【多忙とどう向き合うか】ルワンダで身についたゆる〜い考え方
ほっと一息つける週末。待っていたよ土曜日。
ちょうど1ヶ月前の今日帰国したのだと、さっき気づいた。
帰国後はあまりに怒涛な日々だったため、もっと日本で過ごしていた感じがして、まだ1ヶ月しか経っていないということに驚く。
現職組のみなさん、いかがお過ごしですか。
私はというとですね、一言で言います。
クレイジーです。
日本ってばクレイジーです。
JICA経験の現職教員が、帰国後大変なポジションに充てられるあるある、何なのだろう。
現職組の4月の奮闘ストーリーを見て、
「分っかるぅぅ」と、一人にやにやしているのは私です。
まあでも、仕方ないとも思う。やりたいことやらせてもらったのだから。
現状について、思うことはたくさんある。
日本の働き方が、世界的に見て「異常」と言われるのも理解できるし、その通りだと思う。
ただ、忙しいアピールするの、あんまり好きじゃないんだナ。
だって、それって計画性ないだけじゃない?と思ってしまうから。
でもね、それでも声を大にして言おう。
忙しい!!!
喚かないとやってられないときもある。
喚きすぎて(?)、向かいの席の同僚の先生に、「ちょっと手伝わせてください。僕ハサミでチョキチョキするの好きなんですよ。気持ちよく帰らせてくださいよ。」と言わせてしまったこともある。10コも上の方だ。多分。
申し訳ない。そんなつもりはなく、ただ喚きたかっただけなのだ。発散したかっただけなのだ。座ったままうずくまり、持っていたハサミで事務机の引き出しをカンカンたたくほど笑った。(やめなさい)
いい人ばかりの職場で救われる。
昨日チラッと勤務時数を見たら、まだ4月の3週目だというのに、残業は50時間を超えていた。なんてこと。こんなのだめ。
以前は早く退勤するキャラで、働き方改革推進員に任命されたのになあ。(なにそれ)
それに、ルワンダの学校では、勤務時間を超えるケースなんて、
①下校の時間帯に大雨が降って帰れないので仕方なく職員室で雨宿りする
②急にサッカーの試合の引率(観戦)が入り、試合が長引いた挙句徒歩で家に帰る
この2つくらいしか思い出せない。
そのほかは、子どもと同じ時間に来て、子どもと同じ時間に帰る。
今は…。
なんか悲しくなってきたので詳しく書くのはやめるが、とりあえず、めっちゃ働いている。毎日、その日を無事に終えるだけで精一杯。
4月2日に届いた新しいミシンも、まだ開封すらしていない。
忙しい。それは間違いない事実。
「やり方を工夫する」とか、「要領よく」とか、「やるべきことを厳選して」とか、そんな問題ではない。だって、そもそもの仕事量がおかしいんだってばよ。
ただ、「忙しい」「大変だ」そんなことばかり言っている人ではありたくない。愚痴ばかり言っている人にも。
幸い、”無理矢理”そう考えようとしなくても、ルワンダ生活のおかげで、自然とゆる〜い考え方が身についた。
一つ目。
まず、この多忙さも、クレイジーな仕事量も、日本という国の「異文化体験」だと思える。
この1年間を通して、「日本の働き方を体験している」と。
「させてもらっている」とでも言っておこう。
また海外の先生と話す機会があれば、きっといいネタになる。
まだルワンダの学校に慣れていないとき、9時間目に(冷静に、9時間目て何)、先生たちが外にイスを持ち出して集まっていたので、
「何しているの?今何の時間なの?」
と聞いた。ある一人の先生がこう答えた。
「ん?みんなで新鮮な空気を吸っているんだよ」
思わず笑ったけど、なんて素敵な世界なんだと思った。
朝始まったら、息継ぎすらする余裕がないまま放課後になる毎日を繰り返す人たち。
その一方で、風に揺れる木々を眺めながら、「too much sunshine(眩しそうな顔)」とか言って、ゆっくり、まったり、新鮮な空気を吸っている人たちがいる。
同じ職でもこんなに違う。(もちろん、子どもにつく学力には大きな差があるが)
異文化を知る、世界を知るって大事なことだ。
広い視野で自分の状況を見つめ直すことも。
それぞれに良さがあるし、課題もある。
もちろん、日本にもいいところがたくさんある。他の国の人に、日本の教育はすごいと誉めてもらうことが多かったのも事実だ。
この多忙さも、大変さも、全て自分の経験として語れるものになるだろう。
二つ目
「あのカオスを経験したのだから、怖いものは何もない」
「幼児や低学年の子どもは言葉が通じない」「宇宙人」「動物園」
そういう話を聞く。
いやいや、言葉は通じます。
もし通じないのなら、それは大人の言い方の問題です。と言ってやりたい。
そして、日本語が通じるって、サイコウです。
英語が通じるだけでもサイコウって思ってたのに(別に英語が得意なわけではない)、日本語で指導できる、日本語で自分の思いを語れるって、ほんとにサイコウ。
ルワンダの活動先の学校で授業を担当していた、まだ英語が分からない低学年キッズたち。
英語がダメなら現地語でと、同僚に習った現地語で指示をしても、ムズング(肌の白い人)が現地語を話すのがおもしろくて逆に大盛り上がり。
教室にムズングがいるだけでワーキャー。
2〜3人が立ち歩くとか、そういうレベルではない。クラスの8割が言うことを聞かない。
立ち歩く→遊び出す→ケンカする→泣き出す
THE・CHAOS⭐︎
もちろん授業など成立しない。
情けないが、現地の先生がいないと、彼らを懲らしめる木の棒がないと、制御不能なのだ。
それに比べて、あらどうでしょう。
え、私が前で話をしていても、肌や髪を触りにこない…?
事前に約束しただけで整列できるの…?
音楽を流してもどんどん前に押し寄せて来ない…?
授業中に、舌がカラフルになる謎の粉を食べていない…?
それだけで、もう花丸なんです。
「素晴らしいです!」
と少しばかり大袈裟に言いながら、ほんとに心から思ってる。素晴らしいのです。
どんなことも、あのカオスさに比べたら小さなことのように思える。
ありがとう、私を逞しくしてくれた、ピースアカデミーの1.2年生よ。
三つ目。
これは、考え方の話ではない。
ルワンダ生活が私にくれたもの。
それは、体力だ。
ルワンダは「千の丘の国」と呼ばれている。アフリカの赤道付近の国というと暑いイメージがあるが、ルワンダは
「アフリカの軽井沢」
「1年中ゴールデンウィークのよう」
と表現されるほど快適な気候だ。
私が住んでいた地域で、標高1800メートルくらいだったと思う。確か。
そこで約1年7ヶ月暮らしていたからか、たとえ朝7時半から21時まで働いても、休み時間に子どもたちを追いかけ回しても、あまり体が疲れていないのだ。
以前は、帰宅したらクタクタで、お風呂に行く前に寝てしまっていたこともあった。
今はというと、それほど肉体的な疲労を感じておらず、毎日帰宅したら必ず流れている阪神タイガースの試合を見守っている。
テレビは見事に阪神の試合しか見ていないので、最近流行りのドラマやバラエティ、芸能人などは何も知らない。私にチャンネルの選択権はない。そして、特に見たい番組などはないからそれで構わない。
昨日は森下と大山のホームランを見届けた。
何の自慢にもならないが、阪神の選手10人は言えるだろう。余談がすぎた。
アフリカの高地での生活は、思いがけず私に大きなものを与えてくれた。
この効力はいつまで続くのだろうか。
そもそも、これがルワンダでの生活のおかげなのかは謎である。
そういうわけで、新年度が本格的に始まって3週間。忙しくて目が回る毎日だが、ルワンダのおかげで心は健康に保てそうだ。
「ほんま、体壊さんといてな」と1日2回くらい言われるが、それほどまでに気落ちしてはいない。
そのうち、平日も自分の時間を確保していきたい。
最後に、復帰して感じたこと。
それは、やはりこの仕事でしか味わえないやりがいや喜びがあるということ。
クスッと笑ってしまうようなかわいい発言に癒されるし、嬉しい気持ちになることもたくさんある。
「てんてーい」と言ってくっついていた子たちが大きく成長し、帰国後再来した私を見つけ、「せんせーい」と叫びながら駆け寄ってきてくれた。(ろうかを走ってはいけません)
卒業生がわざわざ遊びに来てくれて、ピンポンを押してご指名してくれる。(背伸びすぎ、顔変わりすぎて驚いています)
中学校の前を通ると、名前を呼んで窓から手を振ってくれる。(ちゃんと休み時間だっただろうね?)
今までの出会い、繋がりや思い出は、自分にとって財産です。
ありがとうね。
わたしゃがんばるよ。
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