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導き

本が好きだ。
でもまさか、自分が読書が好きなんて
言うようになるとは、昔はこれっぽっちも
思わなかった。

私が本を読み始めたのは、20歳になる年。
それまではゲーム一筋で、朝から晩までひたすら
テレビの前でコントローラーを動かしていた。

ある時、ゲームのやり過ぎで体調を崩した。
熱が下がらず、目の酷使で、目を開ける事も
出来ない。1週間、布団の中で寝て過ごした。
暫くして平熱になり体調が戻っても、目の疲労は
残ったままで、とてもゲームをする気にはならない。当時、私は不登校のまま進学も就職もせず
ニートだった上、何もする気はなかったから、
時間を持て余した。それまで8年間、一日中
ゲームに没頭していたわけだから。

その時、本棚に沖麻実也さんの画集があって、
その中に小説が載っていた。読書なんて嫌い
だったし、興味もなかった。一生、本とは縁が
ないと思っていた。どうしようもなかった。
それしかなかったから、仕方なく手をのばした。
そして、私の人生は、大きく動き始める。

読み始めると、意外と面白くて、別な話も
読みたくなった。小説の著者は、沢山本を出して
いて、画集に載っていた小説はデルフィニア戦記
というシリーズで、全部で18巻ある事を知った。
このシリーズを読む為に、私は図書館に通い始め、毎日外に出るようになる。それまでは月に一度
くらいしか外出なんてしなかったのに。

今、当時を振り返って思う。
私が読書をするようになる事は、最初から
決められていたんだ。あの時私が本を手にする
ように、彼らは私を導いた。私が、今この私に
なる為に。

ガイド、天使。どんな呼び方をしてもいいけれど、
そういう存在はいる。信じる信じない、感じる
感じないに関わらず、誰にでもそういう存在が
いて、共に人生を歩んでいる。

私達は、独りではない。
計り知れない多くの存在達が、私達を助け、
見守っている。

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