いつもの喫茶店で、僕たちは
話し合っていた。
これからの二人の人生が
重なっていくのかどうか・・・
岐路に立たされていた。
彼女は、東京を離れ
地方で或る仕事に就きたい
のだという。
別れ話を切り出した彼女に
プロポーズした僕・・・
彼女が地方に移住したい思いは
変わらなかった。
それなら僕が今の仕事を辞め
新しく仕事を見付けるより
他はなかった。
僕の年齢で
新しい仕事が見付かるのか?
一抹の不安と共に
僕は人生の大切な局面を
迎えていた。
後悔だけはしたくなかった。
「僕が、 君が行く新しい場所に
一緒に付いていくよ。」
気付いたら、そう彼女に伝えていた。
「こうあるべき」という思考より、
「こうしたい」という感情が上回った。
別れ話を切り出した彼女は
突然の話の展開に
しばらく黙って考えていた。
そして
「人生って思わぬ方向に進むのね」
と言って微笑んだ。
それは、紛れもなく
僕も考えていた言葉だった。
彼女の瞳は、涙で溢れていた。
僕は、思わず彼女を
抱き寄せ、キスをした。
彼女のその微笑みは
いつもと何も変わらないようで
いつもと全く違うようでもあった。
彼女の微笑みと涙に
僕は、自分の決断が
間違いではなかったことを
確信した。
nekonosaraさんのステキなイラストを、
使わせて頂きました。ありがとうございます😊