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トランプ大統領と原爆

◉アメリカのトランプ前大統領が、選挙演説の中で広島や長崎の原爆に言及したとして、話題になっています。文脈上はあくまでも、自分に対する訴追を避けるための具にしているのですが。それでも、アメリカの大統領経験者が原爆投下を悪という認識の上で語るのは、かなりインパクトがありますね。というか、このまま行けば大統領に返り咲く可能性も、高いので。

【トランプ氏 原爆投下を引き合いに 大統領の免責特権を主張】NHKニュース

アメリカのトランプ前大統領は、選挙演説のなかで、広島と長崎への原爆投下を決断した当時のトルーマン大統領について免責特権があったため実行できたとして原爆投下を引き合いに出して大統領には免責が認められるべきだとの持論を展開しました。
(中略)
このなかでトランプ氏は原爆投下を決断した当時のトルーマン大統領について「敵対勢力に起訴されるなら広島や長崎には、行わなかっただろう」と述べ、トルーマン大統領は免責特権があったため実行できたと主張しました。

その上で「あなたがたは大統領に免責特権を与えるべきだ」と述べ、原爆投下を引き合いに出して大統領には免責が認められるべきだとの持論を展開しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240121/k10014329221000.html

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、広島の原爆ドームです。

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■アメリカの公正■

本筋は、大統領の免責特権。まぁ、強引な論法ですが、一理あるわけです。もし、トルーマン大統領がアメリカ国民に対して、原爆投下に匹敵するようなことよりも、もっと低いレベルのことをやったとしても、糾弾されたでしょうね。リチャード・ニクソン大統領は、ウォーターゲート事件で失脚しましたが、あれ自体は民主党本部で起きた中央情報局(CIA)工作員による盗聴侵入事件で、人が死んだわけでもないんですが。大スキャンダルになり、大統領弾劾を避けるため、大統領辞任に追い込まれたわけで。

証拠もみ消しの工作とか、ニクソン大統領が要らんことをして、墓穴を掘った面も大きいですが。でも、アメリカのそういう部分は、やはり真っ当だと思います。極東軍事裁判でも、アメリカ人弁護士は「我々は、原爆を投下した者の名前を挙げることができる」と、言ってるわけです。別に日本人をかばおうとしたわけではなく。勝者による復讐のセレモニーであった場で、法の公正を主張する。そういうフェアネスは、やはりいざというときに信用に足るわけです。アメリカ政府はジャイアンでも。

原爆投下についてトランプ氏の、「決してよいことだとは言えないが、第2次世界大戦を終わらせた」というのは、まぁアメリカ人の一般的な感想に近いです(実際は原爆投下は対ソ連への駆け引きで不要だったという政治学者も多いです)。でも前大統領としては、けっこうスレスレな部分はあります。アメリカ大統領としては、原爆は肯定せざるを得ないことですから。少なくとも2045年、投下から100年経って、それが歴史的な事実となるまでは、迂闊なことは言えないという、政治的な立場がありますから。

■大統領選の行方■

そのトランプ氏、ライバルのフロリダ州知事ロン・デサンティス氏が、大統領選の共和党候補者指名争いから撤退、トランプ支持を表明。アメリカの大統領選挙は、州知事から出馬する人が多く、クリントン大統領はアーカンソー州知事から、息子ブッシュ大統領はテキサス州知事から、大統領になっていますからね。それ以外だと、下院議員からとか。これでトランプ大統領再選に、大きく前進です。共和党の大統領候補指名争いは、比較的穏健派のニッキー・ヘイリー元国連大使と、一騎打ちへ。

【米大統領選、共和党デサンティス氏が撤退 トランプ氏支持表明】ロイター

[シーブルック(米ニューハンプシャー州) 21日 ロイター] - 米共和党のデサンティス・フロリダ州知事は21日、11月の大統領選の共和党候補者指名争いから撤退し、トランプ前大統領を支持すると表明した。

デサンティス氏はX(旧ツイッター)に動画を投稿し、「共和有権者の大多数がドナルド・トランプにもう一度チャンスを与えたいと思っているのは明らかだ」と述べた。

https://jp.reuters.com/world/us/LTAH25OAJRPJ3M6ZZI5YZR2VEY-2024-01-21/

正直、4年前の大統領選挙での潔くない態度とか、批判も多いですし。自分も、あそこは潔く敗北を認め、捲土重来を期す方向にシフトすべきだったとは思いますが。ただ、個人的には、トランプ氏自身は好きなんですよね。これは例えば、プーチン大統領も、やってることはロクでもないんですが、それでもヒラリー・クリントン女史やバイデン大統領よりは、よほど好感が持てるんですよ。東欧の文化は、やはり日本の昔の武断的な文化に近い面もありますから。あれは乱世の奸雄ですからね。

これは、安倍晋三元総理もそうだったようで、オバマ大統領とはケミカルが合わない(日本語で言う虫が好かない)部分が有ったようで。だいたい、日本文化的なものを決定づけた江戸幕府って、武断政権ですから。要するに、ヤクザの論理に限りなく近いわけですから。力・金・人望、それらがドロドロと入り乱れていて。山口組を世界最大の組織にした田岡一雄三代目は、最高幹部間で行われた入れ札(選挙)で山広組組長・山本 広に2対4で敗れた山本健一若頭を後継者に指名したように。

■民主党側の策は■

現状では、民主党側には勢いもなく。高齢で認知症疑惑さえ有るバイデン大統領は出馬せず。このままだと、トランプ大統領の勢いに民主党候補は負けそう。切り札のケネディ家の孫世代も、まだ出馬は時期尚早。もし挽回するとしたら、裁判などの番外戦略に思えますが。ここで、妙な搦手を使うのは悪手だと思うのですが。ウクライナ侵攻にイスラエルの火種、パキスタンとイランも対立の中、モンロー主義の共和党政権誕生は、阻止したいでしょうから。なりふり構わず仕掛けてくる可能性も。

【トランプ氏、民事訴訟の裁判官と衝突 「ここは法廷だ」と注意も】朝日新聞

 トランプ米前大統領は6日、自らが被告になっている米ニューヨークの民事裁判で証言台に立った。米メディアによると、裁判官と何度も衝突し、「ここは政治集会ではなく、法廷だ」と裁判官から戒められる場面もあった。

 トランプ氏や関連企業は、長年にわたって所有不動産の価値を不当に高く評価し、金融機関から有利な条件で融資を受けていたとして、ニューヨーク州の司法長官から「詐欺を繰り返した」と訴えられている。裁判ではこれまで、トランプ氏の息子たちが証言するなどしてきた。

https://www.asahi.com/articles/ASRC71QTXRC6UHBI047.html

トランプ大統領再選となると、ウクライナは見捨てて、イスラエルに肩入れするとの見方はあります。ただ、自分はトランプ大統領は現実主義者の部分があるので、大統領になったらウクライナ問題は簡単には手を引かないと思います。根拠なき楽観論ですが。世界的には「ここでシンゾーが生きていてくれたら」って部分はあるでしょうけれど。自分はあんがい、ゼレンスキー大統領がその役割を果たすと思っていますし。さらに、英国のスナク首相が、懐に飛び込む気がするんですよね。

帝政ロシア以来の、権威主義国家解体の、千載一遇のチャンスですから。この夏の、F-16投入が鍵かと。もうちょいで勝てそうなら、トランプ新大統領も、押しに入るでしょうから。

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