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非常勤ですが、なにか♯4

前回までのおさらい

前任校が閉校になった。中学校に固執しない同僚たちは、もれなく新たに開校した小中一貫校に異動したが、中学校教員(非常勤講師)にこだわったために転勤を余儀なくされた私、50代女性。教員歴は、30代で教諭を退職・出産育児期間を差し引いて24年。常に国語の授業に情熱を傾けてきた。居心地が良くて13年も居座った職場に別れを告げ、チョーク一本さらしに巻いて(いや、デジタル黒板もタブレットも使いますよ)、新たな学校へ旅立つことになった。久しぶりの転勤である。
転勤先でも引き続き非常勤講師にて通常学級2年生全3クラスの国語科授業週4時間を担当することになった。


職務外の仕事、致しません

職員室で声を掛けられた。「給食当番のマスクチェックをしてください」
週一回、副担任で回ってくる当番だそうだ。
給食食べに行くついでにちょっと声でも掛けてやって…ということかしら?

しかし…

数年前に大腸がんを克服した後、短い時間内に中学生と同じ量のご飯は食べられなくなり給食は辞退している。自分は食べに行くわけでもないのに、ついでも何もない。

職員室から人がいなくなった隙に小さいお弁当をササッとかき込み、5時間目の準備をする大事な時間を減らされては困る。

悪いけど、それは私の仕事ではありません。


時間外の活動(サービス残業)については、こちらに選ぶ権利があります

ある朝、出勤してみると、私の机の奥側パソコンの上に見覚えのないプリントの山。
「えーっと、これは…?」

隣の先生いわく、放課後学習に使ったもので、1人1枚だと時間が余るので、1人2枚分なんですよ〜
とのこと。
「あー、このプリント使ったことないわー。ちょっと良さそうだなーっと気になってました」と話を合わせたものの…。

そうじゃなくて、それ、私の仕事ではありません。
言いにくくて…そもそも、それを言うのも私の仕事ではない。

周囲に人がいなくなったのを見計らって、プリントの山を指さし、校長に訴える。
プリントの山を抱えた校長が学年主任の元へ向かったのを確認して、授業に向かった。

放課後学習は時間外ですよ。
それ、非常勤の仕事じゃありません。



漢字ノートは隙間時間に見て必ずその日のうちに返却する。誤字脱字は厳しくチェック。付箋を貼って、次回提出までの訂正を促す。

たまに忙しい教諭先生がよく見もしないでグルグル○を付けて返しているのを見かけるが、あれが生徒の悪癖を招くのでは?



週12時間の授業には全力を注ぐ。そこで出た提出物や振り返り、小テスト、作文などは惜しみなくサービス残業をする。現任校では非常勤は何となく早く帰らなければならない空気が流れているので、ノートに書かせたいことも、できるだけ紙モノに書かせて、授業が終わったら紙の束を掻き集めて持ち帰る。

書かせなければ書く力は付かない。書かせれば添削や評価をしなければならない。ちょっとでも良い所があれば褒めてやる。褒めればうれしくなって、また書きたいと思うし自信を持つようになる。本当はそんなに上手くなくても、勘違いして「自分イケるんじゃないか」と思い始めたらチャンス。勘違い中学生は、どんどん書いてどんどん上手くなる。

週一回、二百字作文を書かせている。1人につき2分添削。それを何十人もしていたら…絶対持ち帰らなければムリな仕事だ。

以前、同僚の教諭の先生の授業を見に行ったら自分の考えを授業中ノート書かせる作業をしていた。
「1ページの半分書けたらA(評価)をあげる」と言うと、みんなものすごい勢いで書き始める。
早速真似してみた。
YouTuberのM先生も仰っていたけれど、プリントの枠の中と違って、しっかり書かせたいときはノートだと際限なく書けるから良いとのこと。

時間いっぱい使って必死で書いたノートを、なんでそのまま机にしまっておきなさいなどと言えるだろうか。
見るでしょ。それは…。

かくして、自ら生み出したサービス残業は、じゃんじゃん気持ちよく引き受けることになる。

ノートの山は持ち帰りできない。空き時間が2時間あるときだけにしとこう。

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