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芳樹は小一時間ほどその錦華公園のベンチに座っていた。 そして、徐に立ち上がり、山の上…
芳樹は松江教授宅を辞し、御茶ノ水駅方面に歩きだした。ゲリラ豪雨はすっかり止み、雲間から…
急に雲行きが怪しくなり、雷が鳴りだした。 北島芳樹は、地下鉄で神保町駅を降り、水道橋…
東京へ戻った芳樹は幸子に連絡を入れた。 その後何度か連絡を取り合い、お互い馴染んでき…
幸子は独身で、学校の近くのアパートで生活していた。 両親は、いまは新庄にいる。 二…
粉雪が舞い、寒い一日になりそうな気配だった。駅に向かい左のビルの一階に喫茶店がある。 …
芳樹が生まれ育った『余目』は、山形県東田川郡庄内町である。 JR東日本の余目駅は大正三年にできた駅だ。駅舎の屋根には丸い円錐形をしたレーダーらしきものが設置している。平成の世になり七、八年ごろに列車事故があり、それ以降に設置された。一日の乗降客は五百人ほど、羽越本線と陸羽西線の二路線が乗り入れている。いたって小ぶりな駅だが、それでも特急が停まる。 芳樹は広々とした駅前広場の先にある古い木造二階建ての旅館の方へ足早に向かった。 旅館に着き、二階の角部屋に案内された。女
芳樹の回想はそこで立ち止まった。 突然、通路を挟んで向かいの座席の老人男性が、芳樹に…
美代は寡黙な女性であった。 結婚後、芳樹の仕事帰りが毎晩のように遅い日が続いていた。…
離婚後、半年ほどが過ぎた暮れも押し迫った時季、芳樹は東北の片田舎の故郷へ向かった。 「…
美代は短大を卒業したあと、電子部品の問屋の事務として就職した。 芳樹と結婚したあとも…
北島芳樹は、大学在学中、法学部の松江教授のゼミに参加し、教授のフレンドリーな性格に甘…