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モラハラをエンタメ化

息子は鼻をよくほじって鼻血を出す。
ある日、2日連続で鼻血をだしてしまい、その現場に夫が立ち会った。
夫はすこぶる機嫌が悪くなり、そこから”俺は機嫌悪いモード“全開で家族に接した。

マジ…うぜぇ…

鼻血を出したのは息子であって、大変だったのは夫ではないのだ。
適切に処置してそれでいいだろ。

息子が謝りに来てもその態度を変えることはない。
さすが人間としての器、ヤクルト級。

不機嫌なまま、私に言い始めたのは
「アイツ(息子)はお前に似てる」
いいじゃん?何がいけないの?お前に似るよりよっぽど世の中を平和にするぜ!!
そんな心の声をググーッと抑えて、ニコニコ聞いていると
「あっち(娘)は俺の母親に似てる」
と言い出した。

は?

ちなみに、家庭環境が複雑すぎる夫。私は父親には会っているけど母親には会ったことがない。
だからこの場面で夫に言えるのは

「知らねぇよ」

会ったこともない人に似てるとか言われても、娘を産んだのは私なのでいい迷惑。
娘だって、会ったこともない祖母に似てるとか言われても困るだろう。
だって、この話間違いなく子供達の良くない所を言っているから。

ホントつまんねぇ話してんなコイツ。と思いながらその話を聞き続けた。

子供達が悪い所があったとして、それは話し合いで解決できることもある。
しかし、夫の悪い所はそれこそ夫の両親と話し合っていただきたい。
私、夫のお母さんじゃねぇ。

とにかく年度末で仕事がバタバタしているのか、夫はちょいちょい機嫌が悪くなる。
そんなもん私には知ったこっちゃないのだけど、そこら辺は“家庭内接客”の仕事と思ってハイハイと聞いて右から左に受け流す。
「俺の性質上、一回テンションが下がると戻らないんだよ」とか言い出して、吹き出しそうになる。
だってさ、そうゆう”俺はそうゆう人間なんだ“みたいな発言、間違いなくネタにされるじゃん。恥ずかしいじゃん!!私なら絶対避ける。恥ずかしいもん!!(2回言った)

“この厨二病がっ!”と心の中で叫ぶ。その声は私のお腹の中で消えていく。
仕方ない。これも病なのだ。夫は不治の病にかかっている。

そんな夫を私は時々“最高のエンターテイナーだな”と思う。
言動自体はとんでもないのだけど、それが面白いと思えば最高に面白い。
40過ぎたオッサンが中学生男子みたいなことを言って悦に入っている姿って、第三者として見ていると腹がよじれるくらい面白いのだ。
この面白さは夫がいない車の中で思い出して笑う。

夫婦が何でも理解し合ってリラックスできる関係だと夢見たはずなのに、いつの間にか家庭内接客とか言って夫と心の距離を取るようになっていた。
「あぁ…私達、どこまで行っても分かり合えないのね…」と悲劇のヒロインみたいに泣いていたけれど、いつの間にか「もうコイツの事分からなくていいや」になっている。
夫婦ってこうして適度な距離感を各々見つけていくのだろうなと実感した。

ただ辛いと思うだけじゃ人生もったいないので、モラハラ夫をエンタメ化する。
今私が夫のことをこき下ろしていることも知らず、相変わらず”テンション低いオレ“を演じている夫。
 
めんどくさいけど面白い。絶対笑っちゃいけない。明日まで我慢。

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