食品メーカーに就職することのリスク
はじめに
昨今、食品メーカーがニュース番組を賑わせています。
落とした原料を使った、社員寮が劣悪な環境だった等。
これらは氷山の一角であり、背景には言葉にされてこなかったことがたくさんあると思っています。
本記事では、わたしが2社の老舗食品メーカーで数年間お仕事をしていて違和感を感じたリスク、またはこれから食品業界を目指す方へのささやかな助言を記載します。
これを読まれた方がわたしと同じ思いをせずに済みますように。
できるだけ客観的な視点で書くように努めますが、バイアスがかかっていることは否めません。それを差し引いてお読みいただけますと幸いです。
食品メーカーは精神疾患になるリスクが高い?
入社当時は同期が10人以上いましたが、しばらくすると1/3が心身の不調で休職し、その後退職しました。
なぜそれほど精神疾患にかかる方が多かったのか。それは、以下のことが要因として考えられます。
・全国転勤あり
→メーカー総合職はすなわち転勤族です。
馴染みのない土地で暮らしていくことにストレスが掛かっていたものと考えられます。
・ハラスメント
→地域に根ざした老舗メーカーには、時代に沿わない考え方をされている御仁が複数いらっしゃる場合があるのではないでしょうか。
実際、長く地域でお仕事をされてきて、昇進して東京に行った上司が、ハラスメントで懲戒されていました。
これもストレスの原因となるのは想像に難くありません。
・長時間労働
→食品メーカーの総合職のうち、特に製造に関わる部分(品質管理、製造技術など)は長時間労働を強いられることが多いのではないでしょうか。
わたしは、月40時間超の残業のほか、サービス残業を強いられていました。合計すると、60時間を超える月もあったかと思います。
長時間労働は、心身をすり減らします。
これらの要因を主として、人間関係などが複雑に絡み合って精神疾患を発症するのだとわたしは考えています。
就職の際には、条件面のみならず、これらのリスクが有ることを承知しておくのが肝要です。
余談ですが、工場の中が劣悪な職場環境であることも要因の一つと考えています。すべての工場でそうではないと思いますが、各種認証を取得している工場でも「こんなものなのか」と思ってしまいました。
食品メーカーに就職するリスク
・全国転勤あり
→記事執筆時点では食品メーカーは総合職採用をとっている場合が多いです。食品メーカーの多くは地方にあるため、先述のリスクとともに、単身赴任で子育てがままならない、介護が出来ずに施設に入らざるを得ず、費用がかさむ。そんなリスクも考えられます。
・寮住まい
→独身なら入居することになる寮も、必ずしもきれいとは限りません。わたしが2社目に就職したところは、カビがたくさん生えていました。
入社を考えている方は寮の状況を口コミサイトで確認しておくとよいでしょう。「独房」などとある場合は要注意です。
・コンプライアンス意識の欠如
→当時、ハラスメントが横行していました。
「まだ結婚しないのか?」「何歳のときに子供産んだ?」
といったセクハラもありました。ですが、当人たちには「ハラスメントをしている」という意識などないのです。わたしは、これを大人に教えるのは困難と結論しました。
・夜勤
→食品メーカーは3交代制をとっていることがあります。
総合職は工場関連の部署に配属されればこれに従うことになります。
また、賞味期限の短い製品をつくるメーカーの場合は毎日工場が動いていて休みにくい可能性があります。
・肉体労働
→工場では重いものを運んだり、機械に入れたりします。多くの作業者が腰を痛めていました。
・長時間労働
→先述のとおり、長時間労働がありました。
構造上、規模が小さいほど顕著かと思いますが、規模が大きいからといって残業が少ないわけではありません。
・低い給与
→大卒初任給が18万円台でした。食品業界は安定している代わりに業界として給与が低いというのが通説になっています。
勤務地が違うだけで給与は低いため、納得感は薄いのではないかと思われます。
向いている人
・古風な考えの人
・パワハラがやめられない人 地方でならまだパワハラできます。
・都会が苦手な人
・パチンコが好きな人 雑談はパチンコの話のみです。
・タバコが好きな人 仕事をしながらタバコが吸えます。
これまでに記載したものに耐え、順応できるかたが向いています。
向いていない人
・結婚や出産をしたいと考えている人 総合職は全国転勤ありのため、共働きが難しい。
・都会が好きな人
・プライバシーを確保したい人 地方に住むとプライバシーはありませんでした。〇〇に住む〇〇さん、と噂になります。
・噂話が苦手な人
・潔癖症の人 工場は汚いです。ゴキブリ出ます
・食品が好きな人 食品工場では食品を大量に廃棄します。かさばるものは踏みつけて体積を減らします。
・タバコがきらいな人 部署の重要な決定がタバコ休憩の間に行われることもしばしば。知らないと言うと「なんで聞いてないの?」「言わなかったっけ?」などと言われます。
入社を考えている方へのささやかな助言
・ハラスメントかも?と思ったら記録を残しましょう。スマホの録音機能を使うほか、サービス残業を強いられた場合は勤務記録を残しておきましょう。ボイスレコーダーを使用するのも手です。
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・ハラスメントに遭ってしまったら、社の構えるハラスメント相談窓口(あれば)に連絡するとともに、管轄する都道府県の労働基準監督署にも連絡しましょう。
・上記とともに労働相談を活用しましょう。ハラスメントかも?おかしいかも?といったことを相談できます。社会勉強にもなり、新卒の強い味方です。
・地方同族経営の企業は警戒しましょう。すべてが悪、とは思いませんが、紙面を賑わせているの企業にそうした企業が多いのもまた事実です。
さいごに
本記事では、わたしが2社の老舗食品メーカーで数年間お仕事をしていて感じたリスク、またはこれから食品業界を目指す方へのささやかな助言を記載しました。
それでも、もし、泣き寝入りすることになった場合。
これ以上の被害者を出さないように、週刊誌に連絡したり、SNSや口コミサイトに実情を記しておきましょう。
本記事も、やったもん勝ちの風潮に対するささやかなる抵抗です。
最後になりますが、これを読まれた方が、わたしと同じ苦しみを味わわずに済みますように。
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