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通貨発行権の自由化について【もっともイカレタ解決策ほど最も合理的なのかもしれないと思った】

私が考えているのは通貨発行権の自由化です。
なぜそんなことを考えるのか。

始まりは、貧しい人たちの給料が上がらないから。
なぜ上がらないか。
それは人件費がコストになっているから。
可能な限り人件費を払わない方が企業にとってはよろしい。

でもこれはおかしな話です。

給料をもらった労働者が、消費者となって企業の製品を買うのだから、労働者の賃金を低くカットするということは、企業製品が売れなくなるということでもあります。
しかし多くの企業がこの理屈を理解していても給料をカットします。

仮に企業が労働者に賃金を多く払おう、そしてウチの製品を買ってもらおうじゃないか、としても、そのお金でライバル企業の製品を買うかもしれません。
(自動車会社の人は本当に自分の会社の車を買っているのでしょうか?)

でももし企業が自社マネーを発行できたら?
そしてその自社マネーを使って賃金を払えば? 
賃金は実質ゼロになります。
そして自社マネーで買えるのが自分の会社の製品であれば? 
必ず自社製品が売れます。
その際には自社マネーが会社に戻ってくるわけです。

かくて賃金は負債ではなく資産に計上されるようになります。
こうなれば各社争って賃金を上げるでしょう。

もちろんその企業の環境的体力が許す限りですが。
(ちなみに円やドルは会計的には政府の負債の扱いです)

こんなのうまくいくわけがない! でしょうか?
ですが円やドルも基本的には同じ仕組みです。
皆さんは一万円札に本当に一万円の価値があると思ってますか?
原価はいくらくらいでしょうか?
ハイパーインフレが起こる仕組みをご存じでしょうか?

これを最初にコメントしたときには、いくつかの反論がありました。


1:鉱山通貨ペリカみたいなのが出てきて労働者が搾取される。


(鉱山通貨ペリカというのはとあるマンガに出てきた不当に安い通貨です)

 対策:でも、単に法律で禁止すればいいだけでは?
(もっというと、ズルをしたくても不可能な制度設計もできますが、ここでは詳細を論じるのは止めときます)

2:自社製品は消費者に買ってもらうようなものばかりとは限らない。例えば水道プラントを作ってる会社はどうなる?

対策:通貨カルテルを作らせればよい。そのカルテルに加盟している企業は共通の通貨を発行できるようにすればいい。

そうすると上の「ライバル社の商品を買ってほしくない」という目的が達成されないと思われるかもしれませんが、それも問題ありません。
ライバル会社に収納された自社マネーは、結局はいつか使われるのだから、必ず利益になって戻ってくるのです。ライバル会社自身が使ってくる可能性が高いですが。
つまりライバル会社から自社に発注が来るはずなので、問題はないのです。

もちろんあまりにも非効率で、魅力のない製品を売ってる会社は、カルテルの中で淘汰されるかもしれないですね。
そんな会社が発行してる通貨なんて、もらっても使い道がないですからね。

(鉱山通貨ペリカの駆除方法をひとつ書いてしまいました。書かないようにしてたのに)

現時点での問題は、日本円の場合は、使わないで備蓄されてしまう、というのが問題です。

お金は使いさえすれば社会を回って多くの人を豊かにします。
備蓄しているお金は消滅したのと同じことです。
貯金が多ければ多いほど、その分のお金が消えてなくなってしまい、それだけ社会が貧しくなったのです。

一般的な考えとは逆で、私は、貯金は悪だと思ってます。

もちろん家庭レベルでの貯金は、ほどほどに必要ですよ。
でもマクロ経済の理論では逆になります。
社会がこんなにも貧しいのは、貯金のせいです。
貯金すればするほど、その分のお金は消滅したのと同じこと。

ミヒャエルエンデの時間銀行の話みたいに。

貯金しているお金を使ってしまえば、
流通させてしまえば、社会は信じられないほど豊かになります。
それが本当の富です。本当に豊かな社会です。
使えば使うほど、お金は戻ってくるのです。
お金というのはそういうものです。

でも誰のところに戻ってくるかわからない? 
これまではそうでした。
でも通貨発行の自由化では、誰のところに戻ってくるかを指定できます。
お金を使った瞬間、未来の発注も予約されたのです。(資産ですよね)

貯金できないシステム。貯金しない方が豊かになる仕組み。
貯金しない方が勝ち組になる経済スキーム。
今日の浪費が明日の収入として予約されるシステム。

そういうのを作ってしまえば、
その社会は今の10倍ぐらいには豊かになるのではないでしょうか?
(詳しくはケインズの乗数理論を参照してください)

なぜ10倍なのか?というと大まかな目安があります。
通貨発行の非金本位制がされる以前の世界と、
以後の世界とのGDP比較とかです。

想像できますか?
その豊かさが?
お給料がやがて10倍になった世界を想像できますか?
年収200万の人 → 年収2000万になる世界です。

こんな感じで。

3:勝手に通貨を発行され続けたら管理できなくなる。

対策:もちろん国が管理します。

通貨発行したい経済主体は国に担保金を納めてもらいます。
これによって税収も増えます。

所得税、法人税、消費税の増税は必要ありません。
さらに通貨発行の総量が増えることで、自動的に今の何倍もの金融緩和の効果が出ます。
しかも国債を発行する必要もありません。

もしかするとMMT理論はもう必要ありません。
赤字どころか黒字になるでしょう。
もちろん担保金は、他で使ってしまっても多くの場合は大丈夫です。
ストックさせておくのは「貯金は悪」という主義に反します。

もちろんいくら総量を発行して良いかを決めるのは国の役割ですよ。

つまり通貨発行を自由化すると何が起こるか。
企業は通貨を配った相手を囲い込もうとします。
それは消費者の囲い込みです。
(今でもポイントとか発行してますが、あれは囲い込み戦略です)
自社通貨を配れば配るほど囲い込める消費者は多くなります。

したがって、企業は給料をたくさん払うようになる。
そういうインセンティブが働くようになるのです。

このインセンティブは、通貨発行ができるようにならないと発生しません。
通貨を発行している主体しか、このメリットを享受できないからです。

通貨発行できるようになれば、赤字になってでも通貨を発行するようになります。
日本やアメリカの赤字を見てください。

彼らはお金をもっぱら浪費しています。なぜ浪費するのか?
浪費すれば浪費するほど、戻ってくるリターンも大きくなる。
お金が足りなければ発行すればいい。
インフレが酷くならない限り、いくらでも印刷できる。
印刷代金はほとんどタダ。
つまり通貨発行は美味しい商売だということです。

ひとたび通貨の発行主体になりさえすれば、
これがいかに旨味のある仕組みかが分かります。
お金をケチるより、お金を発行する方が1000倍美味しい!

通貨発行権の自由化を行えば、今よりも格段に賃金や給料は、上がります。
もっと給料をもらいたくないですか?

これが信用創造という魔術です。
かつて信用創造というインチキを正当化しただけで、過去300年間の経済成長が実現されました。
同じ手をなぜ使わないのでしょうか?

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もちろん貨幣の流通を良くする方法はこれ以外でもあります。
例えば使用期限のある通貨を採用するとか。
これも国家レベルで採用されなければ意味はありません。

(シルビオ・ゲゼルのプランは地域通貨として採用されましたが、ゲゼル本人は国家レベルで採用されなければ意味が無いと反対でした)

これはプランBとなります。プランAがどうしても怖いという場合にはこっちの選択肢もあります。

もちろん環境問題はまだ課題として残っていますが、
それはまた別の機会に話しましょう。

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