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[詩]モルフォ蝶

光を弾くその羽根に
僕は思わず手を伸ばした
降り注ぐ鱗粉はどうして?
藍に染まる愛を僕は感じた
暁に消えて逝くその姿を探しに闇へ

人匙の戯曲に描かれた文字をなぞってみた
それは可惜夜。揺れ動く情。錯覚させる場。
ラプソドスに尋ねたあなたはどうして説くのか
これは友人。深く語り合う。共に寄り添い。

「モルフォのように単純なものではなくて淡いメタファー。」
シミリーに例えた彼はまた旅に出ることを選んだ
真意を知るのは?

誰かを思うこの想いを
気球に乗せて飛ばしてみた
「伝えるだけで幸せだ。」と
無知な少年は錯覚していた
「そして僕は初めて片想いの痛みを知った。」
世の果てに届く恋文は空と海の果てに消える

夜通し移る生きる若さが突き動かしていた
それは蛇足でくだらない事象押されるべき衝
我に酔った自我が青く芽生えただけであるのなら
オケラ者だと笑われるでしょう物語を抄

モルフォのように難訓なモノである激情なゼファー
アイロニーを重ねられてもそれを理解できない僕だった
教えて欲しいな

進むことも許されないと
戻ることでもない想いが
伝えたことを否定していた
無知な少年は嘆き苦しんだ
そして僕は初めて軋む胸の痛みを知った
竜胆と桔梗の狭間で朽ちてゆくこの想い

誰かを思うこの想いを
気球に乗せて飛ばしてみた
「伝えるだけで幸せだ。」と
無知な少年は錯覚していた
「そして僕は初めて片想いの痛みを知った。」
世の果てに届く恋文は空と海の果てに消える

鎖ざした心は蛹のよう
いつかまた始められるように
想いを馳ぜられるようにと
翼を広げて舞う姿を夢み
冷たい冬を超え陽春と舞うモルフォ蝶に

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