大西康之著『起業の天才!ー江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』読書会に参加した
著者の大西さんご本人、『江副浩正』著者 土屋洋さん、元リク 大野さんを交えた読書会に参加しました!
「リクルートは40歳になっても会社に残っていると恥ずかしいんだよ。早く卒業しないとって焦るんだ」
その話はリクルート社員の方から直接聞いていた。自分の着想を現実化する「人を育てる」研修がユニークだとか、社員のモチベーションが違うとか。なんでそんな会社風土になっているのか?不思議だった。
そして、リクルートと言えば「リクルート事件」
事件から想像する「賄賂」とこの会社の風土が全く結びつかない。この本は江副さんの起業時代から丁寧に描きだし、後半のリクルート事件も関係者から直接聞いた事実を登場人物が実際に動いているシーンとして展開。
読みやすい。人物がセリフと共に描かれるからググっとそのシーンの中に入り込みやすい。
読み終えると江副さんとリクルートに加え、日本社会の環境が見えてきた。
読書会で、大西さんの最後の言葉が印象に残る。
「日本はアントレプレナーで強みを出せる人材がいないとか、強味はどこだとか言うけれどそうじゃない。世界中どこでも同じ。強い人はどこにだっているものなんだ。
ただ、日本はそういう人材を伸ばすんじゃなくて、潰してしまう。そういう人を持ち上げて、みんなで担いで大きくしようとする動きにならないんだ」
社会が江副さんを始め、日本の先端で走ろうとする人々の動き全体を止めた。
まったく違うところでの話だけれど、麹を研究題材にして文科省の賞を取った学生がプレゼン後に放った言葉を思い出す。
「日本は飛びぬけた人を応援しようとするのではなく、上から抑えようとする。どうか伸ばさせてください。私はそれを訴えたい!」教育現場からの学生の声だった。
大企業に勤めていて、成果主義は出る杭をまわりが叩き潰すシステムだとは思っていた。自分の評価に重きをおいた行動になり、良いアイデアを出した人をみんなで盛り立てようという発想から遠ざけ、会社を発展させない方向に向かわている?!と思う不思議なシステム。
なのに給与の理屈を立てるのが楽なシステムだから未だ替えられないし、入ってくる人材も環境に染まることばかりを考慮する若者が集まるから変わらない。
周りから抑え込まれるのは企業文化の話だけだと思っていたけれど、実は教育や社会全体あらゆる環境の中にこの暗闇が巨大なとぐろを巻いて存在し続けているのかもしれない。
希望の光はどこにあるのか?と思ったとき、ふと心に浮かんだ。
「変えていくのは一人一人との関係性」
時間がかかるけど、それが一番近道なんだという『参加型社会宣言』著者の橘川幸夫さんの声が心の中でこだました。
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