見出し画像

MMTの限界【そもそも四次元ポケットの中身にどれくらいの信用創造が詰まっているのかについて】

以前誰かが言っていた、もし国債をさらに増やす場合、いったいどれくらいが限度になるのか。無制限というのはさすがにないだろう。現在よりは高い金額だとは言え、どこかに上限があるはずだ。
という意見がありましたが(倉本圭三さんだったかな)これをちょっと考えてみます。

ええと、どこで読んだかな?

これだ。

通貨が実体経済と遊離してハイパーインフレを起こすような場合(例えばジンバブエのような例)明らかにその国の通貨発行量はその国の産業が可能な生産量を遥かに超えています。
買えるものがないのに通貨だけが大量にある状態ですね。
これがハイパーインフレです。

逆に言えば通貨がインフレを起こさないということは、その国の通貨でその国の製品を購入できる供給力が残っているということになります。
金さえあれば何でも買える、というやつです。1930年代大恐慌下のアメリカでもキャデラックを購入する金持ちはいました。そういう世界です。

ここで一般的に恐慌というのは、需要が急減し、それに対して供給力があまりにも過剰であるために発生します。
その際に信用縮小がスパイラル的に発生して、結果として社会から通貨がそれだけ消滅します。最終的にそこまで低下させる必要がない供給力までが低下して、社会全体が貧しくなってしまいます。

ここはケインズが説明した通り、人為的に需要を捏造してやれば、過剰な供給力がきちんと機能しますので、とりあえず恐慌は改善されます。
(1930年代のアメリカの例でいえば軍需が結局は天井を破りました)
経済成長率は本来の水準に戻り、貧しい人々にきちんと分け前を渡せるようになります。

この点では別にケインズは否定されているわけではなく、不況時に緊縮財政を取ることで成功した実例は統計学的に見ても、ほとんどありません。
(IMFはなぜか緊縮政策を取らせようとするのであまり成功例がありません)

そしてMMT理論は明らかにケインズ的政策を求めて、必要な財源について考えた際の延長にある考えです。
(もちろん財源を他に求める場合はこの考えは必要ないですけど)

先にその国の供給力を越えなければ、インフレは起こらないと言いましたが、おそらくその辺がMMT理論で捻出できる無限国債の上限になるはずです。
(最終的には環境的な制約になると思います。地球から出れば問題解決しますが)
その国の供給力がどれくらいかは資本(外資を含む)と投資(期待収益率による)によって決まります。だから一概に言えないのですが。

短期的に需要にたいして供給が足りずインフレになる場合と(ケインズ政策では逆にこれを目指します)

根本的に供給がそもそも存在しないためにインフレになる場合(いわゆるハイパーインフレが起こる場合です)

ハイパーインフレはバブルに似ています。実態がないのに計算上だけの価値を高くつけてしまった場合に起こります。市場経済においてはその補正が行われようとするため、そういう現象に発展します。
逆に言えば、実態経済が存在する場合には、その程度の状態で収束するということです。

もっともMMT理論ではインフレ率を慎重に見て、上限を突破しないように微妙に調整するのが理論的支柱なので。
MMTで無限に国債を発行できるというのはそもそもMMT理論的にも書いてないことだと前提します。

それと言うまでもないことだと思うのですが、MMTで上限値になっても、さらに資金が足りないという状態になる可能性も充分に考えられます。

現時点で、日銀が日本の国債を9割がた購入してしまう状況は終わりだ、とする論があるのですが、私にはそうは思えません。
日本政府が実質的にその国債の所有者になってしまったらその国債は償還されたのと同じことです。借金はチャラです。
自分で自分に返済する義務があるというのは意味がわかりません。これはIMFでもチャラ認定すると思います。貸方と借方の清算を行えばチャラにならない道理がありませんからね。破産再生法では必ずその作業があります。
現在、日銀が国債の50%以上を保有しているとのことですが、これは実質的に赤字が半分に減少したことを意味すると思います。
(ただ通貨発行量増大の担保になっているという名目があるので、その状態を自ら解消しようとはしないでしょうけど。本当にそれだけなら返済の必要はないですね)
この辺、間違ってたらすいません。

またハイパーインフレも経済的には必ずしも悪いことばかりではなく、資本の蓄積が破壊されるため、市場経済が健全性を取り戻して急成長させる効果があります。

もちろん資本の破壊以外にも、富の格差を偽計的に解消して、資本の移動に際して資本が破壊された場合と同じ効果をもたらすようにする政策などは考えられ・・・るかもしれません。(これは考え中なのです)

私がいつも考えているのは最後の部分で、富の格差を根本的に解消しないまま、インチキのレトリックを使って、実質的な分配を実行してしまおう。
そうすれば莫大な需要が発生し、豊かな社会が戻ってくる。
そうすれば貧乏人も金持ちも助かるウィンウィンの世界になる。
それが我々の最終的に目指すところです。

もちろんインチキというのは、経済学的には正当化される方法においてです。
「信用創造」や「需要の捏造」が正当化されるのだから、当然やり方次第によっては合法的にやれるわけです。それも全員が得をする形で。
それが経済学なんです。

コピー及びパクリは自由です。この文章の著作改変以外の著作権を放棄します。
経済的知識が未熟なせいで間違っていたらごめんなさい。
経済学部卒とかではないので、とんでもない勘違いをしている可能性はあります。

#経済学 #歴史 #現代貨幣理論 #経済成長 #経済学 #MMT #積極財政 #税制 #デフレ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?