思春期:きちんとしつけた。「いい子」に育ったはずだったのに。
うちの子は、家でも学校でも
目立たない子。
ダメなことはダメだと教えた。
家のルールは守り、
困らせることのない、
やさしい、いい子。
ある日、
担任に呼ばれ、子どもと3人で話した。
お子さんが友達をいじめていました。
内容を聞くと、
我が子が全面的に悪い。
先生に迷惑をかけたことを謝罪し、
「主人に、きつく叱ってもらいます」
と先生に伝えた。
帰宅し、
私と夫の前に座らせ事情を聞いた。
返事はない。
主人は多忙で
子どもとの関わりは薄い。
ふだんは穏やかだが、
今回ばかりは、
子どもがしたこと、
答えないことに怒り、
真剣に叱ってくれた。
子どもを連れ、
相手のご家庭に行き、
謝罪。
そして
元の生活に戻った。
再度、学校の先生から連絡。
その後、学校では落ち着いています。
家ではどうですか?と聞かれた。
ありがとうございます。
厳しく言い聞かせました。
ご迷惑をおかけしました。
と答えた。
私は、早く電話を切りたかった。
もう充分に叱った。
これ以上言われないでください!
これで終わりにしてください!
私は混乱していた。
この子が?
どうして???
一生懸命きちんとしつけてきたのに。
先生、
これ以上私たちに恥をかかせないで!
そっとしておいてください。
といった気持ちだった。
こんな子どもに育ててしまった私!
ダメな親!
恥ずかしい!
私たちにこんなにがんばったのに。
こんな思いにさせる
この子が憎い!
今は、学校でも
落ち着いているんでしょ?
家でもしっかり叱ったんだから
もういいじゃない!
お母さん
ショックだった気持ち、
恥ずかしかった気持ち、
悔しかった気持ちを
よく話してくださいました。
母親として、
大変なショックだったと思います。
そんな気持ちを抱えたまま、
学校や相手の方へ謝罪。
お子さんへの対応など、
本当に大変だったと思います。
こうやって、話すこと、
自分のネガティブな気持ちを
きちんと感じて、
言葉にすること。
これを重ねていくことで、
苦しい気持ちがあっても、
それを抱えていくことができます。
話すことで、
強いトゲトゲしたネガティブな感情の
トゲが丸くなってきて、
ネガティブな感情があっても
心の安心、安定を
取り戻すことができます。
お子さんは、
今落ち着いているとのことですが、
悔しさや、不安や苛立ちを
どうしているでしょうか。
そんな気持ちに
蓋をしていないでしょうか。
なかったことにしていないでしょうか。
ネガティブな気持ちを
抱えている時に
叱ると、
気持ちを言葉にすることはできません。
気持ちに蓋をして、
感じないようにしてしまいます。
どんな気持ちだったの?
・
・
・
こんな気持ちだったんだ。
悔しかった、不安だった、
悲しかったんだ。
こんな不快な感情を持っても
大丈夫なんだ。
こんな感情が湧いてきても
いいんだ。
そう思えることで、
上手にこの不快な感情を
扱っていけるようになっていきます。
子どもが
どんなところに
どんなふうに
怒りや悲しみを抱えているのか。
その感情を、どうしたら親として
受け止められるのか。
もしかしたら、
お子さんは今まで
ずっと感情に蓋をしてきたのかもしれない。
感情を出さずに、
いい子として生きてきたのかもしれない。
やさしい、いい子でいようと、
がんばってきたのかも。
だからといって、
あなたの育て方が
間違っていたわけではありません。
お子さんにはやさしい気持ちが
しっかりと育っています。
もし、
お子さんが感情を出すことが
できていないと感じたなら、
今、気がついたのなら、
思春期の今なら間に合います。
今回のことは、
お子さんからの「苦しい」の
サインです。
手当てをするチャンスです!
思春期になると、
多くの子は、もうすぐ親元から離れていきます。
一緒にいる時間は限られています。
子どもが側にいるうちに、
親がサポートできるうちに、
子どもが
自分の感情を、安心して出すことができる。
安心して、言葉にできる。
それを繰り返すことで
自分で不快な症状を処理できるようになる。
自分の気持ちを正しく感じて、
上手に扱うことができるように、
親として、
子どもの不快な気持ちを
受け止める覚悟を決めて、
サポートしていきましょう。
思春期になると、
話すことさえ難しくて
乳幼児期のように、
簡単ではないことも多いです。
でも、必ず改善することができます。
その為に、
お母さん自身が、
悔しい、つらい思い
傷ついている気持ちを
誰かに充分に聴いてもらうこと。
相談できる相手を持つことが大切です。
※これは、複数の方のお話しからモモが創作したフィクションです。
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