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波打ち際で❷或る少女の場合


私が高校生だった頃
授業の合間の休み時間でさえ
皆、勉強をしていて
窒息しそうだった



「受験生」というだけで
誰もが受験戦争に巻き込まれていった
夜中まで机に向かったあの頃は


帰り道にほんの少し
波の音を聞いて
体中で波のゆらぎを感じることで
心に刺さった棘が
抜け落ちるかのようだった



友達と語り合って
人によって価値感は異なるのだと
実感した日は
淋しい気持ちがしたけれど
豊かなことでもあったのだと
大人になってから知った