文学フリマ、準備出来ました。 今週の五月十九日(日) 12時から17時、東京流通センター 第二展示場Eホール—— う11。 ※一般入場は、入場チケットが必要です。事前または当日現地にてお買い求めください。料金は千円だそうです。 作家仲間の「酒本歩」氏と合同で参加します。 ◉ 出品 『あなたもミステリー作家になれるかもしれない』 エッセイ集。noteに書いたものを加筆したものです。 限定三十部(サイン本も十二冊用意しました)。 ◉ 既刊本、三冊(サイン入り)
皆さんは小説を書くときに読者層を想定しているだろうか。 私はデビュー作まで、読者を意識して書くことはなかった。そんな余裕はなかったし、自分が書きたいテーマを実現するだけで精一杯だったからだ。 デビューしてから一年ほどした頃、ミステリー作家(複数)のイベントに、一ファンとして参加したことがあった。 会場に着くと、二十代から四十代くらいの女性が多く、その姿が目立った。なんとなくミステリーの読者に中年男性をイメージしていたので、意外だった。そこで、今のミステリー界はこうした
最近思うことなのだが、ミステリー(エンタメ)小説に細かな描写は必要なのだろうか——という疑問があったりする。 わかりやすくするために、次の文章を見てもらおう。 彼女は恥ずかしげで態度もおどおどしていた。テーブル上の後片付けや食器洗いの仕事がら、各テーブルの客と実際に対応する給仕の仕事へ上がったものの、あきらかに雰囲気にのまれていた。彼女の金髪は、荒々しく引っ張り上げられて、頭のてっぺんで不恰好に束ねられ、その手はお湯のために赤くふくれあがり、鼻には汗が光っていた。それ
文学フリマ東京については https://bunfree.net/event/tokyo38/ を参考に。 開催日は2024/5/19(日) 会場は東京流通センター第二展示場 私のサークルは『酒本歩』(わんにゃん堂)第二展示場 Eホール | う-11です。作家仲間の酒本歩氏と共同で参加します。 出品作品は「あなたもミステリー作家になれるかもしれない」noteで書いたものに加筆したもので、一冊五百円。 フリーペーパーとしてホームズパスティーシュの折り本二編を提
来週火曜日、六月六日、前編がいよいよ放映。 原作は「花井おばあさんが解決! ワケあり荘の事件簿」 著:井上ねこ 刊:宝島社文庫 配信開始日:2023年6月6日12:00~ 4月12日(水)より「Lemino」および「ひかりTV」にて配信 面白いので、皆さんよろしく。
ハドリー・チェイスの『世界をおれのポケットに』を教本にしてケイパー小説を考察してみよう。 襲撃計画 頑丈に装甲された現金輸送車を襲撃する。輸送ルートの間にある寂しい山道で、若い女性が自動車事故を起こして倒れているふりをする。警備の男が女性を助けるために輸送車から出てきた時に、倒れていた女性が警備員を襲う。万が一のために、ライフルを持った男が茂みの中で待機する。もう一人車内にいる警備員は別の男が、騒ぎに乗じて射殺する。輸送車を奪いキャンピングカーに乗せて移動、キャンピン
誰が主役か ○犯罪者側 スタークの『悪党パーカー』シリーズが有名。これはリアルな犯罪小説で、アメリカの監獄(図書館)でパーカーシリーズが一番人気だったという逸話がある。プロの犯罪者に支持されるほど面白くリアルだったというわけだ。 他にも素人が銀行強盗を計画するような小説もある。見所は素人がどうやって犯行を計画し達成するかだ。こちらは例が少ないから、意外と面白いかも。JCのグループがドンキみたいな施設を襲撃するとかいう設定はどうだろうか。 ○捜査側 事件が起き
使用した凶器をどうやって片付けるかという問題。そもそもが凶器を片付ける必要はあるの? 読者からの鋭い突っ込みもあるかもしれぬ。 ○凶器を消す必要性。 ●凶器から犯人を特定される。 凶器に簡単には消せないような指紋や自分の血が付いてしまった。他にもピアノ線や釣り糸で絞殺されていたら、職業や趣味がわかってしまう、そこで凶器を持って帰る。 ●不可能犯罪への演出。 密室で殺害されていて、凶器も消えていた——トリックを解明しないと、犯行の証明が難しくなる。殺害現場周辺に被
様々な凶器 今回は凶器ネタ。小説の中で人を殺すなら、凶器にもこだわってみよう。 ○人体 とがらせた爪に毒を塗って引っ掻く。 長い髪の毛を束ねて、絞殺する。 腸などの内臓で絞殺。 骨で殴り殺す。 ○動植物 凶暴な犬の牙を複製してそれを使い、犬にかみ殺されたように偽装。 大きな魚で殴り殺し、魚は海や川に放す。 干瓢を使い絞殺後、食べて証拠隠滅。 水に浸けて凍らせたフランスパンで殴り殺し、解凍したあとに食べて証拠をなくす。 冷凍サンマで刺殺したあとで、食べてし
○犯人の名前を音や形で表す 「3.14」で「桃園パイ」「遠州律」。 「ひらがな」で「平賀奈々」 被害者が指し示していた方向が東だったので「東(ひがし・あずま)」という名前。 ○犯人の職業や特徴を表す 花束を握っていた、犯人は花屋の店員。 卍というダイイング・メッセージ、寺ではなく弘前市の市章だった。つまり弘前市に関係した人間。 将棋の歩、裏は「と」金なので、鍍金=メッキ工。 被害者が持っていたネックレス、ネックレス=数珠に似ているので、寺のお坊さん
ダイイング・メッセージとは、被害者が死の間際になんらかのメッセージを残すこと(たいていは犯人を示す目的)である。 作家目線で言うと、ダイイング・メッセージというのは簡単に謎を作れる方法なのだが、なぞなぞとかトリッククイズみたいになって、謎としての効果があるかは疑問であり、扱いが難しい。 ダイイング・メッセージが本格的なミステリードラマには出てこないのに、バカミスドラマなどにやたらとダイイング・メッセージが出てくるのも簡単に作成可能なことが原因に違いない。 ○利点
距離的制約でアリバイ成立させる。 名古屋で殺害されたその時刻、被疑者が大阪にいたなどと距離的な制約があり、殺害出来なかったと誤認させるもの。トラベルミステリーなどで使われるアリバイトリック。物語の舞台を観光地に組みやすく、旅気分を読者に味合わせることが出来るメリットがある。 ○乗物による時間トリック(9例) 自転車が発明されて間もなく、田舎ではまだ知られていない頃、ひそかに自転車を使って、常識では考えられない早さで、犯罪現場と自宅との間を往復して、アリバイを作
殺害場所を錯誤させる。 殺害時にいた場所と犯行場所の移動時間を利用して、アリバイを作るというものだ。 例 殺害場所Aと友人と飲んでいた居酒屋までは、殺害時刻に往復できないから、アリバイが成立する。しかし、殺害場所Aは偽装されたもので、実際の殺害場所Bは居酒屋のすぐ近くの場所だった。 ○犯行場所を誤認させる(移動時間) 犯行場所にそっくりな建物が近くにあって、実際は犯行時間に往復できた。 遠回りさせられていただけで、犯行現場と現在地が遠く離れていると錯
被害者が生きていたと錯誤させる。 殺害後、被害者がまだ生存していたように偽装して、アリバイ工作をする。 ○機械トリックを使う。 窓際に被害者が映る。それが動くので生きているように見える。実は機械トリックで人形みたいなものを動かしていた。 タイマーと機械的装置を使い、悲鳴や騒音を出して、被害者が生きているように偽装する。 これらは今からするとバカバカしく古くさいように思えるが、現代のガジェットやスマホアプリなどを使えば、新手のトリックを生み出せるかもし
アリバイトリックは様々なものが考案されているが、簡単に出来そうなものから考えてみよう。 死亡推定時刻を錯誤させる。 死体が発見されて、他殺を疑われた場合、真っ先に確認されるのが、死亡推定時刻である。ここで重要なのはどうやって推定時刻を確定させたのかということ。 ○法医学 死亡時刻を推定する方法にはいろいろある。具体的な例については専門書や入門書を参考にして欲しい。 ●直腸内温度から推定する。 ●死後硬直の程度 ●角膜混濁の程度 ●死斑の動き 等により判断される
ミステリーを書いていて悩むのが、誰を犯人にするかということ。プロット段階で犯人を決めるも、書いているうちに意外性がないから犯人を変えてみるか、と考えることはよくあることだ。版元の編集者に犯人の変更を要望されることもあるらしい。 そこで、簡単に犯人をどんでん返しする方法を考えてみた。 例題 被害者男性Aは下半身丸出しの姿で、窒息死していた。Aの過去を探ると、性犯罪で服役していたことがわかる(被害にあった女性Bは自殺していた)。捜査陣はAの死体状況からして、昔起こ