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なぜ「待望の復活→サービス終了」のパターンが起きるのか

スマホ用ゲームの隆盛により、開発タイトルがすごく増えた。とはいえスマホゲーは基本的に「継続」をベースとしているため、既存のヒット作のシェアを奪っていく必要があるということでなかなかハードルが高い。近年ではウマ娘のヒットが記憶に新しいが、「原神」「パズドラ」「モンスト」「FGO」「NIKKE」などがひしめく中に殴り込んでいくという恐ろしさ。

まあ既存プレイヤーにもある程度飽きが出てくるのでそこを狙うのもあるだろう。ただ全くの新規タイトルだと何か売りが欲しい。最近は特に海外メーカーによる「えげつない量の広告投下」「0000連ガチャ・事前登録者対象プレゼントなどの物量作戦」が多くみられるのだが、今も昔も変わらず売りとして強いのが「人気IP」の存在である。知ってる人も多いと思うが「IP=知的財産」であり、要はキャラクターとかゲームタイトルとかのこと。ドラえもんとかハローキティとかドラクエとかポケモンとか。

ドラクエ、FFといったモンスタータイトルの派生作品はめちゃくちゃ多いのだが、それ以外のゲームももちろんある。その中で結構狙われがちなのが、「昔そこそこ人気のあったゲームタイトルのリメイク風」ではないかと思う。
これらは昔ファンだった層の掘り起こしが狙えるということで、まったくの新規より期待度が高いと予想される。というか企画も通しやすいだろう。
「懐かしい」「安心感」「昔楽しんだから面白さがイメージできる」といったところで、ブーストがかけられるというわけだ。

特に、家庭用ゲーム機が非常に元気だった初代プレイステーション・セガサターン全盛期くらいだと、その分ファンも多いためか、このあたりから復活タイトルが出てくる印象がある。
たまに普通のリメイクまたはリマスターもあるが、これらはスマホ向けではなくてコンシューマーの単発タイトルのため今回の話とは別。どうでもいいが幻想水滸伝1・2のリマスターはいつ出るんだろうか…。

世代的にもだいたいわかるので、「あの●●がスマホで復活!」てな見出しを見ると「おっ」と一瞬反応はするのだが、「まあでも結局ガチャになるんだよな…」という先入観でほぼ手を出さない。今回ふと思い出して「そういやあのタイトルどうなったんだ?」と調べてみたところ、軒並みサービス終了していた。

■ワイルドアームズ
ワイルドアームズミリオンメモリーズ
2018年~2020年稼働

西部劇とファンタジーを融合させた世界観でそこそこの人気を博していたワイルドアームズシリーズのスマホ版。ナンバリングタイトルは5まで発売されていて、自分は1と3をクリアしている。1が一番面白かったなあという印象。スマホ版は2年程度と稼働期間は長くなく、あんまりうまくいかなかった模様。どうもRPGからアクションRPGに変化したことで賛否両論あったらしい。キャラクターを1~5から持ってきたり、懐かしさを狙う戦略としては間違いではないと思うが。ワイルドアームズここに死す。

■ブレスオブファイア
ブレスオブファイア6 白竜の守護者たち
2016年~2017年稼働

なんと、しっかりナンバリングタイトルである。にも関わらず稼働が1年程度と、いわゆる爆死。そもそも「ブレスオブファイア6」で検索すると候補ワードに「炎上」「爆死」が出てくる。ファイアだけに炎上、とか茶化せないレベル。ブレスオブファイアはSFC時代に1と2が出て、PS時代に3.4が出たがおそらくこの3.4時代が一番ヒットしたのではないだろうか。自分も3だけクリアしている。5は「ドラゴンの力を使いすぎるとゲームオーバー」という縛りの難度が高く、自分もクリア断念したが世界観やシナリオは秀逸で、一部では高い人気を得ていた。そこに10年以上を経て6の登場!そして爆死!どうも難度が高い、テンポが悪い、それに対して運営の対応が遅いなどさまざまな問題を抱えていたらしい。ちなみに余談だが「ゲームでトラウマになったシーン」みたいな動画で、4のとあるショッキングなシーンが取り上げられることがよくある。
ブレスオブファイアここに死す。

■アークザラッド
アークザラッドR
2018年~2021年稼働

PS初期にまだ数少なかったPSオリジナルタイトルとして「光と音のRPG」のキャッチコピーで大々的に売り出された作品。ナンバリングは3まで出ていたが「そこそこの評価だが短すぎると不評だった1」「1とは比較にならない大ボリュームでヒットした2」「駄作ではないがなんか地味な3」という印象。実は3から1000年後というかなり未来に設定が飛んだ『精霊の黄昏』もあったのだが、人気が高いのは1.2であって、実際このRにしてもその続きのようになっていた。3がほぼなかったかのような展開(一応キャラは出てくるらしいが)。稼働期間は3年程度とこれまた長くはない。2までのファンからするとシナリオは結構良く、感想を見ても評価が高いのだが、ガチャや育成システム回りでどうも失敗したっぽい。「ちょこ」だけは安定した人気キャラだったようだが。
アークザラッドここに死す。

■サクラ大戦
サクラ革命 〜華咲く乙女たち〜
2020年~2021年稼働

実質7か月ほどしか稼働してない大爆死。人気シリーズの待望の復活がどうしてこうなった、という感じだが「もともとの原作者排除」「キャラデザインもシリーズとは違う人」「シリーズファンに訴えかけるポイントが少ない」などのポイントがいろいろ物議を醸したらしい。稼働は7か月だが4か月時点で終了発表をしていたことを考えると売上がホントにシャレにならないレベルだったのだろうと思う。パラレルワールド設定なのもよくなかったのかな…。このシリーズは1だけをプレイしているのだが、ベタというより王道な展開でそれなりに楽しめた記憶がある。サクラ革命のキャラデザインが悪いわけでなく、ファンが藤島康介デザインに思い入れがありすぎたのではないか。しかしここまでの爆死では今後は厳しいであろう。サクラ大戦ここに死す。


■ヴァルキリープロファイル
ヴァルキリープロファイル アナトミア
2016年~2021年稼働

元になる「ヴァルキリープロファイル」をプレイしていないのであまり多くを語れないのだが、友達がやっていたりしてコアなファンが多くついていた印象がある。ここに挙げた中では稼働期間も一番長く5年ほどなので爆死というほどでもなかったのではないだろうか。もしかすると一定期間おいてまた出てくるかもしれない。


ここに挙げたソフトの共通点は最初に書いた通り「過去作のファンが一定数見込める」という部分があるわけだが、同時に「タイトルの続編が出ていなかった」という点もある。だからまあ常に続編が発表されるような大人気作でもなかったわけで、そう考えるとよくてもそこそこのヒットくらいしか狙えないのかもしれない。
買い切りであれば問題ないが、やはり継続しなければいけないものとなると懐かしさだけでは押し切れない。どんどん新しいキャラをガチャで追加、となっても過去シリーズがあるので既存のキャラのバージョン違いなどになってきそうだし、全くの新キャラではそもそもシリーズファンに訴求できない。そう考えるとリマスターやリメイクに比べてかなりハードルが高いのだなぁ。
「懐かしい」→「面白い」→「懐かしさがなくなっても継続できるほど面白い」というルートを進まないといけないのだから。

最近は昔人気だったタイトルの開発者が独立していわゆる「精神的続編」を作ることもある。「悪魔城ドラキュラ→ブラッドステインド」「がんばれゴエモン→御伽活劇 豆狸のバケル」「幻想水滸伝→百英雄伝」…あれ?これぜんぶコナミだな。
まあそれはさておきこのタイプの方がファンには受け入れられやすく感じる。やはりタイトルだけもらってもその作り方や精神性が理解できていないと届かないものなのだろうか。

「昔そこそこの人気」「今もファンがいる」「ずっと続編が出ていない」で考えると…狙い目タイトルは何だろう。クーロンズゲートとか?

と思ったら既に発売されてた。全然知らなかった。


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