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原神ライクはGOD EATERを生み出せるか

 原神はソーシャルゲームの常識を変えた。変えたという表現では生易しいかもしれない。革命、革新を起こしたといっても過言ではない。

 原神とそれまでのソシャゲの主な違いを簡単に列挙すると
・オープンワールド
・美麗なグラフィック
・スタミナがなくとも遊べる部分が多い
・元素反応
あたりになるだろうか。

 ソシャゲにおいてオープンワールドというシステムを採用したのはかなり挑戦的な試みであったと思う。原神以前にらオープンワールドを採用したソシャゲは恐らくなかった。

 原神以前のオープンワールドのゲームとは買い切りのコンシューマーしかなかったはずだ。

 そもそもソシャゲという媒体でオープンワールドができるのか? という根本的な疑問を原神サービス開始前に私は抱えていた。原神の今の人気っぷりを見る限り、その疑問は杞憂だった。

 しかし、フォンテーヌやスメールに行った後にモンドに戻ると、やはり少し「物足りなさ」を感じてしまう。

 スメールシティやフォンテーヌ邸に比べ、モンド城は小さく、その構造に高低差があまりない。エレベーターもない、アルベーターしかない。他の町も清泉町とドラゴンスパインの麓くらいしかない。

 あとアカツキワイナリー、あれ町っていうよりかは人は結構あるけど、見たまんまディルックの実家やし、まあ好きなんすけどね(立本)。

 これは残酷なことを言ってしまうと、当時の開発の技術力の限界だろう。しかし、モンドかあってこそのスメール、フォンテーヌなのだ。

 七国後発の国の風景、背景、建築物、町の構造の素晴らしさや完成度とは、まさに開発陣の試行錯誤と悪戦苦闘の歴史でもある。

 美麗なグラフィックについては、語るまでもなく見た方が早いだろう。最近ではフォンテーヌの水中には特に感動した。特に豪華な宝箱とってプクプク獣と一緒に泳ぐあたりとか。

 原神はスタミナがなくとも、ゲームとしてやれることが多くある。メインストーリーである魔神任務、キャラクターごとのエピソードを描いた伝説任務、デートイベント(早く 裟羅とデートさせろ)、それぞれの地域で起きた何らかの出来事に首を突っ込む世界任務。

 既存のソシャゲであれば、世界任務は存在すらなく、魔神任務、伝説任務、デートイベの進行にはスタミナが必須であったはずだ。これも原神の革命的な部分だ。ソシャゲでありながらそのゲーム性はやはりコンシューマーに近い。

 そして元素反応。炎氷雷といったファンタジー作品ではメジャーな属性を、3Dでの先頭に上手く落とし込んだシステムは、他の3Dアクションゲームでは他に類を見ない。

 炎と雷という攻撃的なイメージのある二つの元素を掛け合わせて起こる過負荷よりも、草と雷という一見強くなさそうな組み合わせで起こる激化の方が強い。これも面白いところ。

 特にエンドコンテンツの深境螺旋を含む戦闘系のコンテンツにおいて、どの元素反応を軸にした編成を組むのか、できた編成をどういうローテーションで動かすのか、それに頭を悩ませ、実戦で想像通りの結果を出した時は、脳が成功の喜びに刺激され震える。
 
 だが、SNSを見る限り原神の新規呼び込みを担っている主な要素はやはりキャラクターだろう。キャラクターデザインとキャラクターの人物像、どちらにもいえる。

 オープンワールド、美麗グラフィック、元素反応を活かした戦闘に惹かれて原神を始めた人間は恐らく少数派だろう。

 そもそも原神はガチャとスタミナのあるソシャゲである。ガチャとはプレイヤーにキャラを引かせて金を儲ける集金装置である。それ故にキャラクターを全面的に押し出した商売(最近だと召使)は商業的は正しい。
 
 とにかく原神は売れた売れた。原神の知名度とともにmihoyoの名前も売れた。スタレのスタートダッシュも原神のおかげだ。

 そしてソーシャルゲーム業界の潮流すら変えた。今や原神の流行により、「アニメ調の3Dグラフィック」が業界の主流になってしまった。このような印象を一人の消費者として持っている。

 そして、アニメ調の3Dグラフィックにオープンワールドシステムを付け加えた、いわゆる「原神ライク」とも呼べるゲームがここ最近急増してきたと思う。

 Tower of Fantasy(幻塔)、鳴潮、アークナイツ :エンドフィールド、アズールプロミリア、などなど。原神はもはや追われる立場なのだ。

 個人的には鳴潮に頑張ってほしい。SNSの広告らかなり原神に対して挑戦的な内容になっている(広告内容意訳・原神パイセンその崖の登り方ダサくないすかwwウチは崖走って登れますwwうっすww2024年5月23日リリースっすwwナタより先っすww対よろっすww)

 パリィやジャスト回避など、あとはキャラクター1人ができるアクションが多いなど、原神と比べてアクションに力を入れてるのが見て取れる。3Dアクションゲームの俺の実家がDevil May Cry 4 なのでマジで頑張ってほしい。

 爆発的に流行ったゲームが業界の主流を作り、それに似通ったゲームが次々と出てくる。この光景には約10年ほど前に見たことがある。

 モンスターハンターポータブル 2nd GはPSPハード本体と共に、とにかく売れた。みんなでPSPを持ち寄ってモンハンをやる。これがあの頃の流行りのゲームスタイルだった。

 あの頃の特有の光景やゲームへの熱に思い出深い方は多いだろう。今ではすっかりスマホとソシャゲに取って代わられてしまった。

 2ndGがゲーム業界の主流を作り、それに追従して生まれたのが「モンハンライク」と呼ばれるゲーム群だ。原神でもそうだが、流行りのゲームに追従して類似性の高いゲームが次々と生まれるのはゲーム業界の性だ。

 GOD EATER、討鬼伝、ロードオブアポカリプス、ソウルサクリファイス、ラグナロクオデッセイ、フリーダムウォーズ、ガンダムブレイカー、などが有名なモンハンライクだ。

 これらはPSP、もしくはPSVitaのソフトとして発売され、どれも携帯機を持ち寄っての協力プレイを売りとしていた。生瀬勝久が共闘先生という役を演じたCMもあった。めっちゃオモろかった。

 上記のゲーム群の中で一番最初に発売され、モンハンライクとして先陣を切ったのがGOD EATERである。発売時期としては2nd Gと3rdの間である

 2008年3月27日 モンハン2ndG発売
 2010年2月4日 GE発売
 2010年10月28日 GEB発売
 2010年12月1日 モンハン3rd発売

 GEBはGOD EATER BURST、GOD EATERの完全版の作品でGOD EATERの不満点をほとんど解消した作品。完全版だけど無印購入者向けに値段が下がったアペンド版も用意してくれるなど、当時のGEチームはとにかくユーザーに優しかった。

 GOD EATERには特に思い入れが深い。めちゃくちゃプレイした。今モンハンやるかGEやるか言われたら絶対GE。

 GOD EATERはモンハンの良い部分を取り入れつつ、面白くない部分が全部オミットされていた。ライクゲーにおける理想形と言っていい。

 回復薬を飲んだ後のクソみたいなポーズがない。ストーリーも無印編バースト編共に完成度が高い、特にバースト編終盤のゲーム体験をストーリーに組み込んでくる演出には感動した覚えがある。

 一方この頃のモンハンはクエストの進行度に応じてNPCの会話内容が変わるくらいの存在感が薄く、限りなく虚無に近い、何の盛り上がりもない、辛うじてストーリーと呼べるストーリーらしきものがあった。

 キャラクターデザインやグラフィックもモンハンとは全く違うベクトルで、スタイリッシュかつシャープ、とにかくおしゃれでカッコいい印象が強い。女キャラは可愛いし、男キャラはカッコいい。キャラクターごとの人気も高い。

超人気キャラのアリサ
主人公がほとんど喋らんもんだから
実質的な主人公との呼び声が高いソーマ

 そんな活かしたデザインのキャラたちがミッション(クエストとか依頼)にも同行してくれる。これはとても心強かったし、キャラクターに愛着が湧く。

 一方モンハンのキャラデザはゴリラフェイス一本。NPCも含めて3Dモデルに関しても特に可愛いとかカッコいいとかの感想を抱けるようなものではない。あと友達いないとソロプレイオンリー。

 モンハンは武器防具のデザインは良く、女性用防具のデザインも扇状的だけど肝心の顔がね……みたいな状況だった。

GOD EATER BURSTの男主人公のデフォルト顔
2ndGの男のデフォルト顔
グラの粗さはおいといて今の時代どっちの方向性
がユーザー受けするかってコトよ

 登場するモンスターの総称であるアラガミ、それらを狩るための武器である神機、世界観もよく練られていて深い没入感を与えてくれる。

 特にアラガミのデザインは非常に作り込まれている。PSPのグラフィックではとても再現できないようなディティールまである。

 アラガミはその名の通り、神話や伝承に出てくる神々の名前などが用いられる。これがデザインと合わさって非常に深く心に突き刺さってくる。

 GOD EATER BURSTのパッケージモンスターを
務めていらっしゃるハンニバルさん
左手の籠手のディティールがすごいんだぜ

 まさに神話の神のような神々しさ、もしくは人を喰らう化物としての禍々しさ、あるいはその両方を感じ取れるその造形は間違いなくGOD EATERの人気を担う一翼だった。

 一方モンハンの設定とか世界観はそれほど作り込まれておらず、なんかもう序盤の大型モンスからパッケージのモンスターからラスボスに至るまでデカめの害獣という認識のままだった。

 マップもモンハンと違いエリアごとの区切りがなくシームレス。モンハンのようなフィールド素材収集やポッケ農場とかの面倒臭いファーム要素はなく、ミッションは全て討伐のみの硬派なスタイル。

 ミッションに行ってからアラガミを討伐して帰るまでの1サイクルが短く、ゲームとしとのテンポがとても良い。

 一方モンハンはクエスト受けてから討伐対象のモンスターを探したり、ペイントボール投げたり、砥石で武器研いだりなどをしなければならず、ゲームとしてのテンポが遅い。

 今のワールドやらライズやらに慣れたプレイヤーが10年くらい前のモンハンやったら絶対に確実に100%キツいと思う。楽しむ余地がある不便さとかじゃなくてシンプルにクソつまんない苦行が多い。

 むしろ最近モンハンのゲーム性はハイスピードで討伐対象を探しに行ってサクッと狩る、ストーリーもあったり可愛いキャラもいたりで、GOD EATERに寄ってる部分がある。絶対ある。ライクゲーの本家が後発作品の後追いってシンプルにダサくないすか?

 要するにGOD EATERは当時のモンハンと比べてゲームとしてかなり進化を遂げていた。

 何がどう違うかを色々書いたが、モンハンからGOD EATERへの進化の過程の中で最も革新的だった要素はやはりそのゲームとしてのビジュアル面だ。

 恐らく日本で初めてアニメ調の3Dグラフィックを用いて作られたゲームはGOD EATERだろう。

 GEの初代発売はもう10年以上も前になるがそのキャラデザは今の時代のゲームにおいてもなにも見劣りはしないと思う。

 むしろ今、アニメ調3Dグラフィックで作られた崩壊3rd、原神や崩壊スターレイルが流行っている状況を考えれば、GOD EATERはまさにビジュアル面おいては時代を先取りしていたといえる。

 キャラクターデザイン担当の人いわく元々アニメっぽいビジュアルを目指していたわけではなく、クールでシャープな雰囲気を追求した結果、アニメっぽいビジュアルになった。すごい感性だ。

 モンハンがシリーズの歴史に胡座をかいてゴリラで害獣をひたすら討伐するだけのゲームを出した傍らで、GOD EATERはビジュアル、世界観、ストーリー、色々な面で進化をとげた完成度の高いゲームを出してくださった。
 
 んでこの記事のタイトル。原神ライクはGOD EATERを生み出せるか。

 要するに原神ライクのゲーム群の中からモンハンからGOD EATERのように進化したゲームが出てくるか。ということである。

 まあ、余計なお世話と言えばお世話なんですけどね、当時のモンハン2ndG全盛からGOD EATERのビジュアル世界観に惹かれて買ってプレイした感動を味わった人間としてはどうしても期待したい流れなんですよね、今の原神ライクの流れ。

 俺無印の頃からGOD EATERやっていましたからね。だからBURSTの進化の感動もありましたよ。

 ビジュアル面に関してはもうアニメ調3Dから変わることがなく、革新的な要素は恐らく望めない。

 けど、戦闘面もしくは探索面における何か原神にはない確信的な要素が原神ライクの中から生まれてほしいな〜。

 という一個人の10年以上前のゲーム体験の感傷から生まれた一方的な願望をひたすら綴ったのがこの記事の趣旨でした。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。
 

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