、ブラケットなどを使って補完するだけでOK。やっぱり部屋全体にも、ある程度のひかりが行き渡っているのが理想的で健康的です(その中で必要箇所を意識しながら、ひかりのグラデーションを作れば良いのです)。

お部屋にすでにダウンライトやライティングレールがあれば簡単に解決できますが、この直接型の持つ問題点を知らなければ、なかなか最初にそこに気がいかないと思います。だからこそ、購入後の声の多さに繋がるのですが。

なので、直接型のペンダントライトを買う場合は、出来れば他の照明器具も同時に買う事を検討しましょう。幸い、直接型のペンダントライトはそんなに高価ではないことが多いです。

ならではオマケ話

せっかくなので、その高価にならない理由もこそっと紹介しときます。開発ならでは、という事で。
ちょっと引き合いに出すには極端な対象ではありますが、IKEAなんかで直接型のペンダントを見るとめちゃくちゃに安い傾向にありませんか?だから、余計にみなさん気軽に買ってしまって、付けた後えぇ〜?となる。もう罠なのでは(誰が何のために)と疑ってしまうくらいですよね。

これ、何でかというと、他のタイプに比べて圧倒的に部品点数と製造工数が少ないからです。非常にシンプルな理由ですね。だってソケットにカサがかぶってるだけなんですもの。
他に言うとしたら、さらにコスト重視なものはソケット(電球を付ける陶器のやつです)さえも剥き出しで、意匠重視というか配慮されているものはソケットがカサと合わせたカバーに入っている、とか。コード調整が出来る(機能付加でコスト増)とか。あとは「削り出しで作っています!」は高いでしょう。これはちょっとすごい事なので。
要素といったらこれくらいでしょうか。

製造側からしても、難しい構造を考える必要がほぼない上に、歪みや傾きなどの不良率も少ないため非常に作り易い。だから、どんどん企画しちゃう。

一概には言いませんが、名作には「半直接」か「全般拡散」が多くあります。というのは、一般家庭という使用環境においては、そっちの方が適していると多くの照明デザイナーが考えているからだと個人的には判断しています。

まとめ

まとめるとですね、直接型は単純一途!半直接型は気まぐれでウソつき!え?もういいって?すいません。
というわけで、ペンダントライトを購入する時、気に入ったものが下方向にひかりを落とす「直接型」だった場合には、他の器具も併用する事を念頭に選ぶようにしましょう。
もしくは、この内容を踏まえてペンダントライトの選択を改めて考えてみましょう!
今日ご紹介した主役は「直接型」でしたが、また「全般拡散」や「半直接」も紹介できればと思っております!

では、今回も最後までお読みいただき、誠にありがとうございました!

関連記事

この記事が参加している募集

新生活をたのしく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?