モクセイシンワ

たぶん駄文です。 読んで頂けたら幸いです。Twitterはじめました。 散々な文章です…

モクセイシンワ

たぶん駄文です。 読んで頂けたら幸いです。Twitterはじめました。 散々な文章ですが、ニコニコとなれば、それが一番嬉しいかも。

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完全試合

老人ホームでのジーちゃんとの面会の後、ホームの主任さんにもう長くない、最期に会わせたい人がいれば……と話があった。 ジーちゃんの交友関係なんてわからなかった。 家に帰ってジーちゃんの部屋で何かアドレス帳のような物がないか探したら、すぐに見つかった。 アドレス帳をペラペラ捲ると、ある名前が目に止まった。 『完善寺 愛』カンゼンジ アイ 名前だけで、他の名前のように住所も電話番号も書いていなかった。 ジーちゃんが最近ベッド上でよく言っていた言葉だった。家族はみんな『完全試合

    • きられた

      えー、着る事はありますが、切られた事はないです。 ーーーーー クビがゴロんと転がり、こっちを向いて笑った。 包丁を持った私を見て笑ったのだ。 「今日のご飯何?」 と仕事をクビになってゴロゴロしているダメな旦那がいった。 「お前に食わせる飯はない!」 「早く仕事をみつけろ!」 了

      • 不動 浮遊 UFO

        えー、「雀百まで踊り忘れず」なんて言いますが、どうでもいい事を憶えていて、最近人の名前や顔を憶えてないなんてことが多々あります。 ーーーーー 珍しくカーさんから連絡があった。タカシがいなくなったと言う。 タカシはオレのアニキで何年も家から出ていない、いわゆる引きこもりだった。そのアニキが昨日から部屋にも家の中にも居ないと言う。 そして部屋には訳の分からないメモが置いてあったと言うのだ。何か事件にでも巻き込まれたんじゃないかと、カーさんに脅かされ急いで実家に帰った。引き

        • どっち?

          えー、昔は良かったなんて言いますが、今を大事にしたいです。 ーーーーー ある昼下がり。オレは窮地に追い込まれていた。 クソッ!気が付いたらもうオレ1人じゃねえか。 時間を稼いでアイツらが戻ってくるのを待つか…… いや、そこまでオレの体力が持たねえ。 相手はあと3人。容赦なく撃ってきやがる。 考えろ。 この状況をどうやって抜け出す。 どうする!オレ!! バン! しまった!あたっちまった!いや、まだだ!まだいきている!! けど、ダメだ。間に合わねえ! 「ハイ

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          キャラ

          えー、変わらずあると嬉しいです。 それはなくなる前提なんですかね? ーーーーー 久しぶりに実家に帰ったら、どこから聞きつけたのか懐かしい同級生から連絡があった。 急な事ではあったが駅前の居酒屋で会うことになった。共通の友達をもう1人連れて行くとも話があった。 約束の時間に行くと電話をしてきた同級生が座敷に1人座り待っていた。 先に乾杯しひとしきり再会を喜びあった後、最近のお互いの話で盛り上がった。 しばらくして「あれ?もう1人は?」と聞いた。 「ああ、いつもの事さ。遅刻

          流行

          えー、世の中何が流行るかわかりません。 そしてだいたいのれずに終わる。 ーーーーー 久しぶりに仕事が定時に終わり、真っ直ぐ帰るため駅に向かった。 電車を待っていると、隣にいた女学生が急に「あっ」と声を出して俯いた。 「大丈夫?」と声をかけると鼻声で「鼻血」と鼻を押さえた。 すかさずポケットからハンカチを出して女学生に渡す。 「ありがとうございます」と苦しそうな笑顔で会釈してくれたが、ハンカチがみるみる青く染まっていく。 「青!?」と思わず声が出た。 そこで電車が来て

          8分19秒

          えー、レトロブームなんだそうですが、子供の頃買えなかった物が再発売なんて聞いたらテンション上がりますよね。 --- 今僕の見ている太陽の光は8分19秒前の光らしい。 8分前の僕は、電車の中で今日の彼女を見ていた。いつもと変わらない、でも新しい彼女。 ただ見てる僕と、彼女の距離は太陽から地球までの平均公転距離149597870kmよりもまだ遠い。 この距離を縮めるために僕は彼女に声をかけた。 「あなたは僕の太陽だ!」 現在の僕は1人電車を待っている。 8分前に戻り

          先手必勝

          えー、心に刺さる言葉は人それぞれですが、あなたの好きな言葉は何ですか? --- 懐かしい人からの着信で、車を路肩に停めた。 「おう!久しぶり」なんて気安く電話に出たが、返事もなく無言のまま。 「おーい」と何度も声をかけるけど、やっぱり返事がない。 何気なく見たルームミラー。後部座席に人影が映る。 ハッとして振り向くが誰もいない。恐る恐るまたルームミラーを覗くと、そこに電話の相手が座っている。けど振り向くと座席には誰もいなかった。 怖くなって電話を切った。するとミラーにも

          お宝

          えー、断捨離が一時期流行っていましたが、私は物が捨てれずにいます。 何かに使えるかもって取っておいて、使わないものが大抵です。 --- 納屋の掃除なんて、しちめんどくさい事をバーちゃんに頼まれた。 まあ確かに、いい年にもなって仕事もせずに、プラプラしてるだけの俺にはうってつけの仕事だ。 最初はやる気がなかったが「お宝が眠っているかも」なんて言葉に釣られてしまった。 ここにお宝がなんて思えないほど納屋は、埃だらけで暗く、なんとなくじめっとしていた。 ダンボールの山を開

          幸せでありますように

          えー、その場所に行くと思い出す。そんな今も変わらない場所があります。 それでも、たくさんの選択の中で今がある。 たらればは言いたくないですね。 --- 数年ぶりに来た夏まつり。タイムスリップしたかのように何も変わっていない。 入り口の近くには綿菓子屋さん、一番奥には射的と輪投げ。夜店の位置までおんなじだ。 子供の頃は夏まつりが楽しみで仕方なかった。夜に遊べるだけで特別だった。 それは中学、高校になっても楽しみだった。 いつの間にか大人になってしまったが、夏まつりに

          幸せでありますように

          酷暑女

          えー、冬の雪女はよく聞きますが、夏はなんでしょう? --- ある夏、海に友達と出かけた帰り。とは言え各々自分の車で来ていたので行きも帰りも1人だったのだが、道に迷った。 酷暑の中、海でたっぷり遊んで、日に焼けて疲れていたのもあったとおもう。 街灯の少ない田舎な道の途中で止まり道を確認する。どこで間違えたのやら…… そんな時、後部席から 「私も道に迷ったんだけど」 と声がした。振り向くと、日に焼けた黒い肌に白いビキニ。金髪のギャルっぽい知らない女の子が乗っていた。 エ

          亀の子、私

          えー、亀は万年と言いますが…… 万年て、いいまんねん。 ーーー ある日、家に帰るとお父さんが亀だった。 お母さんはもう亀なお父さんに慣れたのか普通に接している。 私は「お父さんどうしたの?」と聞くと亀なお父さんは「昨日の夜、職場の仲間と飲みに行った帰りに、路上の占い師に占ってもらった後に亀にされた」と平然と言う。 「家まで連れて帰ってくるの大変だったんだから」とお母さんが笑いながら話す。 お父さんは亀は亀でも、象亀。 どうやって連れて帰ってきたんだろう? 亀な

          伝説の剣

          えー、伝説になる過程は、出世魚みたいなもんですかね? ーーー どこからかドラゴンが現れた。 この国の城や町のいくつかが、大暴れしたドラゴンによって壊滅した。 名を上げようと何人もの戦士が討伐に向かったが、剣は折れ、槍は曲がり、その他の武器もドラゴンにキズ1つつける事はできず、魔法はドラゴンの雄叫びでかき消されてしまう。 そしてドラゴンの吐く炎や大きな翼で竜巻を起こし戦士たちは皆傷付きやられていった。 どうしたものかと国中の学者たちが知恵を絞り、この国のどこかになんで

          川流れ

          えー、最近なーんも浮かびません。 しずんでる?いや、溺れてます。 ーーー 何となく遠回りした学校からの帰り道。 川の流れを見ていると嫌な事は、笹舟みたいに流れて行った。 最近は学校も家でも何だか空回り。そんな気がしていた。 上流からカッパが流れてきた。 溺れているようにも見える。 まさかカッパが? 下流に流れて行くのを見送った後、やっぱり気になって川へ近づくと少し下流のとこで大勢の人に助けられていた。 なんだ、テレビか何かの企画か…… 緑色のスーツを脱ぐ人が見えた

          黒い蝋燭 (4)

          4 「その後は知っているわよね」とお母さんは冷めた紅茶を飲んだ。 「まさか万理姉さんとの会話をあなたに聞かれていたとはね。でも、今更こんな話聞いてどうするの?」 「この話は墓場まで持っていこうと思っていたのに……」 「結局姉さんにも怖くて話さなかったのよ」 伏し目がちに話すお母さんは、話し始めた時より老けたように見えた。 話しにくそうにしている私に「紅茶のおかわりをお願い」とお母さんがカップを差し出した。 私は自分の分と2つのカップを持ってキッチンで紅茶を淹れた。 席に戻

          黒い蝋燭 (3)

          3 21年前の暑い夏の日に私は夫の十蔵さんと奈々とで海に出かけた。 奈々は生まれて初めての海で、家を出る前、いや前日からはしゃいでいた。 海に着いて2人はすぐに水着に着替えたが、私は着替えずに砂浜にシートを敷いて、海と2人を眺めるつもりだったので水着も持ってきてなかった。十蔵さんは「おまえも水着になればいいのに」と昨日からしつこかった。 早速、浮き輪を膨らまそうとして十蔵さんが空気入れを頑張って何度も何度も踏んづけ、汗だくになっていた。奈々は波打ち際でキャッキャ言って言っ