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私がレズビアンだと自覚した頃の話

中学生のころ、同級生の女の子に初めて恋をしてから、マイノリティとして生きてきました。
私がこれまで考えてきたこと、悩んできたこと、その結果得られたものなどをいつでも読み返すことができるよう記録に残したくて、noteを始めました。

最初は、これまでの経験とそのとき考えていたことについて書いていきたいと思います。

中学生の頃の初恋

私が初めて恋をしたのは、中学2年生の秋ごろ。

それまで、周りの人たちが「○○くんかっこいい!」「○○と○○が付き合ったんだって」「好きなタイプは?」「彼氏ほし~」など、どんどん恋をしたり、恋愛に興味を持っていくのを、よくわからないなと思いながら眺めていました。
当時の自分はまだ、周りとは違うかもしれないということを受け入れきれていなくて、自分も周りのように「○○くんかっこいい」と言えるようになれば、みんなと同じように楽しく話ができると思っていたので、みんながかっこいいと言う人を観察してどういうところが良いのかわかろうとしたり、誰かを好きだと思い込もうとしてみたりもしていました。まったく効果はありませんでしたが。
いつしかそれすら面倒になって、いつか誰かを好きになって結婚とかすることになるだろうから(したいという願望は無かったが)そのときでいいかと、周りについていくことを諦めました。

聞かれても何も話すことがないし、聞いても楽しいと思えなくて、恋愛の話自体を避けるようになったので、それはずっと本や漫画の中にあるフィクションの存在のように思っていました。
それが自分の中にあるものだと感じていなかったので、自覚したときも、はじめは
「なんか最近たまに少し気分が悪くなるときがある。風邪かな?」
という、漫画でもそうそう見ないほどの鈍感キャラのようなことを言っていました。

「なんか○○ちゃんを見てるときにそうなるな。嫌いなのかな?でも話してるときは楽しいんだよ」
「○○ちゃんが他の人と楽しそうにしてるときが苦しいんだ。特別仲の良い友人というわけでもないし、親友に対してはそんなこと思わないのに?」

その相手が特別だからそうなるんだとわかって、「まるで恋でもしてるみたいじゃないか」と思った瞬間、すべてが腑に落ちたような感覚がしました。
当時、スマホをまだ持っていなかったので、DSのブラウザでこっそり「同性 好きかも」「恋 友情 違い」など検索して、似たような内容の悩み相談や参考になるんだかならないんだかよくわからないまとめ記事に目を通して、これは恋なのかそうじゃないのか、もしそうだとしたらこれからどうしたらいいのか等、いろいろ考えては不安になって毎日のように泣いていました。

同性同士で結婚ができないことで、医療機関でパートナーとして扱ってもらえない、どれだけ真剣にお付き合いしていても友達同士のルームシェアとして扱われて一緒に暮らす部屋を借りるのが困難、片方が亡くなったときの相続やパートナーの子の親権の問題、職場に単身者として扱われる、理解のない家族に心ないことを言われる、税金関係など男女の結婚では受けられる控除などが受けられないため何かあったとき一緒にいるために必要な安定が脅かされやすい等、いろいろな困難があることをそのときに知りました。
もし私がレズビアンだとしたら、これらを乗り越えて生きていかないといけないんだなと、多感な時期でネガティブで不安になりやすかった私は、将来に絶望してしまいました。
地方でLGBT系のコミュニティも行動範囲内になく、家族も古臭い価値観で、テレビに出るオネェタレントや、職場にいる外国出身の方や、同性にもモテたらしい妹に好意を寄せた女の子など、かれらの中で”ふつうでないもの”に対する偏見をまき散らしていて、ここで自分を殺して生きていくか、体を殺して心を守るか、どちらかしかできないんじゃないかと感じていました。
そのときから、苦手な部分はいくつかあれど大切だったはずの家族が自分の仲間ではなくなり、実家は安心して帰る場所ではなく自立のときまでやり過ごす場所になりました。

高校で好きになった人との話

幸運なことに勉強はそこそこ得意で成績はある程度良い方ではあったけれど、自立して家を出たい気持ちと自分でしっかり稼げるようになっていかないといけないという将来への焦り、あとは好きだった子と離れたかったという思いが少し、といった理由で、その時の成績に合った進学校ではなく、商業系の学科へ進学しました。特にやりたいことやなりたいものはなかったけれど、簿記とか経済とかやっておけばどこへ行っても役に立つだろうというのと、性格的に会計系の仕事とか合っていそうだと思ったので。
結果的にレベルを落とす形になったので、勉強はすごく楽でした。部活も学校行事も、全体的にやることが少なくて退屈はしていましたが、ほとんどすべてが順調でした。

そしてその中でまた、同じ部活の女の子に恋をしました。
それを自覚したのもまた、2年生の秋ごろでした。
はっきりと自分が女性に惹かれていることを自覚し、やっぱり私はレズビアンなんだなと思いました。
友達としてのスキンシップで抱きしめられるたびにドキドキして、このままずっとこうしていたいと思いながら、その子が他の人に「レズビアンなの?」と聞かれて「そうじゃない」と答えていたことや「ずっと友達でいようね」と言ってくれることから、また望みはないんだなと思いました。

卒業後、地元を離れて県外の大学に通うことになり、もし気まずくなっても万が一他の人にばれて心ないことを言われたとしても逃げられるという状況も背中を押してくれて、卒業式の日にはじめて想いを伝えました。
相手は気持ちを受け止めてくれて、「そういうふうに見たことがなかったから、これから考えたい」と言ってくれました。
雑談LINEがへたくそすぎて一方的な日記のようになっているLINEを送ったり、休みの時期に帰省して会いにいって、大学生になってどんどん綺麗になっていく相手に緊張してうまく話せなくなったり、恋愛経験が無さすぎてどうしたらいいのかわからないまま、しばらく関係性を続けていました。
相手は私のこと好きじゃないから、両想いじゃないから、重いこと言って負担になりたくないからと、スキンシップや通話などしたい気持ちや好きという言葉を出すことができず、また、恋愛の話を避けて生きてきすぎたのと自分の想いを隠すのに慣れすぎたせいか、自分がどうしたいのか、どうなりたいのかもよくわからなくて、距離を縮めることができずに半年が経ち、これ以上こんな自分に時間を使わせることが申し訳なくなってしまって、関係を終わりにしてもらいました。

今になってこのときのことを思い返すと、もっと早く自分の感情に向き合えていたら、もっと私が素直で変な遠慮をせずにいられたら、こんなことにならなかったんじゃないかと思います。
ただ、このときの誰にも女性が好きだと言えてなかった頃の自分からしたら、伝えられただけでも本当にすごく大きな一歩だったんだと思います。

こうして私は女性が好きなんだと自覚して生きていくようになりました。
ただ、周りで同じような人を見つけられなかったのと、人に明かすのを死ぬほど怖がっていたのもあって、その「好き」という気持ちの持ち方やその過程、最終的にどうなりたいかなどについてはわからないままでした。
次回以降は、その後の経験などを交えながら、自分の「好き」について考えたことやわかったことを書いていきたいと思います。


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