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ガンヘッド小説版(著:會川昇)【バカめ。真の読書紹介とはどういうものか、貴様には分かるまい「バカはお前だよ」なにっ。ぶほわっ】

90年代の日本に特撮SF対策を撮ろうという無謀な計画を企て、
当然ながら爆死した作品がありました。
(まあ映画版は観てないのですが)

いちおうガンヘッドゲームブックで映画版の内容を把握はしています。
(確かゲームブックだったはず)

世紀末的な世界観で、滅亡寸前の人類がコンピュータに管理される社会で、
その管理に辟易した反抗分子がアウトローの果てに全滅。
ひとり生き残った少年と、途中で拾った少女と、
謎の古代の封印兵器(まあ人型戦車なんだけど)ガンヘッドを駆使して生き残る。

まあ、あの時代のよくあるSFテンプレ・・・
というわけでもなく、割と暴力の肯定という振り切った手法を用いていましたが。

他方で、
小説版は、映画版とはまた違う話です。
というか、無駄に濃い。
映画と関わりないのに、なんか無駄に、
すごく煮詰めたハードボイルドSF小説になっている。

ライナー真島という主人公が、
伝説兵器、ガンヘッドの誕生した時代に居合わせます。

まあ、ラノベ枠なんでしょうが。

ライナー真島は、
さしずめ闇落ちしたシティーハンターというか、
暴力の権化である解決屋。
社会の底辺で苦渋を舐めつくしたせいで、
あらゆるものを斜に構えてみる習性があります。
ハードボイルドです。

そんな彼が、友情とか仲間とかを尊重するわけもないのですが、

しかし金のためであれば仕方ない。
チームを組んで、謎の新兵器を強奪する計画に臨みます。

当然ながらチームを組むまでが一苦労で、
一癖も二癖もある仲間たちを手に入れる時点ですでに四苦八苦、
それ自体がすでに長いドラマです。

しかも、まあいい感じで(ネタバレすっか)




















裏切り者によって集めた仲間が全滅します。

結果、ただのひとりに戻った主人公は、
果たす義理すらない復讐のために、
ひとりで立ち上がり、みごと仇を仕留めるというわけで。

あの手この手で、想像の二枚上手を行くように物語を盛り上げていく。
まあベテランの作者にかかれば、赤子の手をひねるようなものかもしれませんけど、

次から次へと出てくるガジェットも、
海中で使用できるレーザー兵器とか、
よくもまあ、アイデアが出てくるものだというのが、割と多くて。

まあ、そんな感じの話なんですが、
自分、若かったからか、
圧倒されました。

****

どちらかというと暴力を肯定し、
生を称揚しようというテーマを採用していましたが、

まあテーマはどうでもよかったのですね。
そんなことより、
テーマをスパイスにして、いかにうまい料理を作れるか。
創作の奥義とはそこにあり。
ということを若造に思い知らせてくれる作品でした。

それと、あれほどニヒルで人を信じない主人公が、
結局は行動においては「人を信じる」アクションを取っていたという、
いや、どんなハードボイルドな言い訳をしても、
冷たい悪党と見せかけての実はアツイ奴だった、という評価を覆すことはできません。
またそういう行動にいちいち説得力があるんだよね。

冒頭、敵同士だった男がやられて、
本来だったら切り捨てるぜ。死んだ奴は放って置け。
というドライな対応をするところ、
徒手空拳で反撃しようとするところとか。

登場人物みんな表と裏の性格があるんだよね。

行動と信条の解離。
勉強させていただきました。

そして人型戦車ガンヘッドの、ダサいこと。

同時代にすでにZガンダムみたいな作品があり、
それと比較すると一見して一昔前のメカという感じ。
とにかくダサい。まあ、きっとそこが良いのだろう。

(マクロスのアニメーターさんだけど、明らかにデストロイド系列)

こんなのが神話になるような兵器とはとても思えませんが、
良いんです。

小説版では、いくらでも妄想が効きますから。

ベテラン作者にとっては、ただのやっつけ仕事だったかもしれませんが、
はじめてプロの試合を観た中学生、という雰囲気で読みました。


ものすごく刺さりましたけど、
それが何の役に立つのかと言われると、何の役にも立たん。
他の作品にもまして、意味があったのかと問われると何もない。
でも面白かった、すごい、という作品を紹介してみました。

これがプロの書く小説かぁ。と思ったのだ。

*:タイトル画像は似たイメージの画像をお借りしました。
こう、なんかデブってしてる感じ。
え?似てないって?


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