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東京名物百人一首(6) 飴細工/しゃも屋今金・金清楼/深川倉庫/数寄茶器

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『東京名物百人一首

元良親王
 わざなれや 今はたおなじ 細工にて
     身を尽したる 飴屋とぞ思ふ

【元歌】
  侘びぬれば 今はた同じ 難波なる
     みをつくしても 逢はむとぞ思ふ

※ 「今はた」は、今将いまはた。今はもう、今となっては。

飴細工
はまぐりと猫

小松斎一流 写実的飴細工の達人也。

※ 『東京名物百人一首』の著者(清水晴風)は、別の著書で飴売りと飴細工師を描いています。

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『世渡風俗圖會 [3]
飴売
出典:国立国会図書館デジタルコレクション『世渡風俗圖會 [4]
安政の頃、細工飴の名人 飴熊

また、飴細工の商売について、明治時代に出版された『実業の栞』に詳しく書かれているので興味があったら読んでみてください。
 ⇒『実業の栞(飴細工)』👀


出典:国立国会図書館デジタルコレクション『東京名物百人一首

素性法師
 今金と いひし昔しは 生肉なまにく
   家鴨あいがものすき しやもいづるかな

【元歌】
  今来むと いひしばかりに 長月の
     有明の月を 待ち出でつるかな

※ 「しやも」は、軍鶏しゃも。鶏の品種のひとつ。

東京のしゃも屋といへば、今といふ字を必す冠るが、定式の如し。其元は、今金を以て初めとす。されども、今金は、既に金清楼となり、又、神田の今金は 廃業して、今金の名絶たり。

※ 「金清楼」は、日本橋蠣売町と神田淡路町にあった料理店のようです。
参考:国立国会図書館デジタルコレクション『最新東京案内』『二直角:随筆』『最新東京案内記 春の巻


出典:国立国会図書館デジタルコレクション『東京名物百人一首

文屋康秀
 深川ふかがわに あくふさぐも 積込つみこむ
   軒並のきなみ くらを 倉庫といふらむ

【元歌】
  吹くからに 秋の草木の しをるれば
     むべ山風を あらしといふらむ


出典:国立国会図書館デジタルコレクション『東京名物百人一首

大江千里
  数寄すき見禮婆みれば 四時に物こそ たのしけれ
     わがみ一つの 茶器にはあらねど

【元歌】
  月見れば 千々に物こそ 悲しけれ
     わが身一つの 秋にはあらねど

※ 「四時」は、春夏秋冬のこと。四時しじ

小倉山



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