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結局依存症ってどうやって止められるの

研修医として働いている中で、精神科を研修する期間があった。
その中で、上記の質問について、現役の精神科医に尋ねてみた。

依存症患者の多くは、先に家族が参ってきて病院に連れてこられるらしい。(この場合は多くはアルコール)
だが、本人に改善する意志がない場合、その段階では治療介入せず暫く様子をみるそうだ。
何故なら依存症は進行性の病態であって、その生活を続けていくウチに必ずどこかで破綻が起きる為だという。
その破綻が来て始めて依存症治療はスタートラインに立つそうだ。

実際に精神科でなくとも救急科当直で働く中でアルコール依存の、いわば❝破綻した❞患者さんを目にする事はしばしばある。
その殆どが既に家庭での生活は破綻し(多くは独身で経済的にも困窮している状態)身体状況的にも、肝機能がほぼ残っておらず、腹水でお腹はパンパンに膨れ上がり、一時的に水を抜いても何度もたまり続けそうしている内に感染症で命を落とす、あるいは肝硬変の為に血流が滞り、こらえきれなくなった血管が破裂し大量に吐血し命を落とすといったケースが殆どである。

彼らは確かにもうお酒からは離れられる様になったかもしれない。(それでも退院出来たら飲み続ける人も多いが、、)
が、そういった状況は既に❝手遅れ❞ではないかという印象を受ける。仮に依存症を克服できたとしても既に失われた体の機能や、社会的な生活は元には戻らない。

理想的には❝破綻する❞前に依存症治療を開始し、破綻を未然に防いでいく事がいいのだろう。
が、そもそも日本には依存症治療の施設があまり多くない様である。(一般の精神科クリニック等でやっているのだろうか??)
アルコールやタバコはまだしも、性依存(その他ギャンブルやスマホなど)の行動依存についてはとりわけ取り扱っている施設は少ない印象である。

私自身はポルノ依存となる事で、時間や金銭的な部分で損失が生じた程度で留年したり退学したりといったところまでは幸いならなかったが、(とはいえ一晩中ポルノを見て試験を落とした事はあった)これらの行動依存も破綻が進めば生活機能が修復不可能な所まで行ってしまうだろう。その段階で依存行動を改善しようとしても失われたものを取り返すのは難しい。

結局依存症になる前に介入するのがやはりベストである様に思う。
今破綻していなくても、結局いつかは破綻に至る。
もしその予兆があるならその段階で行動に移せたらと思う。

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