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ビジネスは、数字が大きくて成果を簡単に出せるポイントを見つけなければはじまらない。

ビジネスの鉄則。
数字が大きくて、簡単に成果を出せるところから取り組むこと。

「いやいや、そんなの当たり前でしょ?」と思うかもしれませんが、気づいたら売上にはあまり大きなインパクトを与えない、重箱の隅をつつくような細かい改善ばかりをしていた、というのは経営あるあるだと思います。

原点に立ち返り、どうすれば売上があがるのか、どうすれば利益が出るのかという視点で今やるべきことを考えましょう。

今日のお話は、予算を組むときの参考になると思います!


「簡単に成果が出る」ところとは?

こんにちは!全国で日帰り温泉「おふろcafé」を展開しているONDOグループの宮本です。

僕はグループの副社長として、自社で運営している「おふろcafé」を見るのはもちろんのこと、全国各地の温浴施設やアウトドア施設などの経営コンサルティングも行っています。

そこでは「手を付けるべきところを間違っている」ケースをよく見ます。

何かビジネスに取り組む時には、簡単に成果を出せるところから取り組んでいくことが大事です。

「そんなことできたら苦労せんわ!」という話なわけですが、実はちゃんと分解すると、やるべきことがもっとくっきりと見えてきます。

「簡単に成果が出せる」のポイントは2つ。
【数字が大きい】ことと、【成果が出やすい】ことです。

■数字が大きい
・まだ取り組めてないけど、ターゲットの母数が大きい、金額高が大きい
・すで取り組んでいる中で、売上が大きい、出費が大きい

■成果が出やすい
・競合が手を出さない
・時勢や流行にのる

などです。

あなたのビジネスにおいて、数字が大きいところ、あるいは成果が出やすいところはどこでしょうか?

割高な水道光熱費の原因を特定し、カランを総取り換え

ここからは、僕が社長を務めている「(株)旅する温泉道場」で運営している「おふろcafé 湯守座」の実際の事例をもとにお話しします。

おふろcafé湯守座は築20年以上経った健康センターを引き継ぎ、「おふろcafé」としてリニューアル・再スタートした施設です。

そんな湯守座で僕が最初に取り組んだのは、水道光熱費の削減です。

ただでさえ温浴施設は、水道光熱費が支出に占める割合が非常に大きいです。さらに湯守座の水道光熱費は、年間4,000万円にもなっており、一般的な温浴施設に比べても割高でした。

年間の水道光熱費が4,000万円

原因を調べたところ、カラン(※洗い場の蛇口)の具合が悪く、使うごとにお湯が出るまで水を数秒間出し続けなければならないようになってました。そのため常連さんが、足で踏んで出しっぱなしにする光景もちらほら見られました。

そこで、カランを全て取り替えました。200万円の出費でしたが、この費用は1年と経たず回収することができました。

初めて知る大衆演劇、仕組みの理解に時間をかける

次に、目を付けたのが大衆演劇です。「おふろcafé 湯守座」は、現代の芝居小屋をコンセプトに設計されており、店内に大衆演劇が観覧できる舞台があります。

月替わりで全国から旅芝居一座を招き、お芝居や舞踏・歌謡ショーなどを楽しんでいただいています。

この旅芝居一座を受け入れ、上演するためには、かなりお金がかかります。ギャラはもちろん、交通費や荷揚げ、まかない、宿泊費……など、年間で数千万円になる出費です。

ですが、旅芝居一座も全国をぐるぐる月替わりで巡行しているので、我々の施設だけの都合で呼ぶわけにもいきません。またそういう事情なので、座長たちとも、年に一度会うか会わないかの関係性になり、なかなか交流する機会もありません。

ですので、劇団が上演している場所に出かけてご挨拶して懇親を深めたり、マネジメント会社との関係づくりなどに時間をかけました。

湯守座では、江戸時代から親しまれてきた大衆演劇を楽しめます!

予算をつくるときの順番

予算をつくるときには、この「数字が大きくて成果が出やすいところ」に手をつけるような配分を考えなければいけません。

そこで、次のような順番で行います。

①現状の事業の数字やマーケットを深く理解する。
②その中から、成果を簡単に出せそうなところを見つける。
③成果を簡単に出せそうなところに響くアクションを考える。
④アクションを実施すればどれぐらいの効果が出るか考える
⑤数字に落とし込む
⑥PL(損益計算書)を作る
⑦PLを達成するためのチームづくりと人事を考える
⑧チームルールやマネジメントを作る

成果が簡単に出やすそうなところに、お金と人を集中させて、売上を上げたり、費用を下げたりするのが事業です。

事業やマーケットの状況、またそれを踏まえて簡単に成果を出せそうなポイントというのは、会社や事業によっても様々です。

ですので、他社のやり方を真似ようとするときには、その前提となる①②の条件が合っているかを確認しなければなりません。前提が違うものを真似ても、効果は期待できないです。

劇団に湯守座を選んでもらうためにやっていること。

前提が違うものを真似ても意味がない、という話をしましたが、逆に言えば、事業が違っていたとしても、①②の構造が似ていれば、真似することができます。

実際に湯守座は、グループ会社のヒートベアーズ(埼玉に拠点を置く、プロ野球球団)の「選手に次球団を選んでもらう」「選手のモチベーションを上げる」という考え方を真似しています。

選手にチームを選んでもらうには?

野球チームを参考に、僕が考えた「どうすれば劇団に湯守座に行きたいと思ってもらえるか」、「劇団のモチベーションを上げられるか」の具体的なアクションは次のようなものです。

・劇団が他劇場で公演している時に顔を出す、懇親する
・楽屋、食事、部屋などグレードを上げる
・you tubeでコラボする
・マネジメント会社と意見交換する
・オリジナルグッズを販売する

今後はさらに、企業協賛の広告を導入したり、劇場の改修(野球で言うスタジアム)も考えています。

前提の条件の整理ができていない状態では、全員が疲弊する

予算のつくり方の順番を、もう一度おさらいしておきます。

①現状の事業の数字やマーケットを深く理解する。
②その中から、成果を簡単に出せそうなところを見つける。
③成果を簡単に出せそうなところに響くアクションを考える。
④アクションを実施すればどれぐらいの効果が出るか考える
⑤数字に落とし込む
⑥PL(損益計算書)を作る
⑦PLを達成するためのチームづくりと人事を考える
⑧チームルールやマネジメントを作る

こういう順番で考えることで、⑥のフェーズにたどり着いたときには、大体どういうメンバーで何を中心的に取り組めばいいのかが自ずと決まってきて、ボヤッとではありますがやるべきことが見えてきます。

これまでいろいろな事業や会社に携わってきましたが、そもそも①②の現状分析や理解ができていないことがほとんどです。特に、人事やマネジメントで相談されるときは、顕著です。

前提の条件の整理ができていない状態では、曖昧な施策や効果の薄いアクションを、なんとかマネジメントで乗り越えようとすることになり、全員が疲弊します。

また、イノベーション症候群にも陥ってしまいがちです。

イノベーションとは、多くの人が潜在的に期待していることや、金額が大きいことに対して、潜在的な悩みや期待を解決することです。

そもそも何に対してイノベーションを起こすかを考えるためには、①②のフェーズを考え抜かなくてはなりません。その先にある、大きな売上に向かってチャレンジするのが本来のイノベーションです。

ですが多くの場合、なんとなく「新しいことをする」ことが「イノベーション」であり「チャレンジ」であり「正しい」という論理で動きがちです。

「その先に売上があるのかどうか」の①②の条件を無視して、動いてしまうと、これも疲弊の原因になります。

イノベーション症候群は、以前の社内報でも取り上げているので、ぜひそちらも読んでください。

まずは自社、自事業の立ち位置を深く理解しよう

予算が作れない、とるべきアクションがわからない、マネジメントが難しい……。

そんな悩みを抱えているのであれば、おそらく前提条件の整理をしないまま、数字に落とし込んだり、PLを作ったりしようとしているはずです。

まず、やるべきは事業の数字やマーケットを深く理解すること。そして、その中から、成果を簡単に出せそうなことを見つけること。人が多く集まっているところに体験に行ったり、競合のお店を見に行ったりすることで、自事業の立ち位置を理解する時間をとることをお勧めします。

さて、こういうマーケットの考え方を理解するには、森岡毅さんのこの本がおススメです。

有名なのでご存知の方も多いと思いますが、まだ読まれたことがない人はこの機会にぜひ読んでみてください。

このnoteは、ONDOグループ社内に向けて僕が配信しているコラムを基にしています。経営者として考えていることや、旬の情報、ビジネスのノウハウなどをシェアしています。
同じハコモノ事業者さんや、サービス業の方々にとってもお役に立てるものがあるのではないかと思い、内容を少しだけ編集して公開しています。

宮本昌樹@ONDOグループ CHRO

1986年生まれ、和歌山県出身。27才の時に地域活性を目指して株式会社温泉道場入社。支配人を2年間経験したあと、店舗リニューアル開発・コーポレートブランディング、フランチャイズ事業などを経て、HR部門に注力。2019年より、ONDOグループ1人目の社長として、三重県の株式会社旅する温泉道場の社長を兼任している。

Twitter:https://twitter.com/masakimiy


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