人的資本は経年劣化することを知っておいた方がよい(特に専門知識のないホワイトカラーのサラリーマン)
人的資本とは、「人」を知識やスキルなどの付加価値を生み出す資本とみなす考え方だ。代替不可能な価値や利益をもたらす資本とされ、経済産業省は人的資本経営を提唱している。
そして人的資本向上のために必要な学びなおしのことを指す『リスキリング』と言うワードがここ数年トレンドになっている。
では、この人的資本はリスキリングによって常にバリューアップされ続けていくものなのだろうか。
これは雇用形態と年齢によるが、ことホワイトカラーのサラリーマンにとっては多くの場合理想と現実にギャップがある。
日本のサラリーマンの多くは「メンバーシップ型雇用」で、職務や勤務地などを限定せず雇用契約を結んでおり、総合職として雇用されると転勤や異動、ジョブローテーションを繰り返すことになる。
そしてその中で役職を上げていき、運と実力を兼ね備えた一部の人たちが役員まで上り詰めるシステムだ。
気力、体力、知力が充実し、実務で仕事と知識をブラッシュUPしながら役職をあげていく20代~30代であればリスキリングがはまるケースは多い。
一方、役員になれなかった40代後半以降の役職定年したサラリーマンは、度重なる異動とジョブローテーションにより、特定のスキルを深く身に着けることは難しくなっていく。
さらに中途半端に部長、課長といったポジションに就いてマネジメントに注力していたりすると、実務の基本的なスキルさえ怪しくなっている。
これをリスキリングでバリューアップしよう!と言うのは相当に難易度が高い。自分自身も実感している。
なぜならリスキリングしようにも記憶力や理解力、柔軟な発想力などが衰えているからだ。
さらに先の見えた残りのサラリーマン人生で頑張ろうとする気力や仕学び直しの時間に割く体力も低下していることが多い。
このような中高年のおじさん(おじさんだけではないが、何故かおじさんにフォーカスされることが多い)が「働かないおじさん」として叩かれている。
残念だが、このように職人や芸術家など一部の人を除いて、多くのサラリーマンは人や職種によって違いはあれど人的資本は年齢とともに劣化する。
人的資本が劣化すれば、得られるサラリーは減っていく(減らされる)ので、50代~60代で徐々に収入が減っていく。
本業のサラリーだけでは心細いだろうから、副業や投資に関心を持つ人々が増えている一因になっている気がする。
20代、30代のうちはなかなか想像がつかないかもしれないが、君も将来の「働かない(働けない)おじさん」の仲間入りをする可能性は十分にあるので知っておいてもらいたい。
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