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不毛な争い、防御の秘密基地

夫と不毛な争いをしてしまった。
心の中では「また…つまらぬものを切ってしまった…」(by石川五右衛門)である。

夫は人間としての気遣いがまるでない人。
もはや出生の段階から気遣いが欠落しているに違いない。
何でこんな奴結婚できてんだ?顔か?顔だな!

毎週金曜日は外にご飯を食べに行くことが多いのだけど、この日は家族のだれもが「特に食べたいものがないから何でもいい」と言っていた。もちろん夫も。
私は困惑し、近所の大衆食堂みたいなところに行くことを提案した。
そこはおかず1品ずつ選んで自分の定食を決めるスタイルなので、それぞれ食べたいものが決まりやすいのかなと思っている。

この提案に対して夫がブツブツ文句を言い出す。
「中華は?でもどこでもいいんだけどね」などと曖昧な話をし続け、最後に言いだしたのが

「外食やめて自分で作ったらいいじゃん」

時刻は19時を過ぎている。
今から作れと申すのは一体何の恨みがあるのだろう。
楽しみにしていたSnowManの冠番組ゴールデン進出スペシャルを後で見ることにした私は、この一言に今までになくイラっとした。

とりあえず夫を無視。とにかく話したくない。
その様子を見ていた夫が「お前が怒るのはおかしい」と言ってくるが無視。

人の飯炊き作業を軽視すんな。
お前が付くんのか?あの!普通の!焼きそばを!(言い過ぎ)

険悪な空気の中、食堂到着。
私はサクサクとおかずを選び、気持ちを少し豊かにするべく豚汁まで注文した。
私と距離を取っていた夫が「ラーメンセットください」と言ったが「今日の麺類注文は終わりました」とオバちゃんにバッサリされて、カレーを注文。

ざまぁ!!

心の中では大笑いしていたが、そこは変わらず無視を決め込む。

帰宅後、争いのゴングが鳴る。

自分を無視した妻に対する怒りが湧き上がる夫は
「俺はお前の家族と同居してやってるんだからな!!」
と毎回同じ話をする。進歩しないとはこのことか。
ひとしきり騒いで、気が付くと妻の表情が変わらないのでちょっと怖くなった様子でいきなり息子の話に話題をすり替えた夫。
最後まで回収できない喧嘩を仕掛けてくるのが悪い癖である。

いつもなら、夫のすぐ近くに座ってその話を聞く。
しかし、今回から私は自分の陣地に座り小窓から夫を見ながら話を聞いた。

これが結構効果的だったのが今回大発見だった。

夫と私に一定の距離があることで、私は夫の持ち合わせている怒りのパワーを直接受け取らなくて済んだ。
いつもと同じような内容の暴言だったとしても、その言葉が私に刺さらない。
夫の暴言が、小窓の角に当たって粉々になる感覚があった。
悲しくならないし、怒りも芽生えないので投げかけられる言葉を冷静に受け取り「あぁ、この人の言ってること全然中身ねぇな」と思ったりして絶妙なタイミングで意見を言うことが出来た。
夫婦喧嘩に不可欠なのは冷静さで、怒りに任せて感情をぶつけ合っても事態が悪化するだけ。
私だけでも冷静に、的確に物事を進めていく必要がある。
そのためにも、ソファー(夫)と机(私)の距離感がちょうどよかったのかもしれない。

結局何か分からないうちに夫が違う話をし始めて今回の喧嘩は終了。
その後、カップラーメンにお湯を入れる夫と思い出話をして盛り上がった。

家のシステム上、私達夫婦は別の部屋に行くということが難しい。
作業に集中するために作った場所だったけれど、思わぬところで効果が発揮された。
一畳くらいの広さが、私の心を守ってくれたのだ。

つまらない喧嘩をしてしまった。
でも、自分の心が壊れずにいられたので結果オーライ。

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