インクの話に見せかけて人生の達人の話
父も使いたるPILOTのブルーブラックといふものを、娘も使ってみむとて、禁断の新しいインクを買うなり。
なぜならば父の手持ちインクの色を知らずして、父に別のインクを見繕うことは不可能だから。
ウキウキでこの色いいよ!って持って行ったのに、父の手持ちインクと色被りしたら嫌でしょうが。父も私もガッカリだよ。
そして、父の手持ちインクと、私の選ぶ3色との色のバランスを見たいでしょうが。
あ、先日こんな記事を書いたんですよ。
万年筆で写経に凝っている父が、1つしかインクを持っていないと聞き
父にエルバンのインクを選ぶぞー!と盛り上がる話です。
父の手持ちのインクは王道のPILOTのブルーブラック。
でも私はこのインクを使ったことがないから色がわからない。
ブルーブラックと言ってもものすごーくたくさんの色相があるわけで、これはもう実際に確かめないとわからん。
その上でPILOTのブルーブラックで書いた字と、私が選ぶエルバンで書いた字を並べてバランスを見て、ベストな美しい配色にしないといけないのです。
いくら私が選ぶエルバンがキレイな色だとしても、父の手持ちと合わなければ意味がない。
というわけで、PILOTのブルーブラック買いました。フリマサイトで新品って言われたので多分新品。何故か定価より安く買えました。
どういうからくり?わからんけどよかったです。
もうインクは増やさないとあれほど自分を戒めてた、ていうかインク断捨離しようとしてたのに50ミリボトルいっちゃいました。
私はインクはエルバンと決めているのに、突如PILOT。父の手持ちインクの色を確かめるためだけに、な。
で、色を確かめた後どうするんだこれ。
ブルー系はエルバンのインクが4色も(うち3色は大ボトル)が控えてるんだぞ?
あ、父にエルバンを2〜3色持っていった時に、PILOTもあげればいいのか。
勝手にインク持ってきてくれて、さらに1本おまけでついてくる…ってどんなサービスだ。
父は写経するために万年筆を使ってるんだけど、今のインクを使い切る前にどんどこインクが来ちゃったら、考えてみれば大変すね。
腱鞘炎にならない程度に写経に励んで、インクを消費してくれたらと思います。
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サービスで思い出した。
そういえば先日さる方にタロットや占星術で占って頂いたんですが、私は自分で商売するのは向かないそうです。
いいよいいよー!って、コスパ度外視でどんどんあげちゃうそうです。
それを言われたのはタロットを引いてもらった時で、ペンタクル6が出ていました。
「こういう人って、手相だと感情線が手首くらいまで下がってたりするのよね」と占い師さんは言ってました。オンライン鑑定だったので、手相は見てもらえなかったけど。
感情線が手首くらいまで下がってる、つまり感情線の上の面積が広いと、心が広いと言われてるそうです。
私?全然フツー。狭くはないが広くもないス。
占いの時は言わなかったけど、私は別に心が広くもないし、奉仕の人でもないです。
がしかし鑑定時間が1時間しかないのでね、余計な口を出してる場合じゃないのです。なので占いでは奉仕系の人として話を進めてもらいました。
まぁ父にインクを送るためにわざわざ色見本を作ったり
父の手持ちインクと色被りしないようにわざわざ買ってまで色を確かめたり
そもそも請われたわけでもないのにここまでしてる事は、見ようによってはサービス精神旺盛&奉仕の人に見えるかもね。
ただこれ、父を喜ばせたい以上に単に私が楽しいからやってるだけなのね。
父が喜べばもちろん私はうれしいでしょう。
ただそこに私の楽しさがなければ、一連の作業は私にとっては苦痛でしかない。
私はそういうことはいたしません。
確かにコスパとか儲けは度外視なんで、商売としては成り立たない。そりゃそうだね。
でも私は、お金じゃないところで十分以上の対価はもらっているんだよね。
インクを選んでワクワクし
改めてインクの美しさを確認し
普段なら手を出さないインクと出会い
父に伝えるために改めてエルバンの歴史を調べ
自分が持っているエルバンのインクの特徴を学び直す…。
一見私には何の得にもならない「やたら情熱的に父にインクを選ぶ」行動によって、私は金銭ではなく楽しさや経験、知識を得ていて
それは一生私の中で消えずに糧となるわけです。
だから私的にはちゃんと釣り合っている。
それどころか、プラスですな。
え、こんなに楽しいお題をもらっちゃっていいんすか?!あざーす!!
てなもんです。
ていうか私は自分の利益にならないことは一生懸命やらないです。
人生はサバイバル、利益になること損になることには逆にシビアな方じゃないかな。以前そんな記事を書いた気がする。
だから、手相も全然心広くなくてすみませんって感じです。
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そういえばサービスでまた思い出したけど、
みなさん「オモウマイ店」って番組ご存知ですか?
お値段が激安だったり
ものすごい大盛りだったり
サービス過剰なくらいサービス満点だったり
というお店。
私はあの店主達の気持ちがわかるな〜と思いながらいつも観ているんですが、みなさんはいかがですか。
あの店主たちは私などとは違って本当に奉仕の人たちで、感情線ももれなく手首まで下がっている心が広い方々だったらもう私に語ることは1つもないんですけど
なんかね、あの店主たちを見ているととってもイキイキしてるじゃないですか?
何でそこまで?!ってくらい安かったり
長時間の激務だったりするんだけど、私が思うにそれは奉仕ではなく、単純に自分がそうするのが楽しいから、なんだと思うのですよ。
店主のみなさんはまるで示し合わせたかのように一様に「人が喜んでくれるのがうれしい」そして「お金じゃない」って言うんです。
人が喜んでくれるのがうれしい、というのは、店主様たちが楽しくやっていることで人が喜んだらうれしいってことで
必ず先に自分の楽しさがあるから傍から見たら何でそこまで?!な熱量が生まれるんだと思います。
だから、何でそこまで!?とかそこまでやらなくても…という言葉は店主たちには無意味でしょう。
だって自分が楽しくてやってるから。
それで人が喜んでくれたらもうますます楽しいから。
私も父にインクを持っていって、もし父が「こりゃいいわ〜!エルバンいいな〜!」なんて言った日にゃ大喜び、私の手持ちエルバン全色送るね!ってなります。
エルバンしか使ってなかったけど、これを機に他のインクを調べて検証して持っていくかもしれない。
何でそこまでする!?という問はナンセンスです。私が楽しくてそうしたいからそうするのだ。
あと、「お金じゃない」っていうのも
私が何の金銭的メリットもないけど、父にインクを選ぶ過程でワクワクや知識や経験を得てプラス!って言うのと同じだと私は思ってます。
オモウマイ店の店主様たちと規模は全然違うけど、私は毎回店主様たちにシンパシーを感じて胸を熱くさせています。
ねぇ、オモウマイ店の店主様達って全員火星天秤座なんじゃない?(すみません、個人的な話です)
まぁ賛否両論色んな見方があると思うけど、オモウマイ店の店主様たちが自己犠牲や奉仕の精神だけでやってるとは私には到底思えませんね。
自分の喜びや得るものもなく、あんなふうに仕事できますか?
人を救いたいとか助けたいとか、そういう主義や思想だけでやれることじゃないです。
本当に格好良い。
そういえば、私はオモウマイ店のタイトル画像が大好きなんですよ。
たくさんの店主たちが画面いっぱいにいる画像なんですが、人生の達人って感じで超格好良いなーと思う。
時として自己犠牲とか奉仕の人と見られるかもしれないけど、考え方によっては誰よりも自分の楽しさや喜びを大切にしているとも言えるかもしれない。
自分の楽しさが他人を巻き込むことで何倍何十倍にもなり、その力でまた前に進める。
そして自分も他人も共にハッピーになれる。
自分の人生を楽しみ、人の人生にも喜びをもたらす。
最高。
本当に、オモウマイ店の店主様たちは人生の達人だと思います。
最近うすうす、私が目指す所はそこなんじゃないかって気がしてます。
私は料理ではなく何か違うジャンルで、人生の達人たちのように爆走してみたいですね。
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