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たった4ヶ月しか働いてないけど、書店員は想像以上に大変でした。

結婚後、寿退社をして職探しを始めた。夫は転勤が多いので正社員では探さずにパートで探していた。

正社員時代は激務だったので、「しばらくはのんびり働きたいな」と考えて、小さい頃から憧れていた書店員に応募した。読書はずっと飽きない唯一の趣味である。小中学生時代、友達がいなかったので図書館で本や図鑑を読んで気を紛らわしていた。中学生の頃なんかは夏目漱石の「こころ」を教室の片隅で読んでいたという、めちゃくちゃ暗い学生時代であった。その甲斐あって国語は常に成績上位だった。理系に進んだけど、得意科目は文系科目だったので友人からは「なんで理系きた?」とよく言われるほど。自分でもそう思う。ちなみに暗算は苦手だ。理系全員、暗算できると思うなよ。(でも大体の人はできる)

話が逸れたが、そんな文学少女(?)だったので「本屋で働くお姉さん」にずっと憧れていた。大学生の頃に書店のアルバイト求人を探すも見つからず、いつかチャンスがあれば働きたいと思っていたのだ。応募後、面接をして無事に採用してもらえた。駅前のチェーン店であり、大きな書店だった。中心地だったので平日でもひっきりなしに客が来る為、人員が必要とのこと。

そして私の担当は文芸!大好きな小説に囲まれて働けることにこの上ない喜びを感じた。実際に面白そうな本を見つけては購入して読んでいた。エッセイストの北大路公子さんが好きなのだが、北大路公子さんをオススメしてくれたのは書店員の先輩だった。

しかし、書店員は決してラクな仕事ではなかった。まず朝が早い。早番の場合は入荷する本を開店までに検品しないといけないのだ。この冊数が多いと本当に大変である。その後の本の移動も意外と重労働。台車を使うが、本の重みで上手く操作できないのである。

そして私が最も苦労したのは、本のラッピング。包装紙で包むのがどうしても綺麗にできない。社員さんから何度もきつく叱られ、先輩達に何度もレクチャーを受け、家で自主練をするけど上手にできないのであった。モタモタしているとお客さんから「まだ!?」と文句を言われることもあり、自信喪失していた。

他の書店でアルバイト経験のあるほぼ同期の人に聞いたら「前の店は不織布の袋に入れて紐を結ぶだけだった」と言っていた。「ウチもそれにならないかなぁ」と切実に願うが、そんなわけもなく。コスト的に包装紙のほうが安いのであろう。分かるけど…!

レジが混んでいる時に限ってラッピングの注文が来るのである。しかもサイズが異なる絵本が複数冊とかね。そういう時は先輩にお願いして代わってもらった。そんなことをしているもんだから、私のラッピング技術は一向に進歩しなかった。

他にもレジで釣り銭の渡し間違いをしたりと、色々やらかした。完全にお荷物だったと思うが、職場の先輩方は温かかった。社員の人も厳しい面はあるものの、普段はフレンドリーで雑談することもあった。特に仲良くしてもらったパートの先輩とはランチを一緒に食べたり、仕事終わりにお茶をすることもあった。

無事に試用期間が終わり、これからもっと働くぞ!と思った矢先に夫の転勤が決まり、私は書店員を辞めることにした。たった4ヶ月しか働いておらず申し訳ない気持ちでいっぱいになったが、店長含め同僚の人達からは嫌味を言われるどころか、気遣いの言葉をかけてくれた。店長や社員さんなんかは「お荷物だったから良かったわ!」と内心思っていたかもしれないが、それでもそんな態度は取らずに最後は餞別としてお菓子を頂いた。他の方からも最終出勤日にプレゼントを頂き、恐縮してしまった。

私はその後、書店員としては働いていない。本を売る仕事は楽しかったし続けたい気持ちはあったが、それ以上にラッピングがトラウマだった。引越し先にも系列の店舗があったけど、ラッピングのことを考えると尻込みしてしまった。

「そんなことで!?」と思うかもしれないが、超不器用の私にとっては重大なことである。自分なりに頑張って練習したけど、全く上達しなかったのだ。人には得意、不得意がある。私はラッピングや折り紙が超絶不得意なのだ。もうこれは個性。向上心がないと言われようと、無理なものは無理だから仕方がない。

そんなトラウマもあったけど、本に囲まれて仕事できたのは控えめに言って最高でした。ラッピングさえなければ…ね。




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