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恋愛 短編小説

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企画参加させて頂いた時に書いた、主に恋愛を題材にした作品を纏めています。
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記事一覧

見つめてます 1351文字#青ブラ文学部

見つめてます 1351文字#青ブラ文学部

「……あと1人、あと1人……」

なんのこと?って?。

私が応援しているプロ野球チームが、あとワンアウトとることが出来れば優勝するからだ。

東京ドームでの試合。

それを私は、テレビ中継で観戦している。本当は東京ドームに行って生で観戦に行きたかったけれど、今日の午前中に少しめまいを起してしまい、大事を取ってテレビ観戦となったのだ。

「いよ〜しっ!ツーストライクッ!」

私はソファに座りながら

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感情の濃度 1412文字#青ブラ文学部

感情の濃度 1412文字#青ブラ文学部

正直に言えば、彼が告白してくれた時、私の恋心はそんなに芽吹いてはおらず、濃度としても薄く、例えるなら、彼の告白から絵の具が1滴垂らされ広がろうとしている感じだった。

そして、種も蒔かれ、水を貰ったばかりの様な感覚だった。

けれど、今はどうだろう。

私は、告白をしてくれた彼よりも彼の事を好きになり、慕う様になったと思う。

「雪斗……もう寝る?眠い?」

ベッドに座っている雪斗に話しかける。

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相思相愛【妬いてるの?】1970文字#青ブラ文学部

相思相愛【妬いてるの?】1970文字#青ブラ文学部

大昔の話。

ある国に王女がいた。

彼女の側には、いつも彼女の婚約者が側にいて、結婚してからも、彼女が女王に即位してからも、2人はずっと一緒に居たそうだ。

そんな…2人の話。

🏵️🏵️🏵️
「リンカ〜おはよう」

柔らかいクリーム色の髪を小さくなびかせ、色男が愛する人の名を呼ぶ。

「ハルバ…おはよう」

呼ばれた彼女は静かに振り向き、彼の名を呼んで返事をする。

王女である彼女は黒髪

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はじめて切なさを覚えた日 1587文字#青ブラ文学部

はじめて切なさを覚えた日 1587文字#青ブラ文学部

「……どうした?」

「ううんうん……何でもない」

◈◈◈◈

男女の友情は成立する?しない?

もはや不毛な質問のやり取りだと私は思うけれど、それで話のタネが膨らみ、会話が盛り上がるなら、不毛なやり取りも役に立つのかな?とは思うようになった。

「美晴ーー!!待たせたーー!!」

白いロードスターに乗った彼は、少し遅れて待ち合わせ場所にやって来た。

「平気。そんな待ってない」

彼こと、輪島

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鈍いの、私は【女の第六感】1439文字#青ブラ文学部

鈍いの、私は【女の第六感】1439文字#青ブラ文学部

『第六感』→五感に加えてもう一つ持っている六番目の感覚と言われているもの。「直感」や「勘」時には「霊感」などとも言われる。

「ないな、私には」

私、三枝 麻里奈(さえぐさ まりな)は、昔から『鈍感』『鈍感』と言われて育ってきた。そんなに鈍感?と私自信は思うけれど、「ねえ?何かここ空気悪くない?」とか「あ、雨降りそう」とか言われても「えっ?そう?」なんて具合の鈍感さではある。

けれど、そんな私

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私だけの特権 964文字#シロクマ文芸部

私だけの特権 964文字#シロクマ文芸部

夏は夜明けが早いから、遅く寝てしまっても薄いカーテンからのぞく日差しが目覚ましとなって起きてしまう。

「………っ〜〜、まだ4時間しか寝てないんだけど…………」

昨日は生理前特有の不眠に悩まされ、夜は全然眠くならず、色々足掻いて見たけれど全部駄目だった。

今日は休みだけれど、ウダウダしてしまいそうな気がする。

………寝不足だから………。

スースー。

テーブルを挟んだ隣のベッドからは、同棲

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帰りたい場所… 1859文字#青ブラ文学部

帰りたい場所… 1859文字#青ブラ文学部

「河瀬さん、今日飲みにいきませんか?」

………また来た。

冷たくて冷酷かもしれないけれど、私は声をかけられて直ぐにそう思った。

「今日は、両親と晩御飯を食べる約束をしているんです。」

何となく浮かんだ理由を伝える。勿論、絶対に信じてもらえないというのも分かって言っている。

けれど、心の中では思ってる。

この理由を聞いて、納得して欲しいって…。

「そうなんですか?……じゃあ、仕方ないで

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君に届かない 1375文字#青ブラ文学部

君に届かない 1375文字#青ブラ文学部

「私は、上原みたいな人…絶対に好きにはならない」

「私は、私が1番大切だから…」

彼女に言われた言葉は、今でも俺の頭と心に残ってる……。

◈◈◈
「上原〜、お前また女の子振って泣かしたんだって〜?」

大学の近くにある居酒屋に高校時代からの友人、松下と飲みに来ている。

「ふってねーよ。俺が振られたんだよ」

「でも、そのお前を振ったっていう女の子、泣いてたって言ってぜ?」

「………とにか

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永久欠番の恋 2390文字(永久欠番のあなたへ)#青ブラ文学部

永久欠番の恋 2390文字(永久欠番のあなたへ)#青ブラ文学部

女性は恋を上書きして、
男性はファイル別の保管をする。

よく、男女の恋愛においての記憶の仕方を、上の様に例える。

俺に限って言えば、その通りだな…なんて思う。

⚓⚓⚓
「はぁ〜、まだ先は長いな…」

俺はクルーズ船の船員をしている。

俺の乗るクルーズ船は半年で始発地から目的地へ行き帰ってくるクルーズ船で、その半年は休みなく働き、残りの半年は、ほぼ休暇になる。

だから、まあ、大変だけど、楽

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ただ、扉が開くのを待っている(小さなオルゴール)1185文字#青ブラ文学部

ただ、扉が開くのを待っている(小さなオルゴール)1185文字#青ブラ文学部

僕は、いつも待っている。
静かに……
そっと……
ずっと………。

◈◈◈
彼女の邪魔にはなりたくない。

それに、彼女の事を一人で思う時間も嫌いではない自分が居る。
けれど、いつも待ってばかり居る僕の姿は、友人である政時(まさとき)の目に少し余るようだ。

「いつまでこんな半端な関係でいるつもりだ?」

「中途半端って?……彼女との関係の事?」

「他に何があるってんだよ!」

「…………ないね

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手放した恋心(セピア色の桜) 1307文字#青ブラ文学部

手放した恋心(セピア色の桜) 1307文字#青ブラ文学部

桜を撮った写真を現像して、何年も部屋に飾っておいていた。

そしたら太陽の光で写真は日焼けをし、綺麗で鮮やかなピンク色をしていた桜の写真は、『セピア色の桜』になった。

私は、その写真を飾ってあった写真立てを手に取り、スーッと表面を撫でる。

「………もう、そんなに経ったの……」

私が手に持っている写真立ての中のセピア色の桜には、ある人が写っている。

私の初恋で、初めての失恋した人。

この写

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記憶に残るは香りだけ(暗々裏)#青ブラ文学部

記憶に残るは香りだけ(暗々裏)#青ブラ文学部

誰も知らない。
暗々裏に、今も昔も出来ている。

最後はきっと呆気なくて、破滅が待っている事はわかっているけれど、やめられないし別れられない。

不倫している訳じゃない。
だけど、両想いでもない。

私はただ、彼の好きな人が彼に振り向いてくれるまでの繋(つなぎ)で、私と彼の間に恋愛関係なんてない。

『好き』っていう感情は、彼には全くない。…………私には、あるけれど………。

私と彼は、高校の同級

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片思いの上司 (恋愛短編)

片思いの上司 (恋愛短編)

胸の鼓動を感じる。トキメいている。
……こんな風に男が思うのは可笑しい事なのだろうか?
でも、俺はトキメいている。

会社の上司でもある女性に。

「榊原ー、会議で使う資料出来た?」

「は、はいっ!出来ました!」

「それじゃあ、会議室行くよっ」

俺の名前は榊原 充(さかきばら みつる)上司の名前は田中 美麗(たなか みれい)さん。
俺は、美麗さんに恋をしている。

__________✤✤✤

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想いと恋心(短編小説)

想いと恋心(短編小説)

大事にしたい。
彼の心も体も。この2つがとても大切なものだから。

「神山選手。そろそろです」

私のいつものルーティン。私の仕事はレースクイーン。私はだいぶ特殊なレースクイーンで、レース直前になると、ドライバーを呼びに行くことを任されている。
私が任されている人は、レース前、とてもナイーブになる人だ。けれど、一度走り出せば有り余る才能を爆発させる。………そんな人。

「………神山選手?」
あら?

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