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W杯に見る経済と国際情勢


W杯が経済や各国の外交戦略にどのように影響を与えるか

 W杯が経済や各国の外交戦略にどのように影響を与えるかについて考察します。

W杯の開催国候補

 次回の2026年の大会はアメリカ、カナダ、メキシコの北米3カ国で開催される予定です。
 そして、その次の2030年のワールドカップの開催国はまだ決まっていません。しかし、現在ロシアと戦争中のウクライナが開催国として立候補を検討していると言われています。具体的には、ウクライナはスペイン、ポルトガルと共同開催を目指す方向で、この3カ国間で合意が進んでいるとされています。ウクライナのゼレンスキー大統領も、ウクライナで一次リーグの試合を行う方向で計画しているとされています。

●次回のワールドカップは初の48チーム参加に
大会の運営は3カ国で分担し、アメリカ、カナダ、メキシコの3カ国で開催する

FIFAHP 

サウジアラビア、エジプト、ギリシャでの開催可能性

 ウクライナのゼレンスキー大統領は、西側の協力を得ようと野心的に動いてきていますが、その背後には政治的な思惑があるとみられています。しかし、私の予想では、2030年大会がウクライナで行われる可能性は低いと思います。その理由は、2030年の開催候補地として有力と言われているのが、サウジアラビア、エジプト、ギリシャの3カ国であるからです。

サウジアラビア、エジプト、ギリシャの関係

 これらの3カ国は、それぞれ異なる大陸に位置していますが、様々な政治的な背景が存在します。サウジアラビアとエジプトは同じイスラム教スンニ派の国で、元々近しい関係にあります。最近では、エジプトが財政的に厳しい状況に直面する中、サウジアラビアがエジプトを支援するなど、サウジアラビア主導で協力関係が強化されています。
 一方、ギリシャとエジプトは地中海の油田を巡って協力関係を構築しています。地中海では大規模な油田が発見されており、その利権を巡る対立構造は、エジプトとギリシャを中心としたグループと、北アフリカの主要3国であるリビアとヨーロッパとアジアの玄関口であるトルコを中心としたグループによって生じています。

W杯開催に向けて

 地中海の天然ガスを巡っては、エジプトをハブとした天然ガスの開発構想に、イタリアやフランスの企業も参画しています。この構想のヨーロッパ側の玄関口として、ギリシャが非常に重要な役割を担っています。この3カ国でワールドカップを開催するということの背景には、サウジアラビア、エジプト、そしてギリシャが蜜月ぶりをアピールし、サッカースタジアムなどだけでなく、天然資源の開発を含めたインフラ整備を加速させていきたいという政治的な思惑があると見受けられます。

その他の開催国候補

 この他にも、ウルグアイ、アルゼンチン、パラグアイ、チリの4カ国が共催で立候補するとしています。
 私はW杯に関して特別な情報を持っているわけではありませんが、2030年のワールドカップについては、サウジ、エジプト、ギリシャでの開催になるのではないかと予想しています。その理由は、FIFAW杯の歴史を振り返ると、近年はお金をたくさん積める国で開催されてきたという傾向があるからです。

開催国の傾向

 2010年は南アフリカ、2014年はブラジル、2018年はロシアで開催されました。これらは、2000年代前半に「BRICS」という言葉が流行り、これらの国で経済成長が著しかった時に開催が決定したものです。そして、2002年の日韓ワールドカップに関しても、1990年代前半、まだ日本でバブルの余韻が残っていた時代に開催が決定しました。そして、今回のカタールワールドカップは、今から10年ほど前にカタールという国が天然ガスで急速に裕福になった後に決定しました。つまり、経済的に好調な地域で開催される傾向があるのです。
 こうした観点から見ると、サウジアラビア、エジプト、ギリシャの可能性が高いと思います。

W杯と金銭的な動き

 W杯というのは、お金で動いているというようなところがあります。オリンピックも同じようなものですが、FIFAも、色々なお金の動きがあり、意思決定に大きな影響を与えてきた歴史があります。
 カタールW杯の誘致を巡っては、当時のFIFAのプラティニ会長が、カタールに投票する代わりに賄賂を受け取っていたとして逮捕されています。お金を持っている国、経済的に発展している国で開催される傾向が強いのは、こうした事情が背景にあるのかもしれません。

FIFAの利益

 これから2030年の開催を巡り、お金と政治が動いていくことになるでしょう。
 カタールW杯で日本はベスト16という結果を残し、1,300万ドルの賞金を手にしました。全ての出場チームに150万ドルが支払われ、優勝賞金は4,200万ドル、賞金の総額は4億4,000万ドル、日本円で約600億円にもなりました。これは過去最高の金額で、これだけの賞金を払っても余るほど、FIFAは利益を得ているということです。

サッカーとビジネス

 サッカーはビジネスとしての側面が非常に強いスポーツです。特にヨーロッパでは、プロリーグだけでなく、育成年代も含めたあらゆるカテゴリーで大きなお金が動いています。ヨーロッパのサッカーというのは非常に金にシビアな世界です。そうした面も含めて、日本のサッカーが海外で勝てるようになっていけば、日本の経済にとっても大きなメリットがあるでしょう。

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