サービス案内から考える、ストックイラストの人物イラストの進め方
こんにちは!
ストックイラストをやっております、もももと申します。ストックイラストを投稿し始めて、早いもので1年9ヶ月が過ぎました。
まだまだストックイラストレーターとしては発展途上ですが、長らくデザイナーをやっていたので「こういうイラストが求められるんだろうな」というのはなんとなく理解があります。
また、ストックイラストに取り組むにあたり、
ストックイラストが実際に使われている場面を探しまくって、ストックイラストの使われどころを研究してきました。
その経験と研究、そして実際に実践してみた感触から
「ストックイラストの人物イラストって、汎用性が高いところから進めるのがいいんじゃないかな?」という考えにたどりつきました。
どうしてその考えにたどりついたのか、順を追って詳しくまとめていきたいと思います。
\こんな立ち位置からの記事です!/
・PIXTA、AdobeStock、shutterstock、iStock、imagemartに投稿中
・投稿数 約730点
・そのうち人物イラストが約400点
・PIXTA ランク2
・PIXTAではとくに売れ筋がなく、全体がやや売れ
・販売の内訳は、素材系と人物が体感半々ぐらい
(2023年12月現在)
ストックイラストが売れる仕組み
ストックイラストは「発注の先取り」だと思っています。
何らかの制作物を作る人が
「○○のイラストが欲しいな〜」と思ってサイトを検索し、検索結果に表示された中から選ばれたイラストが購入される。
その「○○のイラストが欲しいな〜」の「○○のイラスト」、いわゆる「ニーズ」を先取りし、「あらかじめ描いてアップしておくと売れる」のがストックイラストの仕組みです。
ニーズをつかむためには、
イラストが実際に使われる場面を理解することが大切。
私はデザイナーとして、サービス案内(※)をたくさん作ってきたので、それを軸に話を進めていきたいと思います。
サービス案内の基本構造
サービス案内の多くは、以下の図のような構造をしていると考えています。
このようにストーリー仕立てにすることで見た人の心をつかみ、申し込みや購入に結びつける。
それがサービス案内の主な役割だと思っています。
サービス案内での人物イラストの基本
サービス案内でのイラストの主な役割は
・サービスの効果を具体的にイメージさせる
・雰囲気をやわらげ、親しみやすくする
ことだと思います。
サービスには、「売り手」と「買い手」が存在します。
・売り手…サービスを提供する人(販売する人)
・買い手…サービスを受ける人(購入する人)
ストックイラストの人物イラストを描くときは、
ふんわりとでも「どのような売り手」が「どのような買い手」に向けて売ろうとしているサービスなのかを仮定すると描きやすくなると思います。
サービス内容をふんわり仮定してふんわりしたイラストを入れてみる
まずは、サービス内容をふんわり仮定して、
ふんわりしたイラストを入れてみます。
ここでいうふんわりしたイラストとは
以下のようなイラストを指します。
人物単体で、シーンを限定しない、
何かによろこんだり、何かに困ったり、何かを案内している人たち。
この人たちだけでも、サービス案内は意外ともちます。
たとえば「女性向けの何らかの医療系サービスを案内するチラシ」だとこうなります。
「高齢者に向けての何らかのサービスを案内するチラシ」だとこうなります。
これだけでもだいぶ雰囲気は伝わりますし、
小さな媒体や、掲示物、イラストにそこまで予算の取れない案件ではこれでFIXということも多々あるのではと思います。
サービス内容をしっかり仮定してシーンイラストを入れてみる
次に、サービス内容をしっかり仮定して、
もう一歩踏み込んだシーンイラストを入れてみたいと思います。
案内するサービスを以下のように仮定します。
・サービス内容:睡眠を改善するサプリ
・売り手:白衣の女性
・買い手:働く女性
・媒体:ランディングページ(※)
※広告バナーをクリックして最初に着地する(ランディングする)webページのこと。
すると、こうなります。
シーンイラストが加わることで
サービス案内としてのクオリティもアップし
よりパッと見で内容が伝わりやすいものになりました。
シーンイラストを描くメリット
ストックイラスト的観点でいっても、
シーンイラストを描くメリットはあります。
シーンを限定したイラストは検索結果で競合が減り、
購入者がそのシーンのキーワードで検索した場合、
ふんわりと仮定したイラストよりも発見されやすくなります。
試しに、PIXTAで「女性 悩み イラスト」で検索をしました。
その数、50,917件。(2023年12月22日現在)
それが「女性 睡眠 悩み イラスト」で検索すると…?
なんと、940件。
約50分の1にまで減りました。
また、予測の話にはなりますが、
こちらは私のストックを始めたころから今年の11月にかけての、PIXTAとAdobeStockの売り上げグラフです。
今年の4月に、9月の各種ボーナス(AdobeStockのAI学習や無料コレクション)に負けないぐらいの売り上げがありました。
要因としては、AdobeStockで素材系の売れ筋が現れたのと、もう一つ。
実のところ私は長らく人物イラストに関しては
ふんわりしたイラストしかアップしていなかったのですが、母の日父の日で初めてシーンを限定したイラストをアップしたところPIXTAでいつもより売れました(水色の丸部分)。
シーンを限定したことで、
「母の日」「父の日」といったキーワードで検索され
発見されやすくなった結果かなと分析しています。
制作したイラストから考えられる売れパターン
ここまで、具体的に使われているところを想定して
イラストを準備してみましたが、
実際には準備したイラストが全てまとめて売れるかというとそうではなく
売れパターンとして、サービス案内以外にも以下のようなものも考えられます。
こうして見ると、
「使われるのは一点ずつなのだから、投稿するのも一点ずつでもいいのでは?」と感じますが
人物イラストは一点ずつではなく、同一タッチでまとめて出しておく方が売れやすくなると思っています。
人物イラストに取り組む上でのポイント
人物イラストに取り組む上で、私がとても大切だと思っているポイントがあります。それは「同一または近いテーマ内で、同一タッチでたくさん出すこと」です。
例えばチラシを作るとして
左よりも右の方が、統一感があってスッキリして見えます。
同じタッチでたくさんのイラストを投稿しておくことで、複数のイラストを使ってもまるでそのイラストレーターに発注したかのような状況にすることが可能になります。
タッチをそろえるメリット
こちらは実際に、私のイラストがまとめて購入された組み合わせの例です。
(1-2分以内に購入された人物イラストを「まとめて購入された」と判断しています)
同じタッチでまとめておくと、このようなまとめ買いが起きやすくなります。
また、制作する上でもメリットがあります。
たとえば売り手側の人たちが増えてきたら、+αして「働く人」としてセットにできたり
買い手側の人たちが増えてきたら、いろいろな家族の形にしたりできます。
これまでのイラストを組み合わせることで、
テーマの変更ができるようになり、訴求の幅を広げることが可能になります。
最初はふんわりからがいいと思う
さて、ようやく本題です。
「人物イラストは同じタッチでたくさん描いた方がいい」と言葉で言うのは簡単ですが、実際にチャレンジするとなるとたくさんの壁がありました。
私がストックイラストの人物イラストに興味を持ったときに一番気になったのは「同じタッチでたくさん描いたあとで、売れないことに気付いたらイヤだなぁ」ということです。
自分が描く絵柄が受け入れられるのかどうかを、まずは試したかった。
そこで最初に描こうと思ったのが、シーンを限定しない、汎用性が高い「ふんわりしたイラスト」です。
シーンを限定したイラストは、まつわるモチーフが必要だったり、ポーズが複雑だったりで、ふんわりしたイラストよりも時間と労力がかかります。
最初にそこにたくさんチャレンジして「ダメだった」「売れなかった」となると心が折れると思いました。
なので最初は、手数が少なめで描けるふんわりしたイラストを、スーツの男女(売り手)と私服の老若男女(買い手)で合計50点ほど出してみて、様子を見ることにしました。
複雑ではないイラストは、気軽にチャレンジできる分、描いている人も多くて競合も多いです。埋もれてしまうんじゃないかという懸念もありましたが、汎用性が高いイラストはなんだかんだ便利なので、需要も高いし検索率も高いんじゃないかなと考えました。
また、今後長く取り組んで売り上げを出していきたいのであれば、競争率の高いところでちゃんと選ばれないとのちのち結局行き詰まるのではないか、とも考えました。
そういうわけで、最初にふんわりした人たちを投稿して数ヶ月放置。
様子を見て「売れないってことはなさそう」と思えたので、安心して量産にギアを入れることができました。
おすすめふんわりテーマ
サービス案内に使われるようなイラストを狙う場合におすすめの、汎用性の高い「ふんわりテーマ」をご紹介します。
売り手
スーツの人。どんなサービスを案内していても大体違和感がない。
「案内する」のが役割なので、基本的にはポジティブに。
笑顔で案内している様子をいろんな状況で描いておく。
初心者マークを持っている人も需要あり。
買い手
私服の人。
「サービスを通して悩みが解決してハッピーになる」を体現する役割なので、ポジティブとネガティブ両方準備することが大切。
今の時代は何かとスマホが関わってくるので
スマホで何かしてる人も需要大。
上に挙げたようなイラストは、
ストックイラストに足を踏み入れた当初は
「もう市場に溢れかえっているよなー」
「自分が描く意味ないよなー」って思っていました。
しかし、イラストの使われどころをたくさん研究しているうちに
「市場に出ているのは、自分のイラストではない」
「自分のタッチで出しておくことが大切だ」という考えに変わりました。
「購入者が同じタッチから選べる状況がある」ことが大切だと思っています。
最初に描いたこれらのふんわりした人たちは、
今後、シーンイラストを増やしたときにも
自分のポートフォリオを助けてくれるんじゃないかなと思っています。
サービス案内に限って言えば、汎用性が高いイラストの方が使い勝手はいいんじゃないかなーとも思っています。
私がPIXTAで初めて売れて、現時点で一番売れている人物イラストは「おじぎをしているスーツの女性」です。
※まだまだ数が少ないので、今後その順位が変わっていく可能性は大です。
まとめと、ストックイラストアドベントカレンダーについて
この記事は、ストックイラスト初心者クラブ部長のカッコーさんが企画された、ストックイラストアドベントカレンダーに参加している記事です。
ストックイラストに取り組む上でのヒントや技がたくさん詰まっているアドベントカレンダーになっていて、12月になってから毎日読むのがたのしみでした。
私の記事も、現時点でのまだまだピヨピヨな経験則になりますが、お世話になったストックイラスト初心者クラブへのお礼も兼ねて、今の時点で持っていることをなるべく詰め込んだつもりです。
どこかのどなたかのお役に立てたらうれしいです。
すてきな企画をありがとうございました!
よいお年を〜
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