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風に舞う機密書類


昨日、東京ではまさしく風雨の名がふさわしい、雨と風が好き勝手に動きまわってるような天気だった。とりわけ、私の職場は海に近いので、いつも風の強さには驚かされるし、色々と困り事もある。

昨日はちょうど出社日で、社内のフリースペースで一人お弁当を食べたあとに、徒歩圏内のATMに出かけた。

その帰り道、風に煽られ、小雨に少し濡れながら、急いで会社に戻ろうとしたところ、前方から見知らぬ男性が右手にコピー用紙のような紙を持って足早に歩いてきた。

突然、風がドワドワ〜と地面から巻き上がるように吹いたかと思うと、男性の手からコピー用紙があっという間に巻き上げられた。人通りはなく、高層ビルのロータリー前だったが、幸い車の出入りは全くなかった。

出入りはなかったのだが、提案資料のようなコピー用紙はあっという間にバラバラになった。コンクリートの浅い水たまりにへばりつき、低い生垣に隠れ、道端に散らばってしまった。

紙が思い思い、好みの場所に飛び込んだ様子だった。男性は急いで紙を一枚一枚集め、私も急いで駆け寄って、生垣の中に忍び込んだコピー用紙を拾い上げた。

用紙は、どうみても第三者に見せてはいけない内容のようだった。提案資料のごとく、グラフや文字が整列して読みやすいようにレイアウトされていた。私は昼休みが終わりそうだったが、急いで集めることに専念した。

もう仕方ないのだが、その提案資料はビチョビチョで、破れてはいないが、まるで女性が保湿に使うフェイスパックのようにしっとりしていた。顔に乗せれば保湿できそうな程だった。(笑)

提案資料の持ち主の男性は「あ、すみません。ありがとうございます。」と丁寧にお礼をし、ショックなどなさそうな様子のまま、右手に提案資料をグチャグチャに鷲掴みにして、足早に去っていった。

あのあと、あの提案資料はどうなったのだろう。
まさかそのまま郵送したり、営業先でプレゼンするとは思えない。しっとりと濡れた提案資料じゃお客様も快諾できないだろう。
あとあの男性は、「それは鷲掴みしすぎじゃないか」とこちらがヒヤヒヤするくらい、資料をグチャグチャに掴んでいた。男性と提案資料のその後が今も気になっている。

もしこの記事を読んで、「あ、これは昨日の俺のことだ」と思う方がいらっしゃったら、コンタクトをお待ちしてます。(笑)

本日もお立ち寄り頂き、ありがとうございました。本日もお疲れ様でした!


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