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オンキヨー破産の波紋

◉自分が中学や高校の頃は、オーディオ機器は憧れの的で、高級ステレオコンポを持ってる家の子なんて、羨ましかったですねぇ。高校の友人が、昭和が終わる前年に大学に入って、一生懸命にアルバイトして最初に購入したのが、25万円ほどのミニコンポでした。時代はちょうど、レコードからCDへ。貧乏だった自分は、とてもそんな余裕はなく。オンキヨーのコンポなんて、憧れでしたけどね。それが、令和の世に倒産。なんか、時代の終焉を感じますね。

【オンキヨー破産「高性能でも勝てない」時代の現実】東洋経済オンライン

 驚きのニュースが飛び込んできました。日本を代表するオーディオ機器メーカーのオンキヨーホームエンターテイメントが5月13日、大阪地方裁判所に自己破産を申請しました。音楽がCDではなくレコードだった当時からの音楽ファンであれば特に寂しいニュースと感じるのではないでしょうか。

 オンキヨーは戦後のオーディオブームを支えた名門の一角です。家電量販店の店頭などで「ONKYO」のブランドロゴを目にした中高年世代の人も少なくないでしょう。手ごろなミニコンポも販売していましたが、高級品のアンプやスピーカーでも有名でした。当時はよりよい音を聴こうと思ったら、アンプを高級品に変え、スピーカーを高級品に変え、それらをつなぐケーブルを高級品に変えることが大切な時代でした。

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、オンキヨーではないですが、レコードプレーヤーの写真です。

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■職人気質の功罪■

さてさて。日本人は、昔から職人気質で、どんどん極める傾向がありますね。結果、ごく一部の好事家にしかわからない世界に突入しちゃう。テレビの液晶画面に関しても、シャープとかどんどん高密度校正祭に向くのですが。一般の人はそこまで高性能は必要ないだろうって境界線を、踏み越えてしまう。結果、そこそこの性能でそこそこの値段の韓国製品に負けてしまう。何のことはない、アメ車が日本車に負けた理由を、今度は自分がやられているわけです。

例えば、パソコンの処理能力。100秒かかってた処理が10秒になる。コレは意味があります。10秒かかっていた処理が1秒になる。これも意味があります。1秒かかっていた処理が0.1秒になる。これもまぁ、ギリギリ意味があるでしょう。でも、0.1秒かかっていた処理が0.01秒になる。コレに意味がある人は、そうはいないでしょ。ところが、日本は0.001秒を目指しちゃう。職人気質としては否定しませんが、経営者としてはそれはダメでしょう。

■重要と供給と戦略■

高級路線も、全く否定しません。例えば、自動車メーカー。大衆車から始まったところも、新興国が自動車生産を始めれば、価格で勝負できないので、高級路線にシフトする。かつて、Macシェアの少なさを批判され、値段の高さを批判されたAppleのスティーブ・ジョブスCEOは、ポルシェやフェラーリはAppleよりシェアが少ないが、気にしていないと反論したように。これは日本酒も同じで、酔えればいいという大衆酒を作って、大手メーカーの桶買いに頼っていた小さな蔵元は潰れ、高級酒路線に舵を切ったところは生き残ったわけで。

でも、高級路線一本足になっちゃうと、客を無視した独りよがりになりませんか? けっきょく、需要と供給のバランスの上に、商売は成り立つわけで。Appleは、パソコン事業でマイクロソフト社の牙城は崩せないと見て、iPhoneという新製品で勝負して、スマートフォンの時代を作ったわけですが。高級路線と大衆路線、そのバランスをどうするか? 高級酒路線に走った日本酒や焼酎の蔵元も、同時に大衆酒の稼ぎ頭はちゃんと残して、ハイロー戦略を採用していたわけで。

■生き残り戦略はどこにあるか?■

記事にもありますが、BOSEやSONYはそれでも生き残っている訳で。特にSONYは、オールドファンからは批判ばかり食らっていますが、それでも生き残っている。よく言われますが、100円と500円の商品があって、500円の売上が悪いときには、値下げをしても利益率が下がるだけで悪手。むしろ、1000円の高級品をラインナップに加えると、500円の製品がより売れる、と。まぁ、大雑把な話ですが、でもコレはけっこう正鵠ではないかと。

とにかく安くしろ、なんてアホな分析をするアナリストやら、コストカットばかり進言するコンサルとか。そういうのの言い分を鵜呑みにして、知床おきでの観光船転覆なんかさせたら、僅かな利益なんて吹っ飛ぶわけですから。そういう意味でも、経営者というのは大局観とかだけでなく、自社の経営戦略とか、ちゃんと保つべきなんですよね。それはたぶん、「ここは赤字でも必要な赤字として守る」という、部分なんでしょうね。経営哲学というと、なにやら訳がわからなくなりますが。

どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

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