Fuzjko Hemming
二年前、オペラシティでフジコ・ヘミングさんの
ソロコンサートを鑑賞した。
開演して1、2曲弾き終わると、
1階の扉から、1人の女性が遅れて入ってきた。
フジコさんはピアノの前に座り、
"今からでも演奏を楽しんで"、と言葉をかけ、
女性が席につくまで待ち、暫く経つと、再び
弾き始めた。優しい、軽やかな音色で。
感動した。
"遅れて来ると入る事が出来ない所もあるけれど、
私は遅く来た人もその時から演奏を楽しんで
欲しい。観客が唯一人でも、私はその人の為に
心を込めて弾きます。"
そう語っていたのを知っていたから。
自分が困難な中にあっても、優しさや思いやりを
忘れず、脚光を浴びるようになってからも、
変わらなかった。
フジコさんのピアノも絵も好きだけど、
私が一番惹かれたのは、その人柄だった。
年齢を重ねても、少女の様な、純粋な心を
持っている人だったのだと思う。
私の本棚には一冊、フジコさんの本がある。
"永遠の今"という本だ。家にあるのはこれだけ
だけど、他の本もまた読み返したい。
フジコさん、ありがとう。
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